dynabook Z95 + GPU Box(8K映像編集PCシステム)の特徴
CPU | Core i7-10710U |
---|---|
GPU Box | Quadro RTX 4000 |
メモリ | 32GB |
ストレージ | 1TB PCIe SSD |
液晶サイズ | 15.6インチ |
液晶種類 | 4K IGZO 広視野角 |
質量 | 約1.425kg |
バッテリー | 約11時間 |
想定価格 | 40万円台後半 |
dynabook Z95 + GPU Boxセットは、8K映像編集用に開発されたシステムです。
dynabook Z95は、15.6型4K液晶を搭載しながら、約1.425kgと軽いため、単体ではモバイルノートPCとしても使用できます。自宅やオフィスでは、デスクトップ用のQuadro RTX 4000を搭載したGPU Boxを接続することで、8K動画の編集や、8KTV・8Kディスプレイへの出力を行うことができます。
ただし、CPUがCore i7-10710Uなので、Quadro RTX 4000に対してやや貧弱な感じがします。モバイルノートPCとしての使用に重点が置かれているのかもしれませんが、ちょっとアンバランスな部分が気になります。
dynabook Z95 + GPU Boxの特徴
8K映像編集用のPCシステム
dynabook Z95 + GPU Boxのセットは、8K動画を手軽に編集するためのPCシステムです。8K動画の編集のためのソフトとしては、Adobe Premiere Proが想定されています。
ただし、Adobe Premiere Proはユーザー側で別途用意する必要があります。
2018年から4K・8K衛星放送が始まっていたり、dynabookの親会社であるSHARPからはAQUOS R5Gという、8K動画を撮影できるスマートフォンが販売されていたりと、身近になってきた8K動画ですが、8K動画を編集するとなるとハードルが高いのが現状です。そこで、8K映像を比較的手軽に編集するというニーズに応えるために開発されたのが、dynabook Z95 + GPU Boxのセットです。
なお、このdynabook Z95 + GPU Boxのセットですが、dynabook Z95のみの単品販売などは、現時点では予定されていないとのことです。
以下に、dynabook Z95と、GPU Boxのそれぞれの特徴をご紹介します。
15.6型だけど軽くて持ち運べる
dynabook Z95の質量は約1.425kgと、15.6型の4K液晶を搭載したノートPCとしてはかなり軽いです。そのため、大画面のモバイルノートPCとして、外に持ち出しての作業がしやすいです。
例えば、スタジオ、屋外、客先などでの、打ち合わせ、撮影映像や納品動画の確認などを行い、オフィスや自宅では、GPU Boxを接続し、8K映像の編集作業を行う、といった使い方ができます。
なお、このdynabook Z95は、画像を見る限りでは、国内未発売ですが米国などで販売されているTecra X50シリーズをベースとしたモデルではないかと思います。
4K IGZO液晶を搭載
dynabook Z95のディスプレイは、高精細な表示が可能な4K IGZO液晶です。省電力性能にも優れているので、15.6型の4K液晶を搭載しつつも、約11時間とバッテリー駆動時間も長めです。
ただ、4K液晶ですが、8Kと比較すると4分の1の表示面積になります。8K動画を編集する場合、感覚としては、4K動画をフルHDのディスプレイで編集するのと同じような感じです。動画のカット編集や、テロップ挿入などの作業であれば問題ないかもしれませんが、8K動画の細部を確認するには、物足りない気がします。そのため、自宅やオフィスでの作業には、8Kディスプレイを接続しての作業がおすすめです。
省電力性能を重視したCPU
dynabook Z95の搭載するCPUは、Core i7-10710Uです。6コア・12スレッドのCPUで、省電力性能の高いUシリーズCPUとしては、高めの処理性能です。
ただし、パフォーマンスが高めのCore i7-10750HのようなHシリーズではないので、クリエイター用ノートPCとして見ると、処理性能はそこまで高くありません。
モバイルPCとしての軽さと、バッテリー駆動時間を重視したのかもしれませんが、CPU性能はやや中途半端な感じがします。グラフィックスとのバランスを考えると、Core i7-10875Hなどを搭載していると、多くのクリエイティブ作業をより快適にこなせたのではないかと思います。
ストレージ容量がやや不安
dynabook Z95は、32GBメモリと、1TB PCIe SSDを搭載しています。メモリ容量は妥当な範囲だと思いますが、8K動画の保存や、書き出しを行うことを考えると、ストレージ容量はちょっと少ないかもしれません。
PC側はCPU内蔵グラフィックスのみ
dynabook Z95本体には、外部グラフィックスを搭載せず、CPU内蔵グラフィックスのみの構成です。そのため、dynabook Z95単体の場合は、8Kどころか、4K動画の編集も難しいです。
なお、セットとなっているGPU Boxには下の画像のように取っ手があります。PC本体と比較してもサイズが大きく、いつでも持ち歩くという訳にはいきませんが、映像を8Kディスプレイに出力する必要がある場合などには、デスクトップPCよりも持ち運びやすいです。
GPU BoxにはQuadro RTX 4000搭載
GPU Boxには、デスクトップ用のQuadro RTX 4000を搭載しています。ワークステーションに搭載されるQuadroを採用しており、性能が高く、プロ仕様のGPUです。
Quadro RTX 4000が採用されたのは、あまり高額にならないようにしつつ、8K出力が可能という理由のようです。ただし、NVIDIAが公開している最適な作業に関する基準を見ると、Quadro RTX 4000は、6K程度のビデオ編集が適当となっています。そのため、8K動画の編集や書き出し作業には少し時間がかかるかもしれません。
GPU | ビデオ編集 | グラフィック メモリ |
|
CREATIVE MAESTRO | RTX 2060 | 6K | 6GB |
RTX 2060 SUPER | 6K | 8GB | |
RTX 2070 SUPER | 6K | 8GB | |
Quadro RTX 4000 | 6K | 8GB | |
CREATIVE POWERHOUSE | RTX 2080 SUPER | 8K | 8GB |
RTX 2080 Ti | 8K | 11GB | |
TITAN RTX | 8K | 24GB | |
Quadro RTX 5000 | 8K | 16GB | |
Quadro RTX 6000 | 8K | 24GB | |
Quadro RTX 8000 | 8K | 48GB |
CREATIVE MAESTRO:ミドルクラス
CREATIVE POWERHOUSE:ハイクラス
下図のように、Quadro RTX 4000には、出力用としてDisplayPort x3と、USB-Cを備えています。8K出力には、これらの4つの出力ポートをHDMI 2.0に変換して、8Kディスプレイに接続します。
GPU Boxの上ぶたは簡単に外すことができ、GPU Boxの内部は、下図のようになっています。一般的なGPUであれば換装することが可能な作りになっていますが、メーカー側での検証やサポートは行われていませんので、自己責任での対応となります。
カードリーダーはmicroSDサイズ
dynabook Z95は、microSDカードリーダーを備えています。ほとんどのデジタルビデオカメラはフルサイズのSDカードリーダーを使用していると思うので、microSDカードしか使えないのは残念な気がします。
その他のインターフェイスとしては、USB-C(Thunderbolt 3対応)x2、HDMI出力、USB3.1 x2を備えています。
dynabook Z95と、GPU Boxの接続には、Thunderbolt 3ケーブルを使用します。なお、GPU Boxと接続することで、dynabook Z95への給電もでき、便利です。
キーボード
dynabook Z95は、下図のようなキーボードを搭載しています。
15.6型のボディに、テンキー無しキーボードですが、エンターキーの近くなどいくつかのキーのサイズが小さくなっています。十分ゆとりがあるので、キーサイズを小さくする必要はなかったのでは?と感じてしまいます。
まとめ
dynabook Z95 + GPU Boxは、8K映像編集のために開発されたPCシステムです。
軽くモバイルPCとしても持ち出せるdynabook Z95ですが、デスクトップ用のQuadro RTX 4000を搭載したGPU Boxと接続することで、8K映像の出力や、編集・書き出し作業に対応可能となります。
Quadro RTX 4000を搭載したモバイルワークステーションよりも、おそらく価格は安くすみますし、8K映像の出力の確認がなされていることがメリットとなりそうです。
モバイルPCとしても使用できる構成ですが、クリエイター用PCとしては、CPUの処理性能が高くありません。
また、プロの使用であれば、Quadro RTX 4000よりも上のGPUの方がより適しているとも思います。
8K映像編集専用機としては、やや中途半端な気もしますが、客先で8Kディスプレイに作品を出力するためのシステムなら、ちょうどいいかもしれません。
8K映像編集用のモバイルノートPC+GPU Boxセット
dynabook Z95 + GPU Box
特徴
- デスクトップ用Quadro RTX 4000を使用可能
- dynabook Z95単体でモバイルPCとしても使用できる
- 8K映像の出力が可能
こんなあなたに
- 手軽に8K動画編集を行えるシステムが欲しい
- 移動先でも8K映像を出力できるシステムが必要
- 価格40万円台後半(想定)
- 一言CPUがやや貧弱な気が・・
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