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東芝 dynabook VZシリーズの実機レビュー

更新日:2018年2月25日

バランスが良い 2in1 PC

dynabook VZシリーズは、液晶が360度回転するタイプの 2 in 1 PCです。

質量は約1.099kg、バッテリー駆動時間は約16.5時間、薄さ約15.4mmで、第8世代インテルCoreプロセッサーを搭載しており、2 in 1 PCとしてはバランスの良いスペックです。

上記の特徴に加え、アクティブペンにも対応していることから、幅広い用途で使用できるPCだと思います。

なお、ペンについては、イラストを描くよりは、文字を書くことに適していると思います。ビジネスシーンや学校で、文字や図を書くときに最適でしょう。

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CPU 第8世代Core
メモリ 8GB / 16GB
ストレージ SATA SSD / PCIe SSD
液晶サイズ 12.5型
液晶種類 FHD 広視野角 非光沢 タッチ
質量 約1.099kg
バッテリー 約16.5時間
LTE 非対応
価格 約120,000円(税抜)~
※会員価格

 

 

レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は次の構成でレビューをしています。

  • dynabook VZ72/F【 Core i7-8550U、8GBメモリ、256GB SATA SSD 】

目次

お忙しい方は、「1」の特徴のみお読みください。

dynabook VZシリーズの特徴

変形する2 in 1 PCとしてバランスが良い

dynabook VZシリーズは、液晶が360度回転し変形するタイプの2 in 1 パソコンです。ノートパソコンやタブレットの形状で使用できるのはもちろん、「L字」や「テント」のような形状にして使用することも可能です。

こういったタイプの2 in 1 PCは他社にもありますが、本製品は処理性能、バッテリー駆動時間、質量、薄さなどのバランスが良いと思います。どこかが飛びぬけているわけではありませんが、すべてが高めのスペックで、多くの人に適応できる製品であると思います。


液晶が360度回転する2 in 1 パソコン


バランスの良さが魅力

 

自然な書き心地で、ペン入力が可能

dynabook VZシリーズは、ペン入力にも対応しています。ペン先が細く、視差も少ない(ペン先と実際に書かれた線のズレが小さい)ため、思った通りに線が引けます。

また、液晶がツルツル滑らず、抵抗感があり、紙に書いているときに似ている書き心地です。小さい文字を書くことが多い方に適していると思います。

ただし、2,048段階の筆圧検知には対応しているものの、傾き検知には対応していないため、イラストを本格的に書きたい場合は、Surface ProやiPad Proのほうがいいと思います。dynabook VZシリーズは、ビジネスシーンや講義中に、文字や簡単な図を書く用途に向いています。


抵抗感があり、紙に書いているときに似ている書き心地


細いペン先

 

ペンはワコム製のアクティブ静電ペンで、中に電池が必要です。ペン先に付いているキャップは、外して後ろに装着させることが可能です。


付属のワコム製アクティブ静電ペン


電池式

 

抵抗感があると書きましたが、本製品は、"ペン先"も、"液晶表面"も、抵抗感が出る素材になっています。他社にも抵抗感のある書き心地のタブレットPCはありますが、ペンのみ抵抗感が出る製品が多く、このような製品と比べると、本機はより抵抗感が強くなっています。それゆえ、抵抗感がありすぎて、つっかかるような感じがあり、長めの線を引くと"キュ"というような音が鳴るので、不快に思う方もいるかもしれません。そういった場合、ペンは抵抗感のないものに変えると良いと思います。

試しに、ワコムのBAMBOO Smart for select tablets and 2 in 1が使えるか簡単に試してみましたが、問題なさそうでした。こちらのペンのほうが抵抗感は少なく線を引くことができます。


BAMBOO Smart for select tablets and 2 in 1も使用可能

顔認証と指紋認証の2つ生体認証に対応

dynabook VZシリーズには、顔認証装置と指紋認証装置の2つの生体認証装置が搭載されています。外出先でPCにログインするときに、パスワードだと覗き見られているのではないかと心配になりますが、このような生体認証が搭載されていれば、安心してログインすることが可能です。しかも2つの認証方法が選べます。



顔認証センサーと指紋認証センサー

ややギラつきを感じる

個人的にちょっと気になるのが、画面のギラつきです。液晶表面の画像については「下の章」に掲載していますが、電極と表面処理の影響で、画面がキラキラするのが気になります。ただし、気になるかどうかは個人差もあり、気にならない方も多いとは思います。

VZ82/F、VZ72/F、VZ62/Fの違い

dynabook VZシリーズの最新の2018春Webモデルには、VZ82/F、VZ72/F、VZ62/Fの3つのモデルがありますが、違いは下表のようになっています。CPUやSSDの種類によってモデル名が異なっています。

各モデルの違い
  VZ82/F VZ72/F VZ62/F
CPU Core i7-8550U Core i7-8550U Core i5-8250U
メモリ 8GB / 16GB 8GB 8GB
SSD 1TB PCIe SSD
512GB SATA SSD
256GB SSD 256GB SSD

 

液晶ディスプレイのチェック

液晶ディスプレイのチェックです。

搭載されていた液晶の型番は不明です。最大輝度は、実測376cd/m2でした。高めの輝度です。

視野角は良いです。


視野角(斜めから見たときの見やすさ)

 

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線は次の通りです。今回抵抗感を出す特殊フィルムが貼られているため、あまり正確ではないかもしれません。ただ、緑がやや強めに出ており、肉眼でもやや緑が強いなと分かります。とは言っても、少し強い程度なので、気になるほどではありません。


 

色域は広いです。


ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

 

液晶の表面をマイクロスコープで撮影したのが次の画像となります。左図はタッチパネルの電極らしきものにピントを合わせた画像で、右図はペンで描いたときに抵抗感を出すための特殊フィルムにピントを合わせたものです。

この2つの影響で、画面がややギラついている(キラキラしている)ように見えます。筆者はこのギラつきが若干気になりました。


液晶の表面画像

 

画面への映り込みは低減されています。


画面への映り込み

キーボードおよびタッチパッドのチェック

キーボードとタッチパッドのチェックです。

メーカーサイトには、キーピッチが19mm、キーストロークが1.5mm、キートップのへこみが0.2mmと書かれています。

この数値だけ見ると問題ないですが、縦方向のキーピッチが実測で17mmと、やや狭くなっています。また、「半角/全角」や「む」のキーなど一部のキーが小さくなっています。慣れれば問題ないと思いますが、最初はタイプミスすることがあるかもしれません。


キーボード全体図


キーの拡大図

 

キーボードバックライトも搭載しています。


バックライト付キーボード

 

タッチパッドの操作性は普通です。


タッチパッド

パフォーマンスのチェック

パフォーマンスのチェックです。

CPU

Uシリーズの第8世代Coreプロセッサーを搭載し、CPU性能は比較的高いです。液晶が360度回転する2 in 1 パソコンの場合、Uシリーズではなく低電圧のYシリーズのCoreプロセッサーが搭載されることもありますが、それよりも高性能になっています。


CPUの選び方(筆者の独自判断)
※灰色のバーのパーツは、本製品では選択できません

ストレージ

ストレージは、SSDを搭載しています。最上位モデルのVZ82/Fで選べる1TB SSDのみPCIe SSDとなっています。それ以外はSATA SSDです。


ストレージの選び方(筆者の独自判断)
※灰色のバーのパーツは、本製品では選択できません

本機で計測したベンチマーク

以下、本製品で計測したベンチマークスコアです。なお、CPU脆弱性の影響を緩和する「KB4056892」のパッチは適用済みです(2018年2月22日時点で最新状態に更新しています)。

CINEBENCH R15
(CPU性能の評価)

Core i7-8550U
PassMark Performance Test 9.0 CPU MARK
(CPU性能の評価)

Core i7-8550U
3DMark
(主にグラフィックス、CPU性能の評価)

Core i7-8550U、インテル UHD グラフィックス 620
TMPGEnc Video Mastering Works 6によるエンコード時間
(x265がCPU性能の評価、NVENC、QSVが主にグラフィックス性能評価)
  Core i7-8550U
x265でエンコード (※1) 31分49秒
NVENCでエンコード (※2)
QSVでエンコード (※3) 3分34秒
XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※3 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
CrystalDiskMark
(ストレージの評価)

256GB SATA M.2 SSD(東芝 KSG60ZMV256G)

 

USB Type-C 充電器 / ドックの動作テスト

USB Type-Cポートを利用して、下表の他の充電器やドックで充電などができるかを試した結果を掲載します。

試した機器は、全て問題なく使えました。

USB Type-C/Thunderbolt対応の充電器/ドックとの互換性
  充電できるか? 外部モニターや
LANの拡張
ドック ThinkPad USB Type-C ドック OK OK
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック OK OK
外部GPU BOX AORUS GTX 1070 Gaming Box OK OK
充電器 Helper 充電器(60W) OK
ZHOULX 充電器(65W) OK

 

質量のチェック

質量のチェックです。

メーカーサイトには「約1.099kg」とあましたが、それよりも軽量な1.039kgでした。もう少しで1kgを切りそうな軽さです。他のモバイルPCと比較しても、比較的軽量です。

ACアダプターは235gと、こちらもやや軽量です。


質量の計測結果

 

バッテリー駆動時間のチェック

バッテリー駆動時間をチェックします。

本製品のバッテリー容量は約44Whで、メーカーが公表しているバッテリー駆動時間は約16.5時間(JEITA2.0)です。

当サイトによるバッテリー駆動時間は下の表の通りです。バッテリー駆動時間の電源モードは、デフォルトの"高パフォーマンス"にしています。

バッテリー容量は普通ですが、液晶画面がやや小さめであることもあり、他のモバイルPCと比べて"やや長め"のバッテリー駆動時間だと思います。

バッテリー駆動時間
  Core i7-8550U
PCMark 8 Home テスト ※1 4時間24分
PCMark 8 Work テスト ※2 6時間28分
動画再生時 ※3 8時間42分
※画面輝度は約120cd/m2、電源モードは高パフォーマンス
※1 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、画像編集、ビデオチャット、軽いゲームなどを実行

※2 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャットなどを実行
※3 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生

 

 


 

 

以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。

静音性のチェック

動作音(静音性)のチェック結果です。

動作音は、低負荷時は比較的静かですが、高負荷時は普通だと思います。


騒音値の計測結果
計測機器:リオン NL-42K、部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB

騒音値の計測結果

パーツの温度のチェック

パーツ温度(主にCPU)のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。

"やや低め~普通"の温度です。


 

エンコード時のCPU温度とクロックの推移は下図のようになっています。2,000MHzあたりで動作しています。高いクロックではありませんが、安定して動作していると思います。CPU温度も68℃前後を保って動作しており、安心して使えると思います。


エンコード時のCPU温度とクロック

表面温度のチェック

表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。

キーボード面は低めの温度で快適に使用できます。裏面は高い部分があるので、膝の上に置くときや、手に持って使うときは気を付けましょう。


表面温度の計測結果
測定環境:室内温度 約26℃
温度測定:SainSonic SS5380、背景のサーモグラフィー画像:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※選択したCPUやGPUが異なるとパーツの温度は変わってきます

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。

やや低めの消費電力です。


 

外観のチェック

外観のチェックです。

ボディはマグネシウム合金で出来ており、高級感があります。

カラーは、オニキスブルーとプレシャスシルバーがあり、今回はプレシャスシルバーのカラーとなっています。

プレシャスシルバーは、ホワイト寄りのシルバーで、清潔感があります。

 

天板です。

 

スピーカーは側面に配置されています。音質は悪くないですが、最大音量が小さいのが気になります。ノートPCの前に座って音楽を聴くのであれば問題ないかもしれませんが、離れたところにPCを置いてスピーカー代わりにするには音量不足です。総合的にノートPC基準で採点すると、10点満点で5点といったところです(普通が5点で、筆者の独断の評価です)。

 

天板を閉じたときの画像です。

 

液晶は約180度開きます。

 

インターフェースは、下図の通りです。フルサイズUSBとUSB Type-C、ヘッドホン/マイク端子のみで、ポートの数は少ないです。

 

底面はすっきりとしています。

 

ACアダプターの詳細は次の通りで、45Wとなっています。

まとめ

以上が、dynabook VZシリーズのレビューです。

液晶が360度回転する 2 in 1 パソコンとしては、質量、バッテリー、性能などのバランスが良く、多くのシチュエーションで使用できるPCだと思います。

アクティブペンにも対応しています。イラスト向きではないですが、線を引くときに適度な抵抗感があり、文字を書くのに適していると思います。抵抗感が強すぎると感じたら、別のワコムのペンを使ってみるのも良いでしょう。

2 in 1 PCは低性能なCPUを搭載しているケースもありますが、dynabook VZシリーズは、Uシリーズの第8世代インテルCoreプロセッサーを搭載しており、性能十分です。

ただし、液晶のフィルムのせいか、ややギラつくのが気になります。また、縦方向のキーピッチももう少し広いと嬉しかったです。

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