Core i7-8550Uのベンチマーク

更新日:2017年10月24日
初稿:2017年9月25日

Core i7-8550Uのベンチマーク

はじめに

ここでは、Core i7-8550Uのベンチマークスコアを掲載します。

3台で計測した平均値を求め、旧世代のCore i7-7500Uと比較しています。

【結果概要】旧CPUより約1.5倍速い

お忙しい方のために、結果の概要だけ先に紹介します。

CPU性能を評価する「CINEBENCH R15」のマルチコアのベンチマークスコアの結果は下図の通りで、Core i7-8550Uは、旧世代のCore i7-7500Uより約1.5倍もスコアが伸びました。ただし、第8世代のCore i5とそれほどスコアは変わりません。


CINEBENCH R15 - CPU(マルチコア)

 

また、同じくCPU性能評価する「Passmark」のCPU MARKのベンチマークスコアの結果は下図の通りで、Core i7-8550Uは、旧世代のCore i7-7500Uより約1.5倍もスコアが伸びました


Passmark - CPU MARK

Core i7-8550Uの仕様

Core i7-8550Uは、第8世代となるインテルCoreプロセッサーで、主にノートPCに採用されるCPUです。Uシリーズとしては初めてコア数が4つになり、8スレッドの同時実行が可能です。

主な仕様は、次の通りです。第7世代のCPUと比べると、コア数およびスレッド数が2倍になり、ターボブースト時の最大動作クロックも4.0GHzへと上がっています。またキャッシュも増加しています。その代わり、ベースクロックは下がっています。

内蔵グラフィックスについては、名称が「Intel HD~」から「Intel UHD~」に変わり、4K対応であることがよりアピールされています。ただ、第7世代CPUから4Kには強くなっており、性能面ではほぼ変わらないと思われます。

Core i7-8550UとCore i7-7500Uの仕様比較
  第8世代プロセッサー 第7世代プロセッサー
Core i7-8550U Core i7-7500U
開発コード名 Kaby Lake R Kaby Lake
コア数 / スレッド数 4 / 8 2 / 4
ベースクロック 1.8GHz 2.7GHz
ターボブースト時の
最大動作クロック
4.0GHz 3.5GHz
キャッシュ 8MB 4MB
内蔵グラフィックス Intel UHD Graphics 620 Intel HD Graphics 620
TDP 15W 15W

次の3台のPCでテスト

今回は、次の3台のPCでテストしました。

DELL XPS 13

第8世代インテルCoreプロセッサー「Core i7-8550U」を搭載したモデルが選べるようになったXPS 13です。今回試した中では動作が安定しており、CINEBENCHでは最もスコアが良かったです。


DELL XPS 13

HP ENVY 13

こちらも、第8世代インテルCoreプロセッサー「Core i7-8550U」を搭載したモデルが選べるようになったENVY 13。なお、メモリがシングルチャンネルであるため、グラフィック関連のスコアは低めに出ています。CPUスコアもあまり伸びませんでした。


HP ENVY 13

ASUS ZenBook 3 Deluxe UX3490UAR

第8世代インテルCoreプロセッサー「Core i7-8550U」搭載のASUS ZenBook 3 Deluxe UX3490UARです。放熱性が悪く、このPCでエンコードすると、サーマルスロットリングが発生していました。


ASUS ZenBook 3 Deluxe UX3490UAR

Core i7-8550Uの各種ベンチマークスコア

上記3台で計測したベンチマークスコアを掲載します。第7世代CPUのときと比べて、パソコンによってスコアが大きく変わっているのが印象的です。第8世代インテルCPUのモデルを購入するときは、放熱性の良いPCを選んだほうが良さそうです。

Passmark - CPU Mark約1.5倍もスコアUP

まずは、Core i7-8550Uについて、PassmarkのCPU Markのスコアから確認します。3台で計測したスコアを平均すると「9357」となりました。

Core i7-7500Uは約6000であるため、旧世代CPUより約1.5倍はスコアが伸びたことになります。

なお、TDP45WのCore i7-7700HQとほぼ同じスコアです。

PassMark Performance Test 9.0 CPU MARK
(CPU性能の評価)

XPS 13


ENVY 13


ASUS ZenBook 3 Deluxe UX3490UAR

CINEBENCH R15約1.5倍もスコアUP

次に、Core i7-8550UのCINEBENCH R15のスコアを確認します。3台の平均をとるとマルチコアで「538 cb」でした。

Core i7-7500Uの場合、マルチコアのスコアは約330であるため、旧世代CPUより約1.5倍はスコアが伸びていることになります。

CINEBENCH R15
(CPU性能の評価)

XPS 13


ENVY 13


ASUS ZenBook 3 Deluxe UX3490UAR

TMPGEnc Video Mastering Works 6によるエンコード時間

次は、実際のソフトウェア「TMPGEnc Video Mastering Works 6」を使ってエンコードにかかった時間を計測します。XAVC Sの動画をH.265/HEVCへ変換する処理を実行しています。

XPS 13は27分2秒、ENVY 13は30分10秒という結果でした。旧世代のCore i7-7500Uで同様の処理を行った場合、約41分であったため、旧世代CPUの4分の3くらいの時間で処理が完了しています。

TMPGEnc Video Mastering Works 6によるエンコード時間
(x265がCPU性能の評価、NVENC、QSVが主にグラフィックス性能評価)

XPS 13


ENVY 13


ASUS ZenBook 3 Deluxe UX3490UAR

 

ただし、ASUS ZenBook 3 Deluxe UX3490UARは35分2秒と、他の第8世代CPUモデルに比べると時間がかかっていました。これはエンコードをしてから数分経つと、サーマルスロットリングが発生し、徐々にCPUクロックが下がっていったためです。

PassmarkやCINEBENCHの場合、何十分も高い負荷をかけ続けるわけではないため、ベンチマークスコアにそこまで影響はしなかったのだと思います。


ASUS ZenBook 3 Deluxe UX3490UARの温度の計測結果

ベンチマークスコアのまとめ

最後に、上で掲載したベンチマークスコアを含め、今回計測したベンチマークスコアをすべて掲載します。

CPU処理性能の比較

CPU性能ついて、各ノートPCで計測した各ベンチマークスコアと、3台の平均値を掲載します。ただし、ZenBook 3のエンコード時間については、クロックダウンしたため平均に含んでいません。

Core i7-8550Uのベンチマーク(各PCのスコアと平均値)
テスト内容 Core i7-8550U
XPS 13 ENVY 13 ZenBook 3 平均値
Passmark - CPU Mark 9357 8699 10062 9372
CINEBENCH R15 - CPU (Multi-Core) 606 cb 505 cb 504 cb 538 cb
CINEBENCH R15 - CPU (Single-Core) 170 cb 135 cb 149 cb 151 cb
Geekbench 4 - CPU (Multi-Core) 13440 12451 13205 13032
Geekbench 4 - CPU (Single-Core) 4490 4658 4514 4554
x265でH.265/HEVCエンコード 27分02秒 30分10秒 ※【35分02秒】 28分36秒
※ZenBook 3のエンコード時間は平均に含んでいません

 

下表は、Core i7-8550Uのベンチマークの平均値と、旧世代のCore i7-7500Uと比較たものです。シングルコアのスコアはほぼかわりませんが、マルチコアのスコアは大きく向上しています。

Core i7-8550UとCore i7-7500Uの比較
テスト内容 Core i7-8550U 平均値 Core i7-7500U
Passmark - CPU Mark 9372 5888
CINEBENCH R15 - CPU (Multi-Core) 538 cb 333 cb
CINEBENCH R15 - CPU (Single-Core) 151 cb 148 cb
Geekbench 4 - CPU (Multi-Core) 13032 8426
Geekbench 4 - CPU (Single-Core) 4554 4409
x265でH.265/HEVCエンコード 28分36秒 41分4秒

グラフィック性能の比較

グラフィック関連のスコアについては、ENVY 13はシングルチャンネルのメモリの影響でスコアが低めになっています。Zenbook 3も熱の影響かあまりスコアが良くありません。XPS 13のスコアが参考になると思いますが、旧CPUと比べて、スコアはほとんど変わりません。

Core i7-8550UとCore i7-7500Uの比較
テスト内容 Core i7-8550U Core i7-7500U
XPS 13 ENVY 13 ZenBook 3
3DMark Sky Diver - Graphics score 4138 3712 2760 4002
3DMark Cloud Gate - Graphics score 9704 8361 7542 8547
CINEBENCH R15 - OpenGL 48.44 fps 44.20 fps 51.97 fps 46.14 fps
ドラゴンクエスト X (1280x720) 7510 6681 7083 8728
QSVでH.265/HEVCエンコード 3分22秒 3分40秒 3分52秒 4分14秒

まとめ

Core i7-8550Uは、4コアになったことにより、マルチコアのベンチマークスコアが大きく向上しています。旧世代CPUと比べると、約1.5倍も性能が向上しています。

編集系の作業がより快適になることでしょう。

ただし、第8世代のCore i5-8250Uとそれほどスコアが変わりません。個人的にはCore i5-8250Uで十分だと感じます。

また、ZenBookのように放熱性が悪いPCだと、エンコードのような長時間かかる処理はサーマルスロットリングが発生しましたので、製品選びは注意しましょう。