ノートPC向けインテル「Core Ultra」シリーズのラインナップとベンチマーク

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2023年12月15日、「Meteor Lake」こと、次世代ノートPC向けインテルプロセッサー「Core Ultra」シリーズが正式に発表されました。ここでは、「Core Ultra」の特徴と各プロセッサーの仕様、Geekbenchで公開されているベンチマークスコアについて紹介します。CINEBENCHなどのその他のベンチマークスコアについては、後日実機で確認していく予定です。

 

タイルアーキテクチャを採用した「Core Ultra」

「Meteor Lake」こと、「Core Ultra」は、“i”表記を無くしたインテルの新生ブランドで、インテル初の「タイルアーキテクチャ」を採用したプロセッサーです。「タイルアーキテクチャ」とは、CPUやGPUを含む4つのタイルを「Foveros」という3Dパッケージング技術で統合したもの。なお、各タイルの製造プロセスは異なり、CPUダイに相当するコンピュートタイルは、最新の「Intel 4」(7nm)プロセスで製造され、P/Eコアともに性能が向上しているようです。

また、「Core Ultra」では、負荷に応じて電力効率を分散する「3Dパフォーマンスハイブリッドアーキテクチャ」が採用されています。CPUのE-coreとは別に、低消費電力版のE-core(LP E-core)を2基搭載しており、アイドル時やストリーミングによる動画再生といった低負荷時には、このLP E-coreが動作することで、超低消費電力を実現しています。

さらに、AI専用プロセッサーであるNPU「Intel AI Boost」が2基搭載され、CPU、GPU、NPUの3つのプロセッサーにより、生成AIなどのAI処理も高速化できるそうです。

GPUには、Xe-LPGアーキテクチャを採用したIntel ArcベースのGPUを搭載し、AAAタイトルがプレイできるほどゲーム性能が向上しているそうですが、先のIntel Arcシリーズを見る限りでは、ドライバの出来次第でパフォーマンスが左右されそうなところです。

Meteor Lake - Core Ultraの主な特徴

■ CPU、GPU、I/O、SoC、4つのタイルを1つにパッケージング

■ 低負荷時はCPUと独立したLP E-coreで消費電力を削減

■ CPUとGPUに加えて独立したNPU搭載でAI処理を強化

■ Intel ArcベースのGPUを搭載しグラフィック性能も向上

 

これまでのインテル Core iシリーズから大きな変革となった「Core Ultra」は、「Hシリーズ」と「Uシリーズ」の2種類からなり、中間の「Pシリーズ」は廃止となりました。

「Hシリーズ」がメインストリームとなるPBP(Processor Base Power):28Wのプロセッサーで、「Uシリーズ」がPBP:15Wのプロセッサーとなります。

インテル「Core Ultra」Hシリーズ、Uシリーズ
※画像をクリックすると拡大できます

 

Hシリーズ(高性能ノートPC向け)

高性能ノートPCに搭載される「Core Ultra」のHシリーズは、PBPが28Wまたは45Wですが、Max Turbo Powerは筐体の排熱設計に応じて64Wまたは115Wになるそうです。HシリーズのCore Ultra 7とCore Ultra 5は、動作クロックのみが異なる2つのモデルが用意されています。最上位の「Core Ultra 9 185H」は、2024年第1四半期より遅れて登場となります。

GPU名は「Intel Arc GPU」となっていますが、 デュアルチャネルかつ16GB以上のメインメモリを搭載していない構成だと、「Intel Graphics」になってしまうようです。

仕様表では、第13世代のHシリーズと比べて、P / Eコア数、L3キャッシュ量に変化はなく、動作クロックも大幅な変更はありません。

Hシリーズ(高性能ノートPC向け)の一覧
  Core Ultra 9 185H Core Ultra 7 165H Core Ultra 7 155H Core Ultra 5 135H Core Ultra 5 125H
P / E / LP Eコア 6 / 8 / 2 6 / 8 / 2 4 / 8 / 2
Pコア最大クロック 5.1GHz 5.0GHz 4.8GHz 4.6GHz 4.5GHz
Eコア最大クロック 3.8GHz 3.6GHz
L3キャッシュ 24MB 18MB
GPU Intel Arc GPU
GPU最大クロック 2.35GHz 2.3GHz 2.25GHz 2.2GHz
GPU Xe コア 8 7
Neural Processor Intel AI Boost
PBP 45W 28W 28W
MTP 115W 64W / 115W 64W / 115W
※インテル発表時のスライドを参照
※PBP:Processor Base Power
※MTP:Max Turbo Power

 

「Core Ultra」の性能について、不明な点はまだ多いですが、Geekbenchのサイトで公開されているスコアは次の通りです。なお、実際に筆者が計測したスコアではなく、Geekbenchのサイトに掲載されているスコアを参照しています。まだサンプル数が少ないので、参考程度にご覧ください。

Core Ultra 9 185Hは、Core i9-13900HKと比較してマルチコア、シングルコアともにスコアが落ちていますが、まだ出回っていないプロセッサーなので、なんとも言えません。多くの高性能ノートPCへの採用率が高いと思われるCore Ultra 7 165Hでは、Core i7-13700Hと比較して、マルチコア、シングルコア性能ともにほぼ同等かと思われます。いずれもPBPの設定次第では、前世代を上回るかもしれません。

Geekbench 6
他のCPUとの比較(マルチコア)
Core i9-13900HK 14777
Core Ultra 9 185H 13796
Core Ultra 7 165H 12545
Core i7-13700H 12503
Core i5-13500H 11050
Core Ultra 5 135H 10239
他のCPUとの比較(シングルコア)
Core i9-13900HK 2650
Core i7-13700H 2555
Core Ultra 9 185H 2522
Core Ultra 7 165H 2502
Core i5-13500H 2351
Core Ultra 5 135H 2247
Geekbenchのサイトからの引用

 

Uシリーズ(薄型ノートPC向け)

続いて、薄型ノートPCに搭載されるUシリーズは、PBPが15Wです。PBPが9Wの低電力版は、Core Ultra 9 185Hと同様に2024年第1四半期より遅れて登場となります。なお、UシリーズでのGPU名は「Intel Graphics」となっており、「Intel Arc GPU」ではありません。

Uシリーズ(薄型ノートPC向け)の一覧
  Core Ultra 7 165U Core Ultra 7 155U Core Ultra 7 164U
Pコア / Eコア / LP Eコア 2 / 8 / 2
Pコア最大クロック 4.9GHz 4.8GHz
Eコア最大クロック 3.8GHz
L3キャッシュ 12MB
GPU Intel Graphics
GPU最大クロック 2.0GHz 1.95GHz 1.8GHz
GPU Xe コア 4
Neural Processor Intel AI Boost
PBP 15W 9W
Max Turbo Power 57W 30W
  Core Ultra 5 135U Core Ultra 5 125U Core Ultra 5 134U
Pコア / Eコア / LP Eコア 2 / 8 / 2
Pコア最大クロック 4.4GHz 4.3GHz 4.4GHz
Eコア最大クロック 3.6GHz
L3キャッシュ 12MB
GPU Intel Graphics
GPU最大クロック 1.9GHz 1.85GHz 1.75GHz
GPU Xe コア 4
Neural Processor Intel AI Boost
PBP 15W 9W
Max Turbo Power 57W 30W
※インテル発表時のスライドを参照。

 

こちらはGeeckBenchの情報はありませんでした。後日、実機などで確認してみようと思います。

 

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