※当サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。

マイクロソフト Surface Book 2 15インチの実機レビュー

更新日:2018年5月23日
CPU Core i7-8650U
GPU GeForce GTX 1060
メモリ 16GB
ストレージ PCIe SSD
液晶サイズ 15型ワイド
液晶種類 3240x2160 光沢 タッチ
質量 約1.905kg
バッテリー 17時間(ビデオ再生)
LTE 非対応
価格 約30万円~

クリエイティブ向けの高性能 2 in 1 PC

Surface Book 2 15インチは、ペン性能が高く、GeForce GTX 1060の高性能グラフィックスを搭載したクリエイティブ作業向けの2 in 1 PCです。

4,096段階の筆圧検知および傾き検知に対応したSurfaceペンに対応し、イラストなどが描きやすくなっています。

また、グラフィックスにはGeForce GTX 1060を搭載し、GPU支援対応のアプリを使えば、編集時の描画速度が高速になったり、書き出しが高速になったりします。

GTX 1060を搭載した15型ノートPCとしては質量も軽く、バッテリー駆動時間も長く、外出先へ持ちだすこともできるでしょう。

ただし、価格はかなり高いです。

公式サイトはこちら

 

レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は次の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Core i7-8650U、16GBメモリ、GeForce GTX 1060(6GB)、512GB PCIe SSD

目次

お忙しい方は、「Surface Book 2 15 インチの特徴」のみお読みください。

Surface Book 2 15 インチの特徴

GeForce GTX 1060を搭載しAdobeソフトやゲームが快適

Surface Book 2 15 インチは、GeForce GTX 1060を搭載しており、Adobe Lightroom、Premiere Pro、PhotoShop、IllustratorなどのGPU支援に対応したアプリについて、一部の描画や処理を高速にすることが可能です。

ペンなどに対応している点から基本的にはクリエイター向けのPCですが、ゲームも快適に動作するスペックです。ベンチマークスコアについては後述します。


Adobeソフトも快適動作

 

SurfaceペンやSurface Dialに対応

Surface Book 2は、Surfaceペンや、Surface Dialにも対応しています。

Surfaceペンは、4,096段階の筆圧検知、傾き検知に対応しています。Surface Proと同様にイラストを本格的に描く方でも、満足できる書き心地だと思います。

[関連記事:iPad Pro、Surface Pro、MIIX 720のペンはどれが描きやすい?]


ペン対応

 

Surface Dialにも対応しており、編集作業が楽になります。Surface Dialと言えば、画面に張り付けて使っている画像をよく見かけると思います。本製品もそのような使い方ができますが、画面が小さいため、テーブルに置いて使ったほうがやりやすいと思います。


Surface Dialを使用可能

液晶とキーボードは分離でき、タブレットを反対向きにドッキング可能

Surface Book 2は、タブレット部分(液晶)とキーボード部分が分離するセパレート型の2 in 1 PCとなっています。分離したタブレット部分は、反対向きにドッキングして使うことも可能です。


タブレットを反対向きにドッキングして使うことも可能

 

CPUはタブレット側、グラフィックスはキーボード側に搭載されています。そのため、タブレットを切り離すと、GeForce GTX 1060を使うことはできません。GeForce GTX 1060を使うアプリを使用中に、タブレットを抜こうとすると、下図のような警告画面が表示されます。

安易に取り外して使うことができないため、基本的にはクラムシェルの形のままで使うことが多いと思います。


タブレットを分離させようとしたときの警告画面

 

価格が高い点はデメリット

価格は、 最低でも30万円し、非常に高いです。GTX 1060搭載デスクトップPC + 広色域液晶ディスプレイ + モバイルノートPCが買えるような値段です。Surface Book 2 15インチは、1台でなんでもやりたいという方には適した製品ですが、そうでなければ、用途によって別のマシンを購入することも検討してもいいと思います。

液晶ディスプレイのチェック

液晶ディスプレイのチェックです。

液晶型番は「LP150QD112604」でした。

最大輝度は、当サイトによる計測で、369cd/m2でした。やや高めです。

視野角は良好です。


視野角(斜めから見たときの見やすさ)

 

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線です。どの色も直線的で、自然な発色であることが分かります。


 

色域はやや広めです。ただ、クリエイティブ向けの製品なので、もう少し色域が広くても良かったかなと思います。


ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

 

画素形状は下図の通りです。ギラつきは感じません。


画素の拡大図

 

光沢液晶ですので、画面への映り込みがあります。


画面への映り込み

キーボードおよびタッチパッドのチェック

キーボードとタッチパッドのチェックです。

適度な反発感があり、底付きの衝撃も少なく、割と打ちやすいです。なお、Surface Book2 13.5インチと同じキーボードを採用していると思われます。


キーボード全体図


キーの拡大図

 

キーボードバックライトも搭載しています。


キーボードバックライト

 

パフォーマンスのチェック

Surface Book 2 15インチのパフォーマンスのチェックです。

CPU

第8世代インテルCoreプロセッサーを搭載し、編集系の作業も快適に行えます。Surface Book 2 13.5インチを使ったときは、CPUが搭載されているタブレット側に、CPUファンがありませんでしたが、本製品はCPUファンが搭載されているため、長時間の負荷でも極端なクロックダウンが起こることはありません。

ただし、UシリーズのCore i7-8650Uだと、本格的に動画編集をやる場合、ゲームをする場合など、スペック不足になるケースもあります。


CPU性能の目安
※灰色のバーのパーツは、本製品では選択できません

グラフィックス

GeForce GTX 1060を搭載しており、ノートパソコンとしては、高めの性能です。ただし、後述しますが、ゲーミングノートPCに搭載されたGeForce GTX 1060より、ベンチマークスコアは1~2割低めになります。



グラフィックス性能の目安
※灰色のバーのパーツは選択できません

ストレージ

ストレージは、高速なPCIe-NVMe SSDを選択可能です。


ストレージ性能の目安
※灰色のバーのパーツは、本製品では選択できません

Surface Book 2 15インチで計測したベンチマーク

以下、実機で計測したベンチマークスコアを掲載します。CPU関連のスコアは順当ですが、GPU関連のスコアは、一般的なGeForce GTX 1060よりもやや低めです。

CINEBENCH R15
(CPU性能の評価)

Core i7-8650U
PassMark Performance Test 9.0 CPU MARK
(CPU性能の評価)

Core i7-8650U
3DMark
(主にグラフィックス、CPU性能の評価)



Core i7-8650U、GeForce GTX 1060(6GB)
TMPGEnc Video Mastering Works 6によるエンコード時間
(x265がCPU性能の評価、NVENC、QSVが主にグラフィックス性能評価)
  Core i7-8650U
x265でエンコード (※1) 29分56秒
NVENCでエンコード (※2) 1分50秒
QSVでエンコード (※3) 3分32秒
XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※3 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
CrystalDiskMark
(ストレージの評価)

512GB PCIe SSD

 

ゲームベンチマーク

ゲームベンチマークを実行し、他のGeForce GTX 1060のスコアと違いがあるか確認しました。

Surface Book 2 15インチは、ゲーム専用ノートPCと比べると、同じGeForce GTX 1060(6GB)を搭載していても、1~2割ほどスコアが低かったです。

重い部類のゲーム
ファイナルファンタジー XV
1920x1080 軽量品質 6382 (とても快適) 63 fps
標準品質 5262 (とても快適) 52 fps
高品質 3915 (普通) 39 fps

 

中程度の重さのゲーム
ファイナルファンタジー XIV 紅蓮のリベレーター
1920x1080 標準品質(デスクトップPC) 13467 (非常に快適) 99 fps
高品質(デスクトップPC) 11445 (非常に快適) 81 fps
最高品質 9402 (非常に快適) 64 fps

 

中程度の重さのゲーム
ファークライ 5
1920x1080 低品質 69 fps
高品質 58 fps
最高品質 55 fps

 

これは、GeForce GTX 1060のブーストクロックが1.569MHzとやや低めであることが原因の1つかなと思います。また、CPUが第8世代とは言え、HシリーズではなくUシリーズであることがやや影響していると思います。

それでも、「中程度の重さのゲーム」に分類したタイトルなら、高め~最高設定のグラフィック品質で、60fps前後ができます。


グラフィックカードのスペック

 

カードリーダー/ライターのチェック

内蔵カードリーダー/ライターのチェックです。

SDカード挿入後の出っ張りがあります。そのため、SDカードを挿入したままカバンに入れると、カードが破損する可能性があります。


SDカードスロットの位置

 

速度は速いです。RAWで撮影したファイルを、PC本体にコピーする際にも、転送速度に満足できるでしょう。


SDカードのベンチマーク(UHS-Ⅰのカードで測定)

質量のチェック

Surface Book 2 15インチの質量のチェックです。

メーカー仕様表では、約1.905kgとなっています。

当サイトによる計測値は下図の通りです。GeForce GTX 1060を搭載しているノートPCとしては軽量です。




質量の計測結果

バッテリー駆動時間のチェック

バッテリー駆動時間のチェックです。

バッテリー容量はタブレット部分が約18Wh、キーボード部分が約57Whとなっています。

合計すると約75Whもあり、モバイルノートパソコンとしては、かなり多い容量を搭載しています。


バッテリー容量

 

当サイトで計測したバッテリー駆動時間は、下の表の通りです。今回は、タブレット+キーボードの状態のみ計測しています。長めの駆動時間だと思います。

バッテリー駆動時間
  タブレット
+キーボード
PCMark 8 Home テスト ※1 7時間17分
PCMark 8 Work テスト ※2 7時間51分
動画再生時 ※3 11時間39分
※画面輝度を約120cd/m2に調整して計測
※1 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、画像編集、ビデオチャット、軽いゲームなどを実行

※2 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャットなどを実行
※3 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生

 


 

 

以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。

静音性のチェック

Surface Book 2の動作音(静音性)のチェック結果です。

アイドル時、動画編集時、エンコード時は、各処理の割には低めの動作音です。

ただし、グラフィックスに負荷をかけたときの騒音値は高めです。


騒音値の計測結果
計測機器:リオン NL-42K、部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB

【PCの状態】
左から1番目の図:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目の図:PowerDirector の編集画面でエフェクトを追加しプレビュー再生
左から3番目の図:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコード時(x265)
左から4番目の図:FF14 紅蓮 ベンチマーク ループ実行(60fps制限)時(標準品質、1920x1080)

パーツの温度のチェック

パーツ温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。

温度を計測するHWMonitorを起動すると、アイドル時でも約15%もCPU使用率が向上してしまうため、今回、低負荷時の温度計測は省略しました。

エンコード時はどのみちCPU使用率が100%になるため、温度計測したところ、70℃前後に収まっており、問題ない温度だと思います。

FF14ベンチマーク実行時(60fpsに制限)は、GPU温度を確認するために計測したところ、60℃台になっており、こちらも問題ない温度でした。なお、下に図は掲載していませんが、フレームレートの制限をかけないで実行したときも、70℃前後で推移しており、問題ない温度です。


エンコード時の温度の詳細

エンコード時のCPU温度の詳細です。急激な温度の下降(極端なクロックダウン)も起こっていませんでした。


エンコード中のCPU温度とクロック

 

表面温度のチェック

表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。

CPUはタブレット部分にあり、GPUはキーボード部分にあります。そのため、CPU負荷の高い処理はタブレット側が熱くなり、GPU負荷の高い処理はキーボード側が熱くなります。

ゲーム実行時のキーボード面の温度がやや高めかなと思いました。


消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。

アイドル時は低めの消費電力ですが、それ以外はノートPCとしてはやや高めです。


外観のチェック

外観のチェックです。

ボディにはマグネシウム合金を採用しています。硬いボディで、ひねっても曲がることはありません。

 

天板にはWindowsのロゴマークが入っており、一目でSurface Bookシリーズだと分かります。

 

液晶を閉じたときの画像です。液晶を開くときに指を引っかける出っ張りが無く、溝も浅く、液晶が重いため、やや開けにくいです。

 

背面側はジャバラのようになっており、好きなデザインですが、タブレットとキーボードの間に隙間ができるため、厚みはややあります。

 

グラフィックスの冷却用に、キーボードの上側に吸・排気口があります。

 

タブレット側にもCPUファンがあり、スリットから放熱します。

 

底面には吸・排気口は無く、スッキリとしています。

 

スピーカーはタブレット側の両サイドにあります。ノートPCの割には重低音が効いていて、最大音量も高く、耳の高さに近い位置にスピーカーがあるため、音は比較的良く聞こえました。勝手に点数をつけると、10点満点で6点の音質です(普通が5点で、筆者の独断の評価です)。

 

液晶が開く最大の角度です。液晶(タブレット)が重いため、あまり開きません。

 

左側面には、フルサイズのUSB3.0、メモリカードスロットがあります。

 

右側面には、USB Type-C、電源コネクタがあります。

 

タブレットの天面には電源ボタンと音量ボタンがあります。

 

下図のキーを押すことによって、タブレットとキーボードを分離することが可能です。

 

ACアダプターはやや大きめで、容量は102Wです。

ただし、GeForce GTX 1060のグラフィックスを搭載している割には少ない容量だと思います。

まとめ

以上が、Surface Book 2のレビューです。

GeForce GTX 1060を搭載し、ペン性能にも優れており、Adobe系のソフトなど、何かを作り上げるソフトを使用するような方におすすめです。

また、GeForce GTX 1060を搭載したノートPCとしては軽量で、このような高スペックPCを持ち運びたい方にも適しています。持ち運べるクリエイティブ向けPCとしては、この上ない製品だと思います。

ただし、価格が約30万円以上もするため非常に高価です。

Surface Book 2 15インチは、これ1台で何でもやりたいような方に適した製品ですが、用途に合わせてPCを分けたほうが便利なケースもあります。30万円あれば、PCが2台買える価格ですので、この製品でいいのかよく検討しましょう。

詳細・購入はこちら