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知ってます?レノボの国内向けPCの修理は海外ではなく群馬です
2021年8月31日、レノボ製品の修理サービスを行っているNECPC群馬事業場のオンラインツアーが開催されました。
世界シェア、国内シェアともにレノボグループが1位と売れているPCメーカーですが、その修理対応がどのようなものかは意外と知られていません。海外メーカーなので、サポートに不安があるという方や、修理対応も海外で行われているのでは?、と思っておられる方も多いようです。
ここでは、レノボ製品が、どのように修理されているのか、NECPC群馬事業場のオンラインツアーの様子をお伝えいたします。
NECPC群馬事業場について
NECPC群馬事業場でレノボ製品の修理を行うのはなぜ?
まず、レノボ製品の修理に、なんで「NECPC群馬事業場」が登場するの?と感じる方もおられることでしょう。
群馬事業場は、群馬県太田市西矢島町32番地に位置しており、1984年7月からNECのパーソナルコンピュータの開発と生産を行っていました。2002年7月からは、NECカスタムサポートとして、コールセンターや修理センター業務へと職種転換しています。
2011年7月に、NECとレノボは、NECレノボ・ジャパングループというジョイントベンチャーとなり、国内の事業で提携関係を結びます。その結果、2016年7月からは、NEC製品と、レノボ製品の修理拠点が統合され、NEC製品の修理サービスを行っていたNECPC群馬事業場で、全レノボ製PC製品の修理も行うようになりました。
このような経緯で、現在、レノボ製品の修理は、国内のNECPC群馬事業場で行われているのです。
NECPC群馬事業場のフロア案内
NECPC群馬事業場の工場棟のフロアマップは、下図のとおりです。
ここからもわかるように、別ラインではありますが、同じフロアで、レノボ製品と、NEC製品の修理が行われています。
1日修理完了率95%を継続達成
NECPC群馬事業場では、修理にどれくらいの日数がかかると思われますか?
なんと、2020年7月に1日修理完了率95%を達成し、それを継続しているとのことでした。この1日修理とは、無償修理対象の修理を工場着荷後24時間以内に修理完了し、出荷することです。
非常にスピーディーに修理が行われて、返送されていることが分かります。
では、次にNECPC群馬事業場での修理の具体的な流れをご紹介します。
レノボ製品の修理の流れ
レノボ製品の修理は、以下のような流れで行われます。
修理の流れ
レノボ製品の修理の流れは、下図のようになっています。
実際にNECPC群馬事業場で行われるのは、4番の着荷から、10番の出荷までとなります。
着荷
修理依頼があった製品が、各地から専用ボックスに入れられて届きます。
開梱
パソコンを専用ボックスから取り出し、外観や、パソコンに間違いがないかのチェックを行います。その後、添付品や伝票類と一緒に、検品工程に渡します。
検品
添付品の内容や、パソコンの状態について確認します。汚れや傷、破損の有無などをチェックします。検品が終わったら、パソコンと添付品をまとめて、受付工程に渡します。
天井にカメラが設置されており、作業の様子が記録されています。問い合わせなどがあった場合には、録画した映像で作業状況を確認することができるので、安心です。
受付工程
受付工程では、修理に必要な情報を修理システムに入力します。その後、修理ラインに運ばれます。
故障診断
診断作業の前に、受付した内容と修理品に相違がないかや、添付品、外観などの確認を行います。その後、申告されている症状の確認を行い、診断ツールを使用して故障箇所の特定を行います。
部品交換
次に、故障箇所の部品交換を行います。下の画像は、マザーボード交換作業の一場面です。
マザーボードの交換は複雑な作業ですが、およそ10分で交換が完了します。熟練した技術者によって作業が行われていることが分かります。
検査
部品交換後、申告されている症状が改善されていることを確認します。さらに、ネットワークでレノボグループ世界共通の総合検査プログラムを使用して、総合的な機能検査まで行われます。
清掃
ここでも、まず、パソコンや添付品に間違いがないかのチェックを行います。その後、念入りに清掃を行います。なお、このとき特殊な薬剤などは使用せず、霧吹きの水を布にかけてボディの拭き上げを行っていました。
その後、パソコンを傷防止の袋に入れ、添付品とまとめて、次工程に進みます。
梱包
パソコンを振動や衝撃から守るための専用ボックスにパソコンを梱包します。
発送
トラックに積み込まれ、お客様のもとへ発送されます。
マザーボードの修理
パソコンの修理ラインとは別に、マザーボードの修理作業も行われています。
パソコンの修理時に交換したマザーボードなども、ここで修理され、別のパソコンの修理に使用されています。パソコンの修理時はパーツごと交換することで修理にかかる時間を短縮できます。また、別途マザーボードを修理することで、資源の有効化や、修理パーツの確保につながっています。
ここでも、熟練した技術者が、専用機械を使用し、緻密な修理作業を行っています。
故障箇所の特定
テスターやオシロスコープを使用して、故障箇所を特定します。
ここでは、フラッシュROMが故障原因と特定されていました。
フラッシュROMの交換作業
フラッシュROMが故障原因の場合、フラッシュROMの交換作業が行われます。
まず、ホットエアーを使い、故障しているフラッシュROMを取り外します。
次に、新しいフラッシュROMを取り付けます。はんだごてで、はんだ付けします。これらの修理は、手作業で行われます。
BGA部品の交換作業
場合によっては、マザーボードの主要部品であるBGA部品の交換も行われます。
BGA部品とは、下の画像のような、マザーボードにはんだ付けで固定されているCPUのことです。
BGA交換作業は、手作業ではなく、BGA交換機を使用します。まず、BGAのはんだを温めて、BGAを取り外します。
メタルマスクという器具を使い、BGAの裏側のはんだボールにはんだを印刷します。手作業で行われ、熟練の技術が必要とされる作業です。
はんだの印刷が完了したBGAをBGA交換機にセットし、マザーボードとBGAの位置合わせを行います。その後、BGAをマザーボードに搭載し、BGAにヒーターを当て、はんだを溶かして実装します。
GIGAスクールPC用の修理ライン
NECPC群馬事業場には、一般のレノボ製パソコンの修理ラインとは別に、GIGAスクールPC用の修理ラインも備えています。NECPC群馬事業場のレノボ修理フロアとほぼ同等の大きさを有しています。コロナ禍により急きょ前倒しされたGIGAスクール構想ですが、故障発生に即対応できるような修理体制が整っています。
修理依頼の例
修理対象は、全国の学校で使用されるGIGAスクールモデルのパソコンとなります。
一般的なパソコンに比べて、落下や取り扱い不注意による破損の修理が多いようです。下の画像のような破損にも対応してくれるので、心強いです。
ここでも、出荷前に総合検査が行われます。申告のあった箇所の修理だけでなく、全体が入念に点検されています。修理後も安心して使用することができます。
まとめ
以上が、レノボ製品の修理を行っている、NECPC群馬事業場のオンラインツアーの内容でした。ここで紹介した以外にも、モトローラ社のスマートフォンの修理なども行っています。
ただ単に、国内で修理作業が行われているというだけでなく、何度もパソコンと付属品をチェックし、とても丁寧に、かつスピーディーに修理作業が行われていました。また、技術者の熟練度も高く、修理箇所だけでなく、総合的な機能検査まで行われるので、修理後は安心して使用することができます。
GIGAスクール用PCの専用修理ラインを設けるなど、ニーズに合わせて素早く対応していることも知ることができました。パソコンを多くの台数販売するだけでなく、サポート・修理体制もしっかり整っている、というのがNECPC群馬事業場のオンラインツアーに参加した印象です。
これまで故障時の対応に不安があり、レノボ製パソコンに手を出すことを躊躇していたような方も、レノボのパソコンに対する見方が変わるかもしれません。
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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