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レノボ ThinkPad P14s の実機レビュー

更新日:2020年12月6日
CPU Core i7-10610U
Core i7-10510U
Core i5-10210U
GPU Quadro P520
メモリ 最大 48GB
ストレージ PCIe SSD
液晶サイズ 14.0インチ
液晶種類 FHD
FHD タッチ
FHD 省電力
FHD Privacy Guard
WQHD タッチ
4K HDR
※全てIPSパネル
質量 約1.47kg
バッテリー 最大 約15.1時間
価格[税込] 10万円台~
LTEに対応した軽量モバイルワークステーション

ThinkPad P14sは、持ち運んでの使用を想定した、14型のモバイルワークステーションです。

外部GPUには、エントリークラスのQuadro P520を搭載しており、4Kディスプレイも選択できます。

ワークステーションとしては軽く、バッテリー駆動時間も長めで、さらにLTEを搭載することもできます。

CPUおよびグラフィックスなどの処理性能は、ワークステーションとしてはかなり低いため、複雑な制作はできません。

基本的には、Office作業など一般ユーザーが行うようなことをメインで行い、たまに、Open GL対応のソフトを、ライトに使う方に適しているのかなと思います。

最新レノボPCのレビューはこちら

 

レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Core i7-10610U、Quadro P520、32GBメモリ、4K-UHD IPS 500nit

 

目次

お忙しい方は、「ThinkPad P14sの特徴」のみお読みください。

 

ThinkPad P14sの特徴

軽くてLTEに対応し、持ち運びやすいワークステーション

ThinkPad P14sは、ワークステーションに分類されるコンピューターとしては、約1.47kgと非常に軽く、さらにLTEにも対応し、持ち運びやすいコンピューターです。

背面にSIMスロット

 

Quadro P520を搭載

ThinkPad P14sは、外部グラフィックスとしてQuadro P520を搭載しています。

性能は低め

Quadro P520は、Quadroシリーズのエントリーモデルに位置し、グラフィックス性能はかなり低めです。例えば、SPECviewperf 13のcatia-05のベンチマークスコアを確認すると、Core i7-1165G7の内蔵グラフィックスよりは高いスコアであるものの、Quadro P2000などと比べると、大分低いスコアです。

CPUも、Uシリーズのモバイル向けプロセッサーであり、低めの性能です。

どういった物を制作、描画するのかによって、このスペックで足りるかどうか変わってくると思いますが、あまり複雑なことはできないでしょう。

SPECviewperf 13【catia-05】
Quadro RTX 3000 215.71
RTX 2080 142.92
Quadro P2000 95.54
GTX 1660Ti 88.36
GTX 1650 57.23
Quadro P520 47.59
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
32.94

 

10bitカラー表示もできない

今回試した4K-UHDディスプレイは10bitに対応しており、またQuadroも10bit対応しているため、10bitカラー出力が出来るのかなと思いましたが、試した限り出来ませんでした。

10bit表示をするには、dGPU(Quadro P520)を介してディスプレイに表示する必要がありますが、本製品はOptimusテクノロジーを使ってiGPU(インテル UHDグラフィックス)を介して出力されます。iGPUとdGPUを切り替えることができるMUXedであれば、10bit表示できたかもしれませんが、本製品はそういった切り替えができないため、必ずiGPUを介して出力されてしまい、10bit表示できません。

Photoshopなどの10bit対応アプリを使うときだけ、dGPU経由で表示されないかと思い試してみましたが、ダメでした。 

また、10bit対応の外部モニターへなら10bit表示できるのかと思いましたが、それもダメでした。

 

オンボート+スロットメモリ

ThinkPad P14sのメモリ構成は、8GBのオンボードメモリ+1つのメモリスロットとなっており、最大48GBのメモリを搭載できます。

ワークステーションであることを考えると、少なくとも合計16GB以上のメモリ容量がおすすめです。ただし、8GBを超える分はデュアルチャネル動作にならないのが残念です。

オンボード+スロットメモリの構成

 

ディスプレイのチェック

ThinkPad P14sのディスプレイは、6種類の液晶から選択することができます。ここでは、4K-UHD IPS液晶の特徴について記載したいと思います。

 

4K-UHD IPS, HDR, 光沢, 500nit 液晶ディスプレイ

4K UHD液晶の各種テスト結果です。パネルは、「NE140QUM-N61」でした。

下のように色域は広いです。最大輝度は、当サイトの計測では532cd/m2と高いです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 画素・
    ギラつき
  • 映り込み
  • フリッカー

色域は広いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は100%、Adobe RGBカバー率は87.3%、DCI-P3カバー率は97.2%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

ガンマ補正曲線を確認すると、素直な発色であることが分かります。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

画素形状です。ギラつきはそれほど感じません。

画面拡大

光沢液晶であるため、画面への映り込みがあります。

画面への映り込み

PWM調光によるフリッカー(ちらつき)の有無の確認結果です。フリッカーは確認されませんでした。

PWM調光の有無の確認
※フォトディテクターにオシロスコープを繋げて計測

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

ThinkPad P14sのキーボードのチェックです。

同じボディだと思われるThinkPad T14と同じ、フルサイズキーボードを搭載しています。キーピッチ・キーストロークも十分で、キートップの指馴染みがよく、打ちやすいです。

キーボード全体図
キーの拡大図

 

キーボードバックライトも搭載しており、暗い場所でも作業しやすいです。

キーボードバックライト

 

パフォーマンスのチェック

パフォーマンスのチェックです。

ThinkPadは、インテリジェント・クーリングという温度やファン速度を制御する機能が、Windowsの電源モードに統合されています。ここでは、「高パフォーマンス」と「最も高いパフォーマンス」にしたときのベンチマークスコアを掲載します。

インテリジェント・クーリング
電源モード

 

CPU

本製品では、第10世代Coreプロセッサーを搭載します。

今回、ThinkPad P14sで選択できるCPUの中で、最も処理性能が高いCore i7-10610Uを搭載していましたが、[高パフォーマンス]設定ではあまりスコアが伸びませんでした。一方、[最も高いパフォーマンス]に設定すると、妥当なパフォーマンスを発揮できているようでした。設定でかなり差があるため、CPU性能を必要とする作業を行う場合は、[最も高いパフォーマンス]を選択するといいと思います。

CINEBENCH R20
~ CPU性能の評価 ~
Core i7-10610U
他のCPUとの比較(マルチコア)
Ryzen 9 4900HS 4250
Ryzen 7 4800H 3944
Core i9-10980HK 3860
Core i7-10875H 3557
Ryzen 5 4600H 3260
Core i7-10750H 2965
Ryzen 7 4700U 2908
Core i7-10710U 2211
Ryzen 5 4500U 2180
Core i5-10300H 2113
Core i5-1135G7 2102
Core i7-1165G7 1975
Ryzen 3 4300U 1637
Core i7-10610U 1602 [最も高いパフォーマンス]
1135 [高パフォーマンス]
Core i7-1065G7 1484
Core i5-1035G4 1464
Core i7-10510U 1459
Core i5-10210U 1418
Core i3-1115G4 1098
Core i3-1005G1 948
Pentium Gold 5405U 516
Celeron N4100 459
 :本製品で選択できるプロセッサー
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

グラフィックス

ThinkPad P14sは、外部グラフィックスとして、Quadro P520を搭載しています。

下には、OpenGLのベンチマーク「SPECviewperf 13」のスコアを掲載します。Quadroが得意、不得意とするソフトが分かります。ただ、Quadro P520は、snx-03以外はいずれも低いスコアです。

SPECviewperf 13
~ グラフィックス性能の評価 ~
3dsmax-06(1900x1060
RTX 2080 193.5
RTX 2070 173.89
Quadro RTX 3000 153.54
GTX 1660Ti 139.33
RTX 2060 124.69
GTX 1650 92.59
Radeon Pro 5500M
[MacBook Pro 16]
86.4
Quadro P2000 63.62
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
32.94
Quadro P520 24.84
catia-05(1900x1060
Quadro RTX 3000 215.71
RTX 2080 142.92
Radeon Pro 5500M
[MacBook Pro 16]
120.26
RTX 2070 105.97
Quadro P2000 95.54
GTX 1660Ti 88.36
RTX 2060 88.3
GTX 1650 57.23
Quadro P520 47.59
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
32.94
creo-02(1900x1060
Quadro RTX 3000 191.78
RTX 2080 183.42
RTX 2070 158.22
GTX 1660Ti 122.83
RTX 2060 118.69
Radeon Pro 5500M
[MacBook Pro 16]
95.15
Quadro P2000 80.21
GTX 1650 78.29
Quadro P520 35.67
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
3.15
energy-02(1900x1060
Quadro RTX 3000 30.34
RTX 2080 22.53
RTX 2070 20.48
Radeon Pro 5500M
[MacBook Pro 16]
17.13
RTX 2060 14.49
Quadro P2000 11.49
GTX 1660Ti 10.27
GTX 1650 6.26
Quadro P520 0.78
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
0.48
maya-05(1900x1060
RTX 2080 228.52
RTX 2070 197.62
Quadro RTX 3000 182.32
GTX 1660Ti 169.99
RTX 2060 140.03
Radeon Pro 5500M
[MacBook Pro 16]
124.66
GTX 1650 104.66
Quadro P2000 87.38
Quadro P520 39.8
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
25.79
medical-02(1900x1060
Quadro RTX 3000 78.04
RTX 2080 61.16
RTX 2070 50.24
GTX 1660Ti 39.37
RTX 2060 37.96
Radeon Pro 5500M
[MacBook Pro 16]
30.45
GTX 1650 23.98
Quadro P2000 19.76
Quadro P520 19.02
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
5.78
showcase-02(1900x1060
RTX 2080 121.12
RTX 2070 107.96
Quadro RTX 3000 81.12
RTX 2060 76.02
GTX 1660Ti 74.84
Radeon Pro 5500M
[MacBook Pro 16]
59.93
GTX 1650 41.78
Quadro P2000 29.48
Quadro P520 13.86
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
10.15
snx-03(1900x1060
Quadro RTX 3000 224.61
Radeon Pro 5500M
[MacBook Pro 16]
155.6
Quadro P2000 114.06
Quadro P520 50.04
RTX 2080 20.54
RTX 2070 14.99
GTX 1660Ti 14.5
RTX 2060 13.93
GTX 1650 11.32
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
4.64
sw-04(1900x1060
Quadro RTX 3000 124.88
Quadro P2000 96.66
Radeon Pro 5500M
[MacBook Pro 16]
95.44
RTX 2080 78.85
RTX 2070 78.62
GTX 1660Ti 65.39
RTX 2060 60.89
Quadro P520 53.46
GTX 1650 52.51
Intel Iris Xe
(Core i7-1165G7)
9.51
※Composite Scoreを比較

 

ストレージ

レビュー機のストレージは、PCIe-NVMe SSDを搭載しており、非常に高速でした。

CrystalDiskMark
~ ストレージ性能の評価 ~
512GB PCIe SSD
他のストレージとの比較(シーケンシャルリード [MB/s] )
PCIe-NVMe SSD 1500 ~ 3600
3564
SATA-AHCI SSD 550
HDD 140
 :本製品で選択できるストレージ
 :レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)

 

SDカードスロット

microSDカードスロットを搭載しています。アクセス速度は普通です。

CrystalDiskMark
~ SDカードスロット性能 ~
最大275MB/sのUHS-Ⅱのカードで測定

 

外観のチェック

ThinkPad P14sの外観のチェックです。

ThinkPad Tシリーズと同じ見た目です。厳しいMIL-SPECテストをクリアしており、過酷な環境でも安心して使える品質なので、モバイルワークステーションとして、気兼ねなく持ち運ぶことができます。

 

天板の画像です。

 

スピーカー音は普通だと思います。ノートPC基準で採点すると、10点満点で5点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。

 

ウェブカメラに、ThinkShutterが付いており、物理的に隠すことができます。また、カスタマイズでIRカメラを選択することで、Windows Helloの顔認証でのログインが可能となります。

 

指紋センサーを選択すると、キーボードの横に指紋認証装置を搭載します。

 

ワークステーションの割には、薄いボディです。

 

ThinkPad P14sの側面の画像です。

インターフェイスとしては、USB 3.1 x2、USB Type-C x2(うち1ポートはThunderbolt 3対応)、HDMI、microSDカードリーダー、LANを備えています。フルサイズのSDカードリーダーは搭載していません。

 

液晶が開く最大の角度です。

 

底面です。

 

ACアダプターは、65Whものが付属しています。やや大きめなので、頻繁に持ち運ぶ必要があれば、小型のUSB-Cアダプターを購入してもいいと思います。

 

まとめ

ThinkPad P14sは、持ち運んでの使用に適した、14型のモバイルワークステーションです。

約1.47kgとモバイルワークステーションにしては軽く、しかもLTEに対応しており、外出先での作業に便利です。

ただし、Quadro P520の性能は低めです。どんなものを制作するのかにもよりますが、あまり複雑なことはできないでしょう。また、今回試した限りでは、10bitカラー出力も出来ませんでした。

他にない新しいジャンルの製品だとは思いますが、モバイルノートとしては重く、ワークステーションとしては性能が低く、どっちつかずだとは思います。

Officeソフトを使った作業や、Web閲覧などがメインで、たまに簡単な2D/3D CGの制作を行うような方に適しているのかなと思います。

 

LTEに対応した軽量モバイルワークステーション

ThinkPad P14s

特徴

  • Quadro P520搭載
  • 約1.47kgからと軽い
  • 6種類のディスプレイから選択可能

こんなあなたに

  • 一般作業メインで、たまに簡単なCG制作する方
  • 価格10万円台[税込]~
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