※当サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。
レノボ ThinkPad P14s の実機レビュー
CPU | Core i7-10610U Core i7-10510U Core i5-10210U |
---|---|
GPU | Quadro P520 |
メモリ | 最大 48GB |
ストレージ | PCIe SSD |
液晶サイズ | 14.0インチ |
液晶種類 | FHD FHD タッチ FHD 省電力 FHD Privacy Guard WQHD タッチ 4K HDR ※全てIPSパネル |
質量 | 約1.47kg |
バッテリー | 最大 約15.1時間 |
価格[税込] | 10万円台~ |
ThinkPad P14sは、持ち運んでの使用を想定した、14型のモバイルワークステーションです。
外部GPUには、エントリークラスのQuadro P520を搭載しており、4Kディスプレイも選択できます。
ワークステーションとしては軽く、バッテリー駆動時間も長めで、さらにLTEを搭載することもできます。
CPUおよびグラフィックスなどの処理性能は、ワークステーションとしてはかなり低いため、複雑な制作はできません。
基本的には、Office作業など一般ユーザーが行うようなことをメインで行い、たまに、Open GL対応のソフトを、ライトに使う方に適しているのかなと思います。
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は以下の構成でレビューをしています。
レビュー機の構成
Core i7-10610U、Quadro P520、32GBメモリ、4K-UHD IPS 500nit
目次
お忙しい方は、「ThinkPad P14sの特徴」のみお読みください。
ThinkPad P14sの特徴
軽くてLTEに対応し、持ち運びやすいワークステーション
ThinkPad P14sは、ワークステーションに分類されるコンピューターとしては、約1.47kgと非常に軽く、さらにLTEにも対応し、持ち運びやすいコンピューターです。
Quadro P520を搭載
ThinkPad P14sは、外部グラフィックスとしてQuadro P520を搭載しています。
性能は低め
Quadro P520は、Quadroシリーズのエントリーモデルに位置し、グラフィックス性能はかなり低めです。例えば、SPECviewperf 13のcatia-05のベンチマークスコアを確認すると、Core i7-1165G7の内蔵グラフィックスよりは高いスコアであるものの、Quadro P2000などと比べると、大分低いスコアです。
CPUも、Uシリーズのモバイル向けプロセッサーであり、低めの性能です。
どういった物を制作、描画するのかによって、このスペックで足りるかどうか変わってくると思いますが、あまり複雑なことはできないでしょう。
10bitカラー表示もできない
今回試した4K-UHDディスプレイは10bitに対応しており、またQuadroも10bit対応しているため、10bitカラー出力が出来るのかなと思いましたが、試した限り出来ませんでした。
10bit表示をするには、dGPU(Quadro P520)を介してディスプレイに表示する必要がありますが、本製品はOptimusテクノロジーを使ってiGPU(インテル UHDグラフィックス)を介して出力されます。iGPUとdGPUを切り替えることができるMUXedであれば、10bit表示できたかもしれませんが、本製品はそういった切り替えができないため、必ずiGPUを介して出力されてしまい、10bit表示できません。
Photoshopなどの10bit対応アプリを使うときだけ、dGPU経由で表示されないかと思い試してみましたが、ダメでした。
また、10bit対応の外部モニターへなら10bit表示できるのかと思いましたが、それもダメでした。
オンボート+スロットメモリ
ThinkPad P14sのメモリ構成は、8GBのオンボードメモリ+1つのメモリスロットとなっており、最大48GBのメモリを搭載できます。
ワークステーションであることを考えると、少なくとも合計16GB以上のメモリ容量がおすすめです。ただし、8GBを超える分はデュアルチャネル動作にならないのが残念です。
ディスプレイのチェック
ThinkPad P14sのディスプレイは、6種類の液晶から選択することができます。ここでは、4K-UHD IPS液晶の特徴について記載したいと思います。
4K-UHD IPS, HDR, 光沢, 500nit 液晶ディスプレイ
4K UHD液晶の各種テスト結果です。パネルは、「NE140QUM-N61」でした。
下のように色域は広いです。最大輝度は、当サイトの計測では532cd/m2と高いです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 画素・
ギラつき - 映り込み
- フリッカー
キーボードおよびタッチパッドのチェック
ThinkPad P14sのキーボードのチェックです。
同じボディだと思われるThinkPad T14と同じ、フルサイズキーボードを搭載しています。キーピッチ・キーストロークも十分で、キートップの指馴染みがよく、打ちやすいです。
キーボードバックライトも搭載しており、暗い場所でも作業しやすいです。
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
ThinkPadは、インテリジェント・クーリングという温度やファン速度を制御する機能が、Windowsの電源モードに統合されています。ここでは、「高パフォーマンス」と「最も高いパフォーマンス」にしたときのベンチマークスコアを掲載します。
CPU
本製品では、第10世代Coreプロセッサーを搭載します。
今回、ThinkPad P14sで選択できるCPUの中で、最も処理性能が高いCore i7-10610Uを搭載していましたが、[高パフォーマンス]設定ではあまりスコアが伸びませんでした。一方、[最も高いパフォーマンス]に設定すると、妥当なパフォーマンスを発揮できているようでした。設定でかなり差があるため、CPU性能を必要とする作業を行う場合は、[最も高いパフォーマンス]を選択するといいと思います。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
グラフィックス
ThinkPad P14sは、外部グラフィックスとして、Quadro P520を搭載しています。
下には、OpenGLのベンチマーク「SPECviewperf 13」のスコアを掲載します。Quadroが得意、不得意とするソフトが分かります。ただ、Quadro P520は、snx-03以外はいずれも低いスコアです。
~ グラフィックス性能の評価 ~
ストレージ
レビュー機のストレージは、PCIe-NVMe SSDを搭載しており、非常に高速でした。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
microSDカードスロットを搭載しています。アクセス速度は普通です。
外観のチェック
ThinkPad P14sの外観のチェックです。
ThinkPad Tシリーズと同じ見た目です。厳しいMIL-SPECテストをクリアしており、過酷な環境でも安心して使える品質なので、モバイルワークステーションとして、気兼ねなく持ち運ぶことができます。
天板の画像です。
スピーカー音は普通だと思います。ノートPC基準で採点すると、10点満点で5点くらいです(普通が5点。あくまで筆者独自の判断です)。
ウェブカメラに、ThinkShutterが付いており、物理的に隠すことができます。また、カスタマイズでIRカメラを選択することで、Windows Helloの顔認証でのログインが可能となります。
指紋センサーを選択すると、キーボードの横に指紋認証装置を搭載します。
ワークステーションの割には、薄いボディです。
ThinkPad P14sの側面の画像です。
インターフェイスとしては、USB 3.1 x2、USB Type-C x2(うち1ポートはThunderbolt 3対応)、HDMI、microSDカードリーダー、LANを備えています。フルサイズのSDカードリーダーは搭載していません。
液晶が開く最大の角度です。
底面です。
ACアダプターは、65Whものが付属しています。やや大きめなので、頻繁に持ち運ぶ必要があれば、小型のUSB-Cアダプターを購入してもいいと思います。
まとめ
ThinkPad P14sは、持ち運んでの使用に適した、14型のモバイルワークステーションです。
約1.47kgとモバイルワークステーションにしては軽く、しかもLTEに対応しており、外出先での作業に便利です。
ただし、Quadro P520の性能は低めです。どんなものを制作するのかにもよりますが、あまり複雑なことはできないでしょう。また、今回試した限りでは、10bitカラー出力も出来ませんでした。
他にない新しいジャンルの製品だとは思いますが、モバイルノートとしては重く、ワークステーションとしては性能が低く、どっちつかずだとは思います。
Officeソフトを使った作業や、Web閲覧などがメインで、たまに簡単な2D/3D CGの制作を行うような方に適しているのかなと思います。
LTEに対応した軽量モバイルワークステーション
ThinkPad P14s
特徴
- Quadro P520搭載
- 約1.47kgからと軽い
- 6種類のディスプレイから選択可能
こんなあなたに
- 一般作業メインで、たまに簡単なCG制作する方
- 価格10万円台[税込]~
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
関連ページ
レノボのパソコンの一覧ページです。売れ筋のThinkPadや、コストパフォーマンスの高いideapadなど掲載し、おすすめのPCも書き込んでいます。
約15年間にわたり、年間100機種以上、パソコンを細かくチェックしている筆者がおすすめするノートパソコン。