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ASUS Vivobook 13 Slate OLEDの実機レビュー
CPU | Pentium N6000 |
---|---|
メモリ | 4GB / 8GB |
ストレージ | eMMC / SSD |
液晶サイズ | 13.3インチ |
液晶種類 | FHD 有機EL タッチ 光沢 |
質量 | 約785g~ |
バッテリー | 最大 約13.6時間 (50Wh) |
価格[税込] | 9万円台~ |
ASUSから、世界初となる、13.3型有機ELディスプレイを搭載したキーボード脱着式のWindows PCが発表されました。
色域が広く、鮮やかな画面で、ネットや動画の視聴など、日常的なライトな用途に使用することができます。有機ELディスプレイを身近にしてくれる1台です。
また、別売りですが、ペンも使用できます。
処理性能は低めなので、ある程度用途を絞って使用することをおすすめします。
目次
お忙しい方は、「Vivobook 13 Slate OLEDの特徴」のみお読みください。
Vivobook 13 Slate OLEDの特徴
有機ELディスプレイ搭載のタブレットPC
Vivobook 13 Slate OLEDは、有機ELディスプレイを搭載した13.3型のタブレットPCです。
非常に珍しい構成なのも当然で、13.3型有機ELディスプレイを搭載した脱着式キーボード採用のWindowsタブレットPCとしては、世界初の機種となります。
搭載する有機ELディスプレイは、当サイト計測でsRGBカバー率、DCI-P3カバー率ともに100%と広色域で、色鮮やかな表示が可能でした。また、コントラスト比が高く、漆黒を表現することができ、メリハリのある映像を表示することができます。YouTubeで4K動画を再生してみましたが、非常にきれいでした。
これまで、有機ELディスプレイ搭載機となると、ハイエンド機というイメージでしたが、Vivobook 13 Slate OLEDによって、より身近になりました。ネットショッピングや、ネット動画の視聴などの一般的な用途に、より快適に使用することができそうです。
タブレットPC単体だと約785gと比較的軽い
Vivobook 13 Slate OLEDは、下の画像のように、スタンドカバー、キーボードがそれぞれ付属し、必要に応じて装着して使用します。
スタンドカバーや、キーボードを付けない、タブレットPC本体だけであれば約785gです。Surface Pro 8が約891gであることを考えれば、軽いほうだと思います。
ただし、スタンド装着時、スタンドの角度を変えるのに力が必要で、力をいれるとスタンドカバーが本体から外れやすいです。Surface Proスタイルとは異なり、スタンドが脱着できるのには、一長一短あります。
キーボードを使用するときは、ポゴピン接続のキーボードを装着します。ただ、スタンドカバー、キーボードを付けた状態だと、約1.385kgとなります。13型のモバイルノートPCとして見ると、やや重めの質量です。キーボードもセットにして、日常的に持ち運ぶということであれば、もっと軽い13型のノートPCがいいかもしれません。
縦置きもできる
Vivobook 13 Slate OLEDのスタンドカバーは、斜めにカットされており、下の画像のように縦に置くこともできます。
縦方向にすると、ウェブページなどを下まで表示することができます。ただ、横幅が1,080pxになるので、見切れてしまうページもあります。アスペクト比16:10のディスプレイで、横幅が1,200pxあればなおよかったです。
なお、文字が少し小さくなってもよければ、ブラウザで表示を80%ぐらいに縮小するといいです。
スタイラスペンも使用可能
Vivobook 13 Slate OLEDでは、別売りのASUS Penを使用することができます。
このASUS Penは、4,096段階の筆圧検知に対応しており、手書きメモや、ちょっとした描画にも使用できます。
なお、対応している形式は、Microsoft Penプロトコルでした。そのため、Microsoft Penプロトコル対応であれば他のペンも使用できると思います。
小学生の娘にCLIP STUDIOを使って絵を描いてもらいました。低スペックなPCなので、たまに重く感じるときもあるようですが、レイヤーが多くなければ、そこまで重くはないようです。
Lightroomを使うにはスペック不足
Adobe Lightroomでのライトな編集も・・と思い、試してみましたが、CPU負荷は100%、メモリも4GBと少ないためスワップし、ディスク負荷も100%状態となりました。また、画像の書き出しボタンを押して、書き出しの準備が整うまでに、40秒ぐらいかかりました。非常にストレスなので、Lightroom用としては、適していません。
Vivobook 13 Slate OLEDをクリエイティブな用途で使用するとしたら、クリエイター向けのPCで作成した画像や映像をきれいな画面で表示する、ビューワー的な使い方がいいと思います。
2つのモデルの紹介
Vivobook 13 Slate OLEDには、構成が異なる2つのモデルがあります。
下表では、主な違いを簡単にまとめています。
CPUはPentium Sliver N6000なので、そこまで処理性能が高いわけではありません。複雑な作業を行わない、ネットや、動画の視聴用など、ある程度用途を限定する必要があると思います。
そこそこ快適に使用したい場合は、256GB SSD + 8GBの構成の上位モデルの方がよさそうです。現時点では、上位モデルの価格が下がっており、価格差が4,000円ほどしかないので、断然上位モデルがおすすめです。
T3300KA-LQ049W | T3300KA-LQ046W | |
CPU | Pentium Silver N6000 | |
OS | Windows 11 Home | Windows 11 Home (Sモード) |
ストレージ | 256GB PCIe SSD | 128GB eMMC |
メモリ | 8GB | 4GB |
バッテリー | タ:約12.9時間 タ+キ:約10.3時間 |
タ:約13.6時間 タ+キ:約11.0時間 |
価格 [税込] | 98,820円 | 94,800円 |
各用途の快適度
各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによっても快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。
用途 | 快適度 | コメント |
Web閲覧 Office作業 |
○ | CPUの性能は高くありませんが、アップデートなど、バックグラウンドで負荷のかかる処理をしていなければ、ある程度普通に動作すると思います。 |
---|---|---|
オンライン会議 | ○ | ウェブカメラは自然な発色です。マイク、スピーカーも備えており、オンライン会議に使用できます。 ただし、CPUが非力なので、仮想背景などの機能を一部使えなかったり、動きがスムーズでない場合があるかもしれません。 |
動画鑑賞 | ◎ | ディスプレイの表示が綺麗で、比較的スピーカー音もいいので、動画鑑賞は快適です。 |
RAW現像 画像編集 |
△ | ディスプレイの色域は申し分ないですが、CPUが非力なので、画像編集ソフトの使用は快適ではありません。 |
動画編集 | △ | 簡易的な動画編集も含めて、動画編集には適していません。 |
ゲーム | △ | 内蔵グラフィックスの性能が低めなので、ゲームにはおすすめしません。 |
ディスプレイのチェック
Vivobook 13 Slate OLEDのディスプレイのチェックです。パネルは、「ATNA33XC21」でした。
有機ELディスプレイなので、色域が広く、非常にきれいな表示が可能です。メーカー仕様表ではDCI-P3 100%の色域となっていますが、当サイト計測でも同様に広色域でした。最大輝度は、当サイトの計測では338cd/m2とやや高めです。その他の特性については以下のタブをクリックしてご覧ください。
- 色域
- RGB
発色特性 - 視野角
- 映り込み・
ギラつき - フリッカー
当サイトの測定結果は、以下のとおりです。色域は広いです。
カバー率 | |
sRGBカバー率 | 100% |
---|---|
DCI-P3カバー率 | 100% |
Adobe RGBカバー率 | 97.3% |
キーボードおよびタッチパッドのチェック
Vivobook 13 Slate OLEDのキーボードのチェックです。
実測で、キーピッチは横:約19mm、縦:約18mmです。キーストロークは約1.4mmです。キートップはほぼフラットに感じますが、約0.2mmとわずかにくぼんでいるようです。
標準的な配置で、キーボードは、液晶側が持ち上がるタイプではなく、机との間にスペースができないので、タイプ時のたわみもありません。脱着タイプのキーボードですが、標準的なノートPCと同じような、普通の打ちやすさのキーボードだと思います。
キーボードバックライトは非搭載です。
大きめのタッチパッドを備えており、普通の使いやすさです。
パフォーマンスのチェック
Vivobook 13 Slate OLEDのパフォーマンスのチェックです。
CPU
Vivobook 13 Slate OLEDのCPUは、Pentium Silver N6000です。ベンチマークの結果は、以下のとおりです。
Pentiumなので、マルチコア、シングルコアともに低めのスコアでした。ある程度、用途を選んで使用したほうがよさそうです。
~ CPU性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
なお、高負荷時のCPU電力、CPUクロック、CPU温度は「パーツの温度のチェック」で記載しています。
メモリ
メモリはDDR4-2933です。今回チェックしたモデルは、メモリ4GBで、シングルチャネルだったので、速度は遅いです。また、オンボードメモリなので換装もできません。
~メモリ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア
グラフィックス
グラフィックスは、Pentium Silver N6000が内蔵するIntel UHDグラフィックスとなります。
ベンチマークの結果は以下のとおりで、グラフィックス性能は低めです。
~ グラフィックス性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
ストレージ
今回チェックしたモデルは、128GBのeMMCを搭載していました。SSDほど速くはありませんが、HDDよりは速度が出ています。256GB SSDを搭載したモデルであれば、速度はもう少し速いと思います。
~ ストレージ性能の評価 ~
:レビュー機で計測したスコア(他のスコアは別のPCで計測した代表値)
SDカードスロット
microSDカードスロットを搭載しています。ほとんど出っ張らないので、少なめの容量のストレージをカバーするために、挿したまま使用しても良さそうです。アクセス速度は遅いです。
USB Type-C / HDMIの動作テスト
USB Type-Cの動作チェック
USB Type-Cポートを利用して、純正以外の充電器やドックが使えるかを試しました。
2つあるUSB-Cポートは、データ転送、映像出力、本機への給電をサポートしています。
低出力のUSB-Cアダプターでも給電することができました。外に持ち出すときは、コンパクトなUSB-Cアダプターをかばんに入れておくといいかもしれません。
充電 | モニター 出力 |
有線LAN | ||
ドック | ThinkPad USB Type-C ドック | ○ | ○ | ○ |
ThinkPad Thunderbolt 3 ドック | ○ | × | × | |
PD充電器 ※1 |
61W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― |
45W Lenovoウルトラポータブル | ○ | ― | ― | |
30W RAVPower GaN充電器 | ○ | ― | ― | |
18W cheero充電器 | ○ | ― | ― | |
モニター ※2 |
EIZO ColorEdge CS2740 | ○ | ○ | ― |
※2 Type-Cケーブルで接続し、PCへの給電も出来るモニター
HDMIの動作チェック
HDMI出力ポートはありません。
質量のチェック
Vivobook 13 Slate OLEDの質量のチェックです。当サイトの計測値は下表の通りです。
メーカーサイトには、「タブレット:約785g」とあり、当サイトでの計測値もほぼ同じでした。タブレットPC本体のみであれば軽いですが、キーボードまですべて含めると、13型ノートPCと比較しても普通か、やや重めの質量となります。
質量 | |
タブレットPC本体 | 786g |
タブレットPC + スタンドカバー | 1.055kg |
タブレットPC + スタンドカバー + キーボード | 1.382kg |
バッテリー駆動時間のチェック
Vivobook 13 Slate OLEDのバッテリー駆動時間のチェックです。
バッテリー容量をソフトで確認すると、約50Whでした。13型のタブレットPCとしては、大きめの容量です。
バッテリー駆動時間は下の通りです。モバイルPCとしてみると、短めの駆動時間です。
バッテリー駆動時間 | |
(1) JEITA2.0 | 約13.6時間 |
(2) PCMark 10 Modern Office | 6時間52分 |
(3) PCMark 8 Work | 5時間36分 |
(1) メーカー公表値
(2) 文書作成、ブラウジング、ビデオ会議といった事務作業。アイドル時も多く軽めの処理
(3) ブラウザでのショッピング/画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャット等。やや重めの作業
急速充電に対応しており、メーカーの公表値では、約39分で約60%まで充電することができます。当サイトで計測した1時間あたりの充電容量は次の通りで、充電速度は速いです。
Webカメラ・スピーカーのチェック
Webカメラ
Webカメラは、インカメラと、アウトカメラの2つを備えています。IRカメラは非搭載なので、Windows Helloの顔認証には対応していません。
インカメラは、約491万画素です。比較的明るく、自然な写りでした。また、一般的なノートPCのウェブカメラよりも高解像度なので、細部まできれいです。ノートパソコンに搭載されるWebカメラとしては、写りが良いと思います。
アウトカメラは、約1,258万画素と、さらに高解像度です。インカメラに比べると、やや暗くなりますが、こちらも自然な色でした。
スピーカー
スピーカーは、左右サイドに2W x4のクアッドスピーカーを搭載しています。最大音量はそこまで大きくありませんが、音質は比較的いいです。ノートPC基準で10点満点で5~6点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。
パーツの温度のチェック
Prime95実行時のCPU温度
Prime95で全CPUコアの使用率が100%になる高い負荷をかけたときのCPU温度およびCPU電力の推移を確認します。
高パフォーマンスのCPUではないので、CPU電力は最初10W前後、その後、6.5W~9Wぐらいと低めで変動しています。CPU温度もほぼ70℃台に抑えられています。
CPU温度を心配することなく、使用できるでしょう。
外観のチェック
Vivobook 13 Slate OLEDの外観のチェックです。
鮮やかな画面が特徴的な、有機ELのタブレットPCです。
スタンドカバーで、本体を自立させることができます。
スタンドカバーは脱着式です。マグネットタイプで、スタンドカバーを本体背面に近づけて装着します。なお、スタンドカバーの角度調整にはある程度力が必要です。
キーボードも脱着式です。下の画像のように、ポゴピンでの接続となります。
横向きにした時、右上部に電源ボタン、右側面に音量ボタンが配置されています。
側面のポート類に関しては、左側面に集中しており、USB-C x2、microSDカードリーダー、マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャックを備えています。
スタンドカバーは、下の画像の角度まで寝かせることができます。
スタンドカバーは斜めにカットされており、下の画像のように縦方向に立てることもできます。
ACアダプターは、65Wです。サイズもコンパクトです。
まとめ
Vivobook 13 Slate OLEDは、世界初となる、13型有機ELディスプレイを搭載したデタッチャブル型のWindows PCです。
有機ELディスプレイは、当サイト計測でもDCI-P3カバー率100%と色域が広く、メリハリのある非常にきれいな映像を表示できます。クアッドスピーカーを搭載し、音も比較的いいので、ワンランク上のディスプレイで、映像や動画を楽しむことが出来るでしょう。
スタンドカバー、キーボードが脱着式になっており、タブレットPC本体のみであれば、約785gと軽いです。タブレットPCとして使用する機会が多い方には、使いやすいと思います。一方、スタンドとキーボードを付けると、約1.385kgとやや重くなります。フルセットでモバイルPCとして使用するのであれば、1kgを切るような軽量ノートPCの方がいいかもしれません。
性能面では、CPUの性能が高くないため、ある程度用途を限定したほうがいいでしょう。クリエイター向けソフトを使用するのは厳しいです。他のPCで作成した映像や画像を表示する、ビューアー的な用途には使えると思います。
Vivobook 13 Slate OLEDにより、これまで高級機種というイメージがあった有機ELディスプレイが身近になりました。鮮やかな画面で、ネットや動画の視聴をしたい方に、おすすめです。
映像が綺麗!13.3型の2-in-1 PC
Vivobook 13 Slate OLED
特徴
- 広色域の有機ELディスプレイを搭載
- 脱着式で、本体のみであれば約785gと軽い
- ペン(別売)を使用可能
こんなあなたに
- 画像や映像を鮮やかな色で見たい方
- ペンも使いたい方
- 価格9万円台[税込]~
1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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