MacBook Pro 13インチ(2019)の実機レビュー

更新日:2019年9月26日
CPU Core i5-8279U
Core i5-8257U
GPU Iris Plus 655
Iris Plus 645
メモリ 8GB / 16GB
ストレージ PCIe SSD
液晶サイズ 13.3型
液晶種類 2560x1600 IPS
質量 1.37kg
バッテリー 58.0 / 58.2Wh
LTE 非対応
価格 13万円台~(税抜)
ライトにクリエイティブワークもできるモバイルノート

MacBook Proは、色域の広い液晶と、モバイルノートにしては性能の高いCPUを搭載し、クリエイティブワークもこなせるモバイルノートです。

ただし、すごく高い性能というわけではなく、一般的なモバイルノートよりもやや高いといった程度なので、本格的には向きません。ライトにクリエイティブワークを行う方や、通常は一般的な作業を行い、たまに編集作業をするといった方に適した製品だと思います。

ブランド力が非常に高いので、外で使っていても恥ずかしくない、むしろドヤ顔できる点も大きなメリットです。

公式サイトはこちら

 

今回は次の構成でレビューをしています。

レビュー機の構成

Core i5-8257U、8GBメモリ、128GB PCIe SSD

 

MacBook Proは、次の記事を書くために、日本HP様からお借りしました。こちらの記事も合わせてご覧ください。HPのノートノートは非常にコスパが高いです。

 

目次

お忙しい方は、「MacBook Proの特徴」をお読みください。

 

MacBook Proの特徴

広色域液晶を搭載

MacBook Proは、2560 x 1600の高い解像度で、P3をカバーする広い色域の液晶を搭載している点が特徴の1つです。Windowsの13型クラスのモバイルノートで、このような高解像度・広色域の液晶を搭載した製品はごく一部しかありません。

さらに、16:10のアスペクト比になっており、より下までコンテンツを表示することができ、Webページや文書ファイルが見やすいです。マルチペインのクリエイター向けソフトも使いやすくなります。

液晶の品質に気を使う方におすすめです。

高解像度・広色域液晶

 

Iris Plus グラフィックス内蔵

MacBook Proは、Intel Iris Plusのグラフィックスを搭載している点も特徴です。

通常のインテルCPU内蔵のグラフィックスよりも高い性能で、GPU支援が使えるクリエイター向けソフトを使うときに効果を発揮します。ただし、GeForce MX250ほどの性能はないため、高解像度コンテンツや複雑な編集などには向きません。CPU性能もそこまで高いわけではないため、ライトにクリエイティブワークができればいいという方に適していると思います。

 

指紋認証センサーを搭載

MacBook ProはTouch ID センサーによる指紋認証に対応しています。ロックを解除するときや、iTunes Storeなどで買い物するときの認証に便利です。

Touch ID センサー内蔵

 

高い剛性と圧倒的なブランドデザイン

MacBook Proは、メタリックな剛性の高いボディで、ねじっても歪んだりしません。質感もよく美しいデザインです。

またブランド力が高く、アップルマークが付いているだけで「あ、MacBookだ」と気づかれ、外で使うときに自慢げに使えます。

アップルマークで自慢できる

 

スマホ向け充電器でも充電可能

MacBook Proに、5V/2.4A出力のスマートフォン向け充電器を接続してみたところ、充電することができました。テストに使った充電器は、「AUKEY USB充電器 ACアダプター 2ポート 超小型」です。かなり小型の充電器で、カバンに常時入れておいても邪魔にならないため便利です。ただし、5V充電器だと充電時間が遅いので、17W前後のPD充電器を使うのが無難だと思います。

小型のスマホ用充電器でも充電可能

 

インターフェースはUSB Type-Cとヘッドフォンのみ

MacBook Pro 13インチは、インターフェースが非常に少なく、USB Type-C(Thunderbolt 対応)とヘッドフォン端子のみとなっています。USBメモリや、SDカードなどを使いたい方、有線LANで高速通信したい方などは不便です。

なお、MacBook Pro 13インチの下位モデルは、USB Type-Cポートが2つしかありませんが、上位モデルは4つあります。充電中は1つのUSB Type-Cポートを占有するので、複数の周辺機器を接続する可能性がある場合は、上位モデルのほうがいいと思います。

インターフェース

 

LTEには非対応

MacBook Proは、というかMacBookのノートPC全般は、LTEに対応していません。最近のWindowsパソコンは、VAIO、ThinkPad、NEC LAVIE Direct PMなどLTEに対応しているパソコンが増えたので、LTEに対応していないのは残念です。

 

ライバル機種との比較

ここでは、Windowsのクリエイター向けモバイルノート「DAIV-GN4300」と比較します。

MacBook Proは、液晶の色域が広く、CPU性能もやや良いため、画像編集・RAW現像ソフトなどを使う場合に適しています。

一方、DAIV-NG4300は、GeForce MX250の外部グラフィックスを搭載し、グラフィックス性能が高いです。Premiere Proなどは外部グラフィックスとCPU内蔵グラフィックスの両方を使って書き出しを行えるので、MacBook Pro 13インチよりも処理が高速なケースが多いです。それでも動画編集をするにはスペック不足感はありますが、MacBook Pro 13インチよりは快適だと思います。また、軽さはDAIV-NG4300のほうが優れています。

ライバル製品との比較
  MacBook Pro 13インチ DAIV-NG4300
画像
CPU Core i5-8279U
Core i5-8257U
Core i7-8565U
GPU Iris Plus 655
Iris Plus 645
GeForce MX250
メモリ 8GB / 16GB 8GB / 16GB
液晶 13.3型
2560x1600
IPS 光沢
P3カバー
14.0型
1920x1080
広視野角 非光沢
sRGB 約100%
質量 約1.37kg 約 1.13kg
バッテリー 58.0 / 58.2Wh 46.74Wh
価格 13万円台~ 12万円台~

 

各用途の快適度

MacBook Pro 13インチの各用途の快適度は次のように考えます。もちろん、細かい用途や、ソフトによって快適具合は変わってきますので、参考程度にご覧下さい。

各用途の快適度
用途 快適度 コメント
Web閲覧
Office作業
スペックは十分で、液晶は16:10のアスペクト比で、より下まで表示できるので、とても快適に作業できます。
動画鑑賞 スペックは十分で、スピーカーの音も比較的良いので、快適に視聴できます。
RAW現像
画像編集
色域が広いため画像編集に適しています。ただし、CPU性能もUシリーズCoreプロセッサーの中では高めの性能です。ただしHシリーズのCoreプロセッサーと比べると、やや時間のかかる処理もあります。メモリは16GBを搭載したほうがいいでしょう。
動画編集 液晶の色域は十分です。Intel Iris Plusのグラフィックスを内蔵しているため簡単な動画編集ならなんとか出来ます。ただし、そこまで高いグラフィック性能ではないため、本格的にやるなら、もう少し高性能のPCがいいと思います。
ゲーム 軽い3Dゲームや、2Dゲームならできますが、普通の重さの3Dゲームはかなりグラフィック品質設定を下げる必要があります。放熱性もいいわけではないため、ゲームをするなら別機種がおすすめです。

 

液晶ディスプレイのチェック

MacBook Proの液晶ディスプレイのチェックです。

前述の通り、高解像度・広色域で、アスペクト比は16:10と見やすい液晶です。最大輝度は、実測で457cd/m2と高い輝度です。

  • 色域
  • RGB
    発色特性
  • 視野角
  • 画素・
    ギラつき
  • 映り込み
  • フリッカー

色域は比較的広いです。当サイトの計測ではsRGBカバー率は100%、Adobe RGBカバー率は88.7%でした。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

下図より、やや青色と緑色が強めに発色していることが分かりますが、わずかですので、それほど気にはならないです。

ガンマ補正曲線
※ i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2

視野角は広いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)

画素形状です。ギラつきはありません。

画面拡大

光沢液晶ですので映り込みがあります。ただし、やや反射が抑えられているように感じました。

画面への映り込み

正確な確認方法ではありませんが、カメラのシャッタースピードを高めにし撮影した限りでは、フリッカーは確認できませんでした。

フリッカーのテスト
※カメラのシャッタースピードを1/2000秒にして撮影したときの画面

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

キーボードとタッチパッドのチェックです。

Windowsパソコンのキーボードはパンタグラフ構造が多いですが、MacBook Proのキーボードは、バタフライ構造となっています。2016年頃のMacBook Proのバタフライキーボードは、ホコリが入ると取り除くのが難しく故障の原因となりましたが、現在は(静音性の改善という名目で)シリコン膜が追加され、ホコリが入りづらくなっています。

キーボードの打ちやすさのほうは、キーストロークが非常に浅いものの、しっかりとした打鍵感があり、打ちづらさは感じません。ただ、底付きの衝撃が強めなため、指がやや痛くなりやすく、疲れやすい印象はあります。

タッチパッドは広大で指も動かしやすく、非常に操作しやすいです。また、クリックボタンも軽い力で押せて使いやすいです。

キーボード全体図
キーの拡大図

 

キーボードバックライトも搭載しています。

バックライト

 

パフォーマンスのチェック

パフォーマンスのチェックです。

CPU

Core i5-8265UなどのUシリーズCoreプロセッサーと比較すると、MacBook Pro 13インチで搭載できるCPUは高めの性能です。クリエイティブワークをするなら、上位のCore i5-8279Uの搭載をおすすめします。

CPU性能の目安
~ Geekbench 4 ~

Core i5-8257U
他のCPUとの比較(Multi-Core Score)
Core i7-9750H 20808
Core i5-8279U 18116
Core i5-8257U 17343 [レビュー機で計測]
Core i7-1065G7 15783
Core i5-8265U 13663
※緑色のバーが、本製品で選べるCPUです
※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です
CPU性能の目安
~ Geekbench 5 ~

Core i5-8257U
他のCPUとの比較(Multi-Core Score)
Core i7-9750H 5784
Core i5-8257U 4100 [レビュー機で計測]
Core i7-1065G7 4019
Core i5-8265U 3546
※緑色のバーが、本製品で選べるCPUです
※[レビュー機で計測]と書かれたCPU以外は、他のPCで計測した代表値です

グラフィックス

MacBook Pro 13インチのIris Plus 645は、UHD 620よりも高いスコアです。Iris Plus 655であればさらに1~2割スコアが高くなると思われます。ただし、GeForce MX250には及ばないスコアです。

グラフィックス性能の目安
~ Geekbench 5 - Compute (Open CL)~
Iris Plus 645
他のグラフィックスとの比較(OpenCL)
GeForce MX250 11550
Iris Plus
(Core i7-1065G7内蔵)
10214
Iris Plus 645 7400
UHD 620 5547
※緑色のバーが、本製品で選べるグラフィックスです
※[レビュー機で計測]と書かれたグラフィックス以外は、他のPCで計測した代表値です

 

ストレージ

ストレージは、PCIe SSDを搭載しており高速です。

ストレージ性能の目安
~ AmorphousDiskMark ~
128GB M.2 NVMe SSD
他のストレージとの比較(Seq QD32 Read [MB/s] )
PCIe-NVMe SSD 2151 [レビュー機で計測]
SATA SSD 550
HDD 140
※緑色のバーが、本製品で選べるストレージです
※[レビュー機で計測]と書かれたストレージ以外は、他のPCで計測した代表値です

USB Type-C 充電器の動作テスト

USB Type-Cポートを利用して、純正以外の充電器が使えるかを試しました。

前述した通り、5V充電器も利用できました。低いワットのPD充電器も利用できます。

ただし、ちょっと試しただけなので、細かいチェックはしていません。長期間使ったりすると不具合があるかもしれません。また、純正品以外の充電器で充電し、故障しても当サイトでは責任をとれません。ご了承下さい。

充電器/ドックとの互換性
  充電できるか?
PD充電器
※1
ZHOULX 充電器(65W)
AUKEY 充電器(46W)
スマホ向け
充電器
※2
ANKER 充電器(5V/2.4A)
AUKEY 充電器(5V/2.4A)
UGREEN 充電器(5V/3A)
※1 Power Delivery対応の充電器
※2 スマホやタブレット向けの5Vの充電器

質量のチェック

MacBook Proの質量のチェックです。

最近の13型クラスのモバイルノートとしては、どちらかといえば重い部類に入ります。ただ、十分持ち運べる範囲の質量です。

質量の計測結果(当サイトによる実測値)
  質量
PC本体 1.363kg
ACアダプター(電源ケーブル含む) 263g

 

バッテリー駆動時間のチェック

バッテリー駆動時間のチェックです。

58.0Whもしくは58.2Whの大容量バッテリーを搭載しています。

メーカーの仕様表では、バッテリー駆動時間について「最大10時間のワイヤレスインターネット閲覧」、「最大10時間のiTunesムービー再生」と書かれています。

当サイトで計測したバッテリー駆動時間を下に掲載します。今回、ローカルに保存した動画を、iTunesで連続再生したときのバッテリー駆動時間を計測しました。長いバッテリー駆動時間です。

バッテリー駆動時間の計測結果(当サイトによる実測値)
  バッテリー駆動時間
動画再生時 ※1 9時間53分
※画面輝度は約120cd/m2
※1 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生

 

また、付属のACアダプターを使ったアイドル時の充電速度は次の通りです。1時間で何パーセント充電できたかを計測しています。普通の速度です。

1時間の充電容量(何パーセント充電できたか)
  充電容量
アイドル時 66%
付属のACアダプターを使用

 

 


 

 

以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。

静音性のチェック

動作音(静音性)のチェック結果です。

アイドル時や低負荷時はほぼ無音です。Premiere Proを操作していてもかなり静かでした。

騒音値
計測機器:リオン NL-42K
部屋を極力無音にしたときの騒音値:20.0dB
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※CPU使用率およびGPU使用率は平均値です
【PCの状態】
左から1番目:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目:動画再生時(解像度:720x480で実行)
左から3番目:Adobe Rushの編集画面でエフェクトを追加しプレビュー再生
左から4番目:Mac OS標準の機能でエンコード(4K動画を1080pへ変換)

 

参考までに、当サイトで使用している騒音計が表示する騒音値の目安を掲載します。

使用計器の騒音値の目安

 

パーツの温度のチェック

各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。

パーツの温度は高めです。

各パーツの温度
測定環境:室内温度 約26℃、 測定ソフト:Intel Power Gadget v3.5.5
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです

 

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、作業中に手のひらが熱くなり、不快になります。

表面温度もやや高めです。

PC本体の表面温度
サーモグラフィー:FLIR ONE PRO
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです

 

消費電力のチェック

消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。

低負荷字は低めの消費電力です。高負荷時はやや高めの消費電力です。

消費電力
測定機器:ワットチェッカー TAP-TST7
※PCの状態は「静音性のチェック」のときと同じです
※確認できた中で、最も高い消費電力を掲載しています

 

外観のチェック

MacBook Proの外観写真を掲載します。

ボディにはリサイクル効率の高いアルミニウムを使用しており、見た目が美しいだけでなく、環境にも優しくなっています。ベゼルも比較的狭いです。

 

天板です。アップルマークは光りません。

 

スピーカーは、ノートパソコンにしてはいい音質だと思います。勝手に点数をつけると、10点満点で6点といったところです(5点が普通です。音質についての評価はあくまで主観です。ご了承下さい)。

 

液晶は、下図の角度まで開きます。

 

インターフェースは、次の通り、少ないです。

 

底面に吸気口などはありません。美しい外観ですが、その代わり放熱性がやや悪いです。

 

ACアダプターです。

 

まとめ

以上が、新型 MacBook Pro 2019のレビューです。

液晶の色域が広く、解像度も高く、アスペクト比も3:2となっており、モバイルノートの中でも、トップクラスの見やすさです。

また、Iris Plus グラフィックス内蔵のCPUを搭載しており、一般的なモバイルノートよりもやや高性能です。

品質の高い液晶と、比較的高い性能のCPUを搭載していることから、クリエイター向きの製品となっています。

ただし、CPUおよびグラフィックス性能がかなり高いというわけではないため、「ライトにクリエイティブワークをする」、「普段はWeb閲覧、メール作成など一般業務を行い、たまにクリエイティブワーク」を行うといった方に適していると思います。

また、キーボードを長時間打つと、強くタイピングする方は指が痛くなるかもしれません。また、インターフェースが少ない点、LTEには対応していない点もご注意下さい。

 

ライトにクリエイティブワークもできるモバイルノート

MacBook Pro 2019

特徴

  • 圧倒的なブランド力と美しいデザイン
  • 見やすい液晶画面
  • ロングバッテリー
  • CPUの性能は低め

こんなあなたに

  • ブランド力のある製品が欲しい方
  • バッテリー状態で長く使う方
  • 価格13万円台[税別]~
  • 一言やや重いか
公式サイトはこちら

 

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