Apple 12.9インチiPad Proの実機レビュー
iPadのフラッグシップ
Apple 12.9インチiPad Proは大型ディスプレイに、タブレットとしては最高性能といえるスペックを備えたiPadです。
iOS11の強化されたマルチタスキング機能や拡張現実(AR)アプリなどの新機能を想定し、旧モデルから大幅にスペックアップしています。特に120Hzのリフレッリュレートを備えたProMotionテクノロジーによってApple Pencilの反応性がさらに向上。ノートPCやペンタブレットとしても完成度を高めています。
ストレージ容量は最大512GBまで選べるほか、Wi-Fiモデルに加え、Apple SIMを内蔵したSIMフリーモデルもあります。
※レビュー機は当サイトでの購入品です
2017.9.20 追加記事
目次
主な仕様
Apple 12.9インチiPad Proの主な仕様を旧モデルの12.9インチiPad Pro、新モデルの10.5インチiPad Proと比較しました。
新旧の12.9インチiPad Pro同士で比較すると、デザインや機能面はほとんど差がありませんが、チップやメモリなどのスペックはかなりアップしています。またカメラのスペックもリアカメラ、フロントカメラともに上がっています。
10.5インチiPad Proと比較するとスペック面は共通で、ほぼ画面サイズと質量だけの違いとなっています。
いずれのモデルもApple PencilやSmart Keyboardなどのアクセサリーに対応するスマートコネクターを搭載。いずれも次期のiOS11にアップデート可能です。
12.9インチiPad Proのカラーはシルバーとスペースグレー、ゴールドの3色です。今回のレビューではSIMフリーのゴールドを使用しました。
【本製品】12.9インチ iPad Pro | 12.9インチ iPad Pro 旧モデル | 10.5インチ iPad Pro | |
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OS ※1 | iOS 10 | iOS 9 | iOS 10 |
液晶 | 12.9インチ (2732x2048, 264ppi) TrueToneディスプレイ |
12.9インチ (2732x2048, 264ppi) |
10.5インチ (2224x1668, 264ppi) TrueToneディスプレイ |
チップ | A10Xチップ | A9Xチップ | A10Xチップ |
メモリ | 4GB | 2GB | 4GB |
内部ストレージ | 64, 256, 512GB | 32, 128, 256GB | 64, 256, 512GB |
バッテリー | 約10時間 | 約10時間 | 約10時間 |
リアカメラ | 静止画:1200万画素 ビデオ:4K |
静止画:800万画素 ビデオ:fullHD |
静止画:1200万画素 ビデオ:4K |
フロントカメラ | 静止画:700万画素 ビデオ:fullHD |
静止画:120万画素 ビデオ:720p HD |
静止画:700万画素 ビデオ:fullHD |
主なスロット | Lightningコネクター ヘッドフォンミニジャック |
Lightningコネクター ヘッドフォンミニジャック |
Lightningコネクター ヘッドフォンミニジャック |
Smart Cover | 対応 | 対応 | 対応 |
Apple Pencil | 対応 | 対応 | 対応 |
その他 | Touch ID Siri Apple SIM内蔵 |
Touch ID Siri |
Touch ID Siri Apple SIM内蔵 |
質量 | Wi-Fiモデル:約677g Wi-Fi+Cellularモデル:約692g |
Wi-Fiモデル:約713g Wi-Fi+Cellularモデル:約723g |
Wi-Fiモデル:約469g Wi-Fi+Cellularモデル:約477g |
特徴1 - 12.9インチの大画面
筆者自身もそうですが、普段8~10インチのタブレットを使っている人にとって、12.9インチiPad Proの画面はかなり「デカイ」です。10.5インチiPad Pro、9.7インチのiPad Air2と並べると、一回り以上大きいです。
片手でも持てなくはないサイズですが、持ち歩きながら使う場合は基本的には両手持ちになります。ただ実際に持ってみると、意外と軽く、持ちやすいです。新モデルは旧モデルと比べて、サイズ感はそのままに質量だけ約30g軽くなっています。
iPadシリーズのサイズを比較
基本的には左右から両手で持つ
ディスプレイが大きいため、2つのアプリを2画面表示して同時に使えるマルチタスキング機能が使いやすいです。マルチタスキング機能自体はiOS9から搭載された機能ですが、筆者は正直9.7インチiPadではほとんど使っていませんでした。12.9インチiPad Proでこそ利用したい機能です。
試しにNETFLIXで動画を視聴しながら、SafariでWeb検索をしてみました。どちらもストレスなく利用できます。スペックも高いのでマルチタスク処理で複数アプリを起動しても動作はスムーズです。
アプリ「NETFLIX」と「Safari」を2画面表示
12.9インチiPad Proを横位置で等サイズに2分割画面表示にした場合、片側あたりの画面サイズは縦位置の7インチタブレットを一回り大きくしたくらいになります。ちなみに比較対象はASUSの7インチタブレットME572CLです。
12.9インチiPad Proにアプリ「ibooks」と「Safari」を2画面表示して比較
12.9インチiPad Proでは対応アプリで動画視聴中にホームボタンを押すと、PiP(ピクチャー・イン・ピクチャー)機能で、再生中の動画を小さなウィンドウで表示したままホーム画面を操作したり、他のアプリを操作したりすることもできます。
動画を小さなウィンドウで同時表示してくれるPiP機能
特徴2 - 色再現性を高める「True Tone」
新モデルのiPad Proシリーズには、環境光センサーを使って周囲の光に合わせてディスプレイの色味や明るさを調整してくれる「True Tone」ディスプレイ機能が備わっています。また単位面積当たりのディスプレイ輝度が600ニトになり、屋外での表示にも強くなっています。
実際に屋外や室内で旧モデルとディスプレイ表示を比較してみました。屋外の日陰で画面の明るさを最大にして同じ画面を表示したところ、新モデルの12.9インチiPad Proのほうが一段階明るく表示され、コントラストもしっかりと保っています。旧モデルはややメリハリの弱い画面表示です。
新12.9インチiPad Pro(左)と旧モデル(右)の画面を屋外で比較
室内でアプリ「メモ」の白い画面を表示して旧モデルとディスプレイ表示を比較しました。輝度は旧モデルの方が少し高いように感じますが、設定値は同じです。新型の方が暖色系の色味で、目に優しい自然な感じです。
旧モデルはやや青っぽく、見比べるとやや不自然な色味です。ただ旧モデルの方が従来のタブレットではありがちな色味なので、なんとなく見慣れた感じはあります。解像度が違うわけではありません。
新型12.9インチiPad Pro(左)と旧モデル(右)を室内で比較
「True Tone」は設定メニューから機能をON・OFFすることができます。OFFにすると環境光に応じて色味を調整することなく表示されます。室内でON・OFFを切り替えて画面表示を比べてみたところ、「True Tone」をOFFにするとやや青みが強くなりました。ただそれでも旧モデルよりは暖色系の色味のようです。
筆者個人としては「True Tone」がONの方が好みですが、OFFにしたときのデジタルっぽいシャープな雰囲気もありだと思います。基本的には使用者の好みですが、普段使っているiPad以外のパソコンやスマホに合わせるのがいいと思います。
「True Tone」はON・OFF切り替え可能
新モデルで「True Tone」がONの場合(左)の画面表示とOFFの場合(右)で比較
他にもiPad Proシリーズのディスプレイは、色再現性の高いP3広色域(P3:色域の規格の1つで、sRGBより25%も広い)ディスプレイを採用し、反射防止コーティングや耐指紋性撥油コーティングを施しています。これらのディスプレイ性能は旧モデルのiPad Proと同じ仕様で、ほとんどはiPad Proシリーズ限定です。特に現行の無印iPadやiPad miniではP3広色域ディスプレイには対応していません。
特徴3 - iOS11に対応するハイスペック仕様
2017年秋にリリース予定のiOS11では、複数のアプリを同時に起動させるマルチタスキング機能や素早くファイルにアクセスするためのドック機能など、ノートパソコンのような使い方に対応する機能が強化されます。
最新技術のAR(拡張現実)に対応したアプリや機能も登場する予定になっているため、新型iPad ProではiOS11へのアップデートに備えてチップやメモリが大幅にスペックアップしています。そのため新機能はもちろん3Dゲームや動画編集など負荷のかかるタスクも高速処理が可能です。
2017年秋にリリース予定のiOS11
ベンチマークの数値をまとめて比較した結果が下表です。新型iPad Proのスコアがいずれも高く、10.5インチと12.9インチの間ではスコアは変わりません。ただし3D Mark Sling Shot Extreamのテストだけは、旧モデルの12.9インチiPad Proのほうが高いスコアでした。原因は不明です。
ちなみに比較した3機種の中では旧モデルの12.9インチiPad Proのみがメモリ2GB搭載で、新モデル2機種は4GBです。
12.9インチ iPad Pro |
12.9インチ 旧モデル |
10.5インチ iPad Pro |
||
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総合ベンチマーク | PassMark PerformanceTest Mobile | 5903 | 5583 | 5927 |
AnTuTu Benchmark v6.1 | 227563 | 63761 | 210070 | |
CPUベンチマーク | Geekbench 3 Processor Multi-Core | 9822 | 5492 | 9851 |
PassMark PerformanceTest Mobile (CPU) | 82685 | 59559 | 82397 | |
GPUベンチマーク | 3D Mark ICE STORM UNLIMITED | 54170 | 33978 | 54328 |
3D Mark Sling Shot Extream | 3973 | 4074 | 3118 |
Appleの公式サイトにはiOS11にアップデート対応可能なiOS端末の一覧が公開されています。かなり古いモデルまで対応し、iPod touchでも使えるようですが、端末によって利用可能な機能は異なると思われます。
iOS11にアップデート可能なiOS 端末
特徴4- Apple Pencil対応
iPad Proシリーズならではの特徴の一つが、Apple Pencilに対応していることです。特に新しいiPad Proではディスプレイのリフレッシュレートが120Hzになり、スムーズな画面表示を実現しています。そのためApple Pencilの遅延は20ミリ秒まで短くなり、さらに滑らかで自然な書き心地になっています。
ちなみに無印のiPadやiPad mini 4でApple Pencilは使えません。
Apple Pencil
実際に新旧の12.9インチiPad ProでApple Pencilの書き心地を試してみました。正直なところ普段イラストや手書き資料を書くことの少ない筆者にとっては、どちらも非常に滑らかで、どちらでも「これなら使ってみたい」と思える完成度です。
さすがに紙に書く感触とは違いますが、プラスチックの板に先細マジックで書きこむ感覚に限りなく近いと思います。
Apple Pencilの書き心地は極めて高い完成度
Apple Pencilの書き心地をテストした様子を1080p-60fpsで動画撮影して、ワンフレームを切り出して比較しました。書くスピードや内容が全く同じではないので、厳密な検証ではありませんが、旧モデルのほうがタイムラグが生じて、ペン先の動きに描画が追従しきれていないことがありました。
ただし実際に筆者が感じることができた違いは「比べてみれば確かに違うと感じる場面がある」というレベルでした。
新旧12.9インチiPad ProでApple Pencilの反応性を比較
上の切り抜き画像の元動画
Apple Pencilに電源やボタンは一切なく、バッテリーインジケーターなどもありません。充電するにはiPad ProのLightning端子に差し込むか、付属の充電アダプターでLightning-USBケーブルを使って充電します。
iPad ProよりもApple Pencilの方が厚みがあるので、iPad Proに差し込んだ状態ではApple Pencilのペン先が浮き上がってしまいます。接続部分に負荷がかかっていそうで、少し嫌な感じです。
Apple Pencil接続時の問題点は旧モデルから改善せず
Apple PencilはペアリングしたiPad Proのみで利用でき、他のiPad Proで利用するにはその都度ペアリングし直さなければなりません。ペアリングはLightning端子に差し込み、ペアリングを許可するだけで10秒足らずで完了しますが、複数のiPadで頻繁に使い分けるなら面倒です。また2台同時に1本のApple Pencilを使うことはできないので、2台のiPad Proで使うなら、Apple Pencilも2本買った方がいいと思います。
ペアリングできるのは同時に1台まで
2017.9.20 追加 イラストレーターさんに、iPad Proなどのペンの描き心地をチェックしてもらいました。詳細は以下のリンク先をご覧ください。
特徴5 - 充実した純正アクセサリー
12.9インチiPad Proには「Apple Pencil」のほかにも、日本語JISに対応したキーボードカバー「Smart Keyboard」や高級感のあるレザー仕上げの専用カバー「Leather Smart Cover」、ワイヤレスイヤホン「AirPods」など、実用的な機能を備えたものからファッショナブルなものまで様々揃っています。
ここでは「Leather Smart Cover」を実際に装着して使ってみました。キーボード機能はありませんが、マグネット式で取り付けができて、手軽にディスプレイを保護してくれます。またカバーを閉じると自動的にスリープ状態になり、カバーをめくるとスリープ状態から復帰してくれる点も便利です。
ちなみに「Leather Smart Cover」のカラーはブラックとミッドナイトブルー、サドルブラウンの3色です。
12.9インチ専用Leather Smart Cover(サドルブラウン)を装着した状態
上質なレザー製
Leather Smart Coverは折りたたんでスタンド代わりにしたり、緩やかな傾きをつけることもできます。三角に折りたたむと、Apple Pencilで作業するのにちょうどいい傾きになります。iPad Proの天地を入れ替えてセットすると、動画視聴に適した角度にセットすることもできます。
三角に折り込めば傾斜をつけるためのスタンドとしても使える
2パターンの使い方ができるSmart Cover
特徴6 - Apple SIM内蔵のSIMフリーモデル
12.9インチiPad ProにはWi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデル(SIMフリーモデル)があり、ストレージ容量にかかわらずSIMフリーモデルは、Wi-Fiモデルにプラス15,000円した価格設定になっています。
SIMフリーモデルで使えるSIMカードサイズはnanoSIMです。
LTE-Advancedに対応し、対応バンドは、1、2、3、4、5、7、8、11、12、13、17、18、19、20、21、25、26、27,28、29、30、38、39、40、41です。バンド11とバンド21が旧モデルより新たに追加され、全25バンドに対応しています。国内外の主要な高速通信バンドのほぼ全てをカバーしています。
SIMカードサイズはnanoSIM
SIMフリーモデルにはnanoSIMスロットとは別に、Apple SIMが内蔵されています。そのため端末から直接キャリアを選択して、利用契約手続きをすれば、世界各国でモバイル通信を利用することが可能です。国内キャリアではauやSoftbankを選択できます。
SIMカードを交換する必要もなく、世界各国の通信業者やローミング業者に対応しているので、海外旅行先でも煩雑な手続きなしでモバイル通信が利用できます。ただし世界各国全ての通信業者が対応しているわけではなく、国によってサービスは異なります。
日本国内でApple SIMから選べる通信キャリア
利用契約は主にプリペイド方式
実際にSIMカードを挿して、12.9インチiPad ProのLTE通信速度をチェックしました。
本サイトでは、SIMカードのレビューで時間帯別の通信速度を計測しましたが、その結果12時頃に極端な速度低下があり15時頃は比較的通信速度が安定していたため、今回はこの2つの時間帯で計測しました。
→時間帯別通信速度のテストを掲載したDMM mobile SIMのレビュー記事はこちら
詳細な測定環境は次のようにして計測しました。
測定場所:東京都江東区内・集合住宅室内
測定に使用したSIM:DMM mobile、mineo (au)
測定アプリ:OOKLA SPEEDTEST
計測日時:2017/6/20(火)、12:00頃および15:00頃(各時間帯で3回以上計測)
各時間帯の計測で得られた代表的な通信速度テストの結果を以下に掲載します。比較的回線が空いている15時台では下り50Mbps前後でした。
平日12時頃の通信速度測定結果 (DMM mobile)
平日15時頃の通信速度測定結果 (DMM mobile)
mineo(au)のnanoSIMカードでも同じように通信速度テストを行いました。各時間帯の計測で得られた代表的な結果を掲載します。こちらも十分な速度が出ています。
平日12時頃の通信速度測定結果 (mineo au)
平日15時頃の通信速度測定結果 (mineo au)
Webや電子書籍の閲覧をチェック
Webページや電子書籍を閲覧した時の使い心地を検証しました。iOSの標準Webブラウザは"Safari"です。タブレットとしては画面サイズが広いので、横位置で見開きにしても十分な表示サイズです。解像度も264ppiあるので画像や細かな文字もくっきりと表示されます。
実際に同じWebサイトを表示して10.5インチiPad Proと比較しました。同じ解像度で画面サイズが大きい分、12.9インチiPad Proの方が広い範囲を表示することができます。
当サイト「the比較」を縦位置で表示して比較
12.9インチiPad Proで表示した当サイト「the比較」の一部を拡大
液晶画面はiPadシリーズ共通のアスペクト比4:3です。紙媒体の比率に近いので雑誌や書籍を縦位置で表示したときに見やすいです。サイズも紙の雑誌やムック本とほぼ同じです。
コミック本を表示したときには縦位置だとやや大きすぎるので、横位置が読みやすいです。横位置でも実際のコミック本より少し大きな表示サイズになります。
雑誌PDF を縦位置で表示
「iBooks」でコミック本を横位置で表示
ブラウザのベンチマーク結果を掲載します。
JetStreamとOctaneのWebブラウザベンチマークを測定しました。タブレットとしてはダントツで高いスコアです。
JetStream 1.1 | Octane 2.0 | |
---|---|---|
Safari | 198.84 | 31336 |
TVや動画配信を観る
テレビのライブ視聴や動画配信サービスを試しました。
nasneを使ってテレビ視聴
アプリ"TV SideView"を使ってソニー製「nasne」でテレビのライブ視聴を試してみましたが、問題なく視聴できました。
動画配信サービスを確認
動画配信サービスは、月額500円や1,000円程度で過去の多くのテレビ番組や映画、アニメを視聴できるオンラインサービスです。中にはAbemaTVのように無料で視聴できる配信サービスもあります。今回はHulu、dTV、AbemaTV、Amazonビデオ、NETFLIXを試してみました。いずれも問題なく視聴できました。
液晶ディスプレイのチェック
12.9インチiPad Proの液晶ディスプレイをチェックしました。
画面サイズは12.9インチ(2732×2048px、264dpi)、アスペクト比は4:3のRetinaディスプレイです。ベゼル幅は縦位置での左右の横幅が約10mm、上下部分が約20mmとなっており、旧モデルからデザインや仕様の変更はありません。
ディスプレイの全体像
各アングルから見たときの見やすさをチェックしました。ほぼ真横のアングルからみてもはっきりと表示内容を確認することができます。
視野角(斜めから見たときの見やすさ)
ディスプレイ表面のガラスと液晶部分との隙間が狭いため、コーティング技術と相まって画面のギラツキや反射も抑えられています。
ディスプレイの表示部分の端を横からチェック
画素の拡大図です。細かな素子がびっしりと並んでいます。
画面表面の拡大図
パフォーマンスのチェック
12.9インチiPad ProのCPU、メモリ、GPUのベンチマーク結果を以下に掲載します。いずれもタブレットとしては圧倒的に高いスコアです。
3Dmark Sling Shot
3Dmark Ice Storm
3Dmark API Overhead
PassMark PerformanceTest Mobile
Geekbench 4 (CPU)
Geekbench 4 (Compute)
Geekbench 3
カメラのチェック
12.9インチiPad Proはリアカメラとフロントカメラを搭載しています。各カメラのスペックは次の通りです。10.5インチiPad Proと同じ構成になっており、旧モデルと比べて画素数や絞り値が向上しています。
スペック※ | フロントカメラ | リアカメラ |
---|---|---|
ファイル形式 | jpeg | jpeg |
画像サイズ | 3088×2320px | 4032×3024px |
画素数 | 700万画素 | 1200万画素 |
最小絞り値 | f2.2 | f1.8 |
35mm換算焦点距離 | 32mm | 28mm |
内蔵フラッシュ | あり ※2 | あり |
動画サイズ | 1920×1080 | 4K (3840×2160) |
その他撮影機能 | LivePhotos タイムラプス パノラマなど |
LivePhotos タイムラプス パノラマなど |
※2 液晶画面が発光するRetinaフラッシュ
リアカメラは旧モデルと比べて、最小絞り値が小さくなった分見た目にもレンズ部分が大きくなり、わずかに出っ張る形になっています。暗い場所での撮影に強くなり、スペックは上がっています。出っ張りは1mm以下で、平らな場所においてもガタつくことはありません。
またフロントカメラも一回り大きくなっています。
リアカメラ部分を比較
フロントカメラ部分を比較
標準カメラアプリでリアカメラを横位置で構えたときの撮影画面です。
リアカメラ使用時は右側のシャッターボタンの上側にLivePhotos、HDR、セルフタイマー、フラッシュ、カメラ切替ボタンが並び、下側にプレビューボタンと撮影機能ダイヤルが配置されます。左側にはデジタルズーム用のスライダーがあります。
両手で持ったときにちょうど両方の手の親指で操作しやすいボタン配置になっています。 縦位置でもボタン配置は自動的に回転して同じ左右への配置になります。
標準カメラアプリの撮影画面(横位置)
標準カメラアプリの撮影画面(縦位置)
タブレット自体のサイズと質量があるので、カメラとしてメインに使う人は少ないと思います。実際、筆者個人としては両手で12.9インチiPad Proを構えて、撮影画面がディスプレイに大きく表示された状態で、屋外撮影するのは気が引けてしまいます。
そのかわりスキャナー的な役割や、メモ代わりの写真や動画の撮影用カメラとしては十分なスペックなので、いろいろなアプリで利用する機能が向上することになります。iOS11で採用されるAR(拡張現実)アプリも想定したスペックになっているのだと思います。
バッテリー駆動時間のチェック
12.9インチiPad Proのバッテリ―駆動時間をアプリ「バッテリー」でチェックしました。100%充電した状態でのバッテリー駆動時間の目安は次の通りでした。バッテリー駆動時間のメーカー公表値は約10時間です。大型のタブレットとしては長めの駆動時間です。
バッテリー駆動時間の目安
試しに100%充電した状態から連続してアプリ「NETFLIX」で動画配信をWi-Fi接続で連続再生してみました。6時間連続視聴後のバッテリーは65%まで減りました。室内で画面の輝度が高くない状態であれば、バッテリー駆動時間はスペック値よりもやや長くなるようです。
質量のチェック
12.9インチiPad Pro (Wi-Fi+Cellularモデル)の質量を測ったところ約689gとメーカー公表値692gより3g軽い結果でした。旧モデルと比べると約30g 軽量化されています。
Leather Smart Coverをつけた状態では合わせて約851gになりました。
ちなみに12.9インチ用Smart Keyboardは約340gとのことなので、組み合わせると1kgを超えるため、質量感は他の超軽量ノートパソコンと同じくらいになります。
本体のみ(左)と本体+レザーカバー(右)の質量測定結果
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし表面温度が高すぎると、タブレットを持つ手が熱くなり不快になります。
本体の裏面を計測した結果、今回のテスト条件ではほとんど温度上昇はありませんでした。
外観のチェック
外観です。今回のレビューで使用したのはSIMフリーモデルのゴールドです。
表面はホワイトのベゼルに囲まれ、縁はエッジの効いた鏡面仕上げのゴールドになっています。本体下部分中央に指紋認証機能「Touch ID」を兼ねたホームボタンがあり、ボタン部分だけわずかにくぼんでいます。他の部分はフラットです。ちなみにホームボタンは押すと実際にわずかに押しこまれる物理ボタンです。
表側の全体像
TouchIDを兼ねたホームボタン
上部中央にはフロントカメラを配置しています。段差はありません。また左端と右端に見えづらいですが、センサーらしきものがあります。
フロントカメラ
裏面はつや消しゴールドで覆われていて、指先で触るときめ細かなざらつきを感じます。アップルのリンゴマークだけが鏡面仕上げになっています。この部分はやや指紋が目立ちやすいです。
裏面全体
Appleのロゴマーク
上部分中央付近にはアンテナ部分を示す枠があり、小さなマイク穴が中央にあります。
裏面の上部中央付近
裏面上部の左側にリアカメラがあり、その下にLEDフラッシュがついています。
リアカメラとLEDフラッシュ
上側面の中央にもマイク穴があり、白線枠の左右外側にスピーカーがあります。さらに左端にヘッドホン端子、右端に電源ボタンが配置してあります。
上側面
下側面の中央にLightning端子があり、その左右には上側面と同じ位置にスピーカーがあります。12.9インチiPad Proは横位置にした時の左手側と右手側それぞれに上下2つずつ、合計4基のスピーカーを内蔵しています。そのためタブレット単体とは思えないステレオサウンドの迫力が楽しめます。
下側面
右側面の下側にnanoSIMスロットがあります。上側には音量ボタンがあります。
右側面下側にあるnanoSIMスロット
右側面の上側にある音量ボタン
左側面の中央にはSmart Keyboardなどを接続して給電するためのスマートコネクターがあります。左側面は磁石になっていて、Smart Coverなどをマグネット式で取り付けます。Apple Pencilも磁力でゆるく引き寄せられますが、固定するほどの力はない程度の弱さです。
左側面のSmart Connector
付属品はLightning-USBケーブルとAC電源アダプターです。電源アダプターの出力は12Wです。
付属品
まとめ
以上が12.9インチiPad Proのレビューでした。
見た目には旧モデルからほとんど変更はありませんが、カメラやディスプレイ、パフォーマンス性能を含め全体的なスペックがかなり上がっています。タブレットして動画コンテンツやゲームアプリを楽しむには最強の一台です。
2017年秋にリリース予定のiOS11ではマルチタスク機能やApple Pencilを使った機能が強化されるので、ノートパソコン的な使い勝手の良さやペンタブレットとしての完成度はさらに高まりそうです。
筆者自身もそうですが、iPadを含む10インチ前後のタブレットでキーボード入力や手書き入力を試したけど、結局使わなくなったという人も多いと思います。Smart Keyboardを使った原稿作成やApple Pencilによるイラスト作成がメイン用途なら、12.9インチはとても使いやすいサイズです。まさに従来のタブレット、ノートパソコン、ペンタブレットのいいところ取りを実現したタブレットです。
ただし移動中の電車内や手に持ち続けての利用ではさすがに大きさを感じます。これまでのタブレットと同じようにちょっとしたWebや動画視聴、電子書籍などの利用も多いようなら9.7 インチのiPadや10.5インチのiPad Proがオススメです。
公式販売サイト:Apple Store |