Apple iPad Proの実機レビュー

更新日:2015年12月10日

スタイラスペン対応、2画面表示も見やすい

Apple iPad Proは、スタイラスペン「Apple Pencil」が使える12.9インチタブレットです。

画面が非常に大きいため、iOS 9 から対応した2画面表示機能を利用しても、文字が読みやすいです。雑誌のPDFファイルも、ほぼ原寸大で表示することが可能です。

CPUなどのスペックも高く、重いアプリでも快適に動作します。

4スピーカーを搭載し、動画鑑賞をしているときでも、臨場感あるサウンドを楽しめます。

2015.12.10 Apple Pencilとロジクールの専用キーボードケースの情報を追記しました。

公式サイトApple Store


※レビュー機は当サイトでの購入品です

目次

主な仕様

下表に仕様を掲載します。

iPad Proの主な仕様
  iPad Pro
OS iOS 9
液晶 12.9インチ(2,732 x 2,048ピクセル、264ppi)
プロセッサー A9Xチップ
メモリ 4GB
内部ストレージ 32、128、256GB
バッテリー 約10時間
カメラ 静止画:800万画素
ビデオ:1080p HD
防水 / 防塵 なし
主なスロット Lightningコネクタ
ヘッドフォンミニジャック
重量 Wi-Fiモデル:約713g
Wi-Fi+Cellularモデル:約723g
厚さ 6.9mm
Touch ID 搭載

特徴1 - スタイラスペン「Apple Pencil」対応

今まで、スタイラスペンには対応してこなかったiPadですが、iPad Proではとうとうスタイラスペンが使えるようになりました。ペンの名称は「Apple Pencil」です。このApple Pencil目当てで、iPad Pro を購入する方も多いのではないかと思います。

下の公式サイトの動画を見ると、圧力に加え、傾きも検知し、非常にスムーズに描けそうです。


Apple Pencilを紹介します(Apple Japanより)

 

しばらく入手困難な状態が続いていましたが、発売日から約3週間遅れで、やっと筆者のところにApple Pencilが到着しました。下にペンの画像を掲載します。スリムなペンで持ちやすいです。ただ、若干ツルツルし過ぎていて滑ります。また、ペンのキャップが小さくて丸いため、無くしそうです。


Apple Pencil


ペンの各部分の拡大図

 

Apple Pencilは充電が必要なペンで、iPad Proへ接続して充電します。ただ、iPad Pro より Apple Pencilのほうが"厚い"ため、接続した状態でテーブルに置くとペン先が浮き、コネクタ部分に変な圧力がかかっていないか心配です。


Apple Pencilを充電している様子

 

定規で直線と円を描き、正確に描けるかを試しました。ややカクカクしている部分もありますが、綺麗に描けていると思います。なお、筆者の手も多少ぶれるときがあるため、参考程度に見て下さい。


定規で直線と円を描き、正確に描けるかを確認(使用アプリ:OneNote)

 

次に、追従性をチェックしました。まずまずの追従性だとは思いますが、公式サイトの動画見るともっと凄いかと思っていたので、思ったほどではありませんでした。


ペンの追従性の確認(使用アプリ:OneNote)

特徴2 - 12.9インチの大画面

iPad Pro を開封したときに、最初に思ったのが、「デカ―ッ」でした。

下に他のiPadシリーズとiPhone 6sを並べた画像を掲載します。iPad Air 2 でも十分大きいと思っていましたが、それ以上のサイズです。想像を上回る衝撃の大きさでした。


iPad Pro、iPad Air 2、iPad mini 4、iPhone 6sの比較

 

1画面でWebページを見るだけなら、他のiPadでも十分な大きさです。しかし、iOS 9 からは、2画面表示できる機能が追加されています。iPad Air 2で2画面表示すると、文字が小さくて読みづらいですが、iPad Pro で2画面表示すると、ちょうど良い大きさです。2画面表示機能は、iPad Proのためにあると言ってもいいくらいです。

ただし、1つのアプリを2画面で表示することはできません。下図のようにブラウザを並べて表示したい場合、2つのブラウザアプリを起動する必要があります。


Split Over(2画面表示機能)。左はSafari、右はChrome

 

また、iOSでは、PiP(ピクチャー・イン・ピクチャー)機能も搭載されています。動画を観ながらWebページを観たり、ゲームをしながら、攻略ページを開いたりすることができます。ただし、PiPはアプリが対応していないと出来ないためご注意ください。


PiP機能で、動画を観ながらWebブラウザを閲読

特徴3 - 高い処理性能

下表の通り、iPad Pro は、他のiPadシリーズに比べて、処理性能が格段にアップしています。

iPadシリーズのスペック比較
  iPad mini 2 / mini 3 iPad mini 4 iPad Air 2 iPad Pro
チップ A7 A8
CPU:1.3倍高速
グラフィックス:1.6倍高速
A8X
CPU:1.4倍高速
グラフィックス:2.5倍高速
A9X
CPU:2.5倍高速
グラフィックス:5倍高速
メモリ 1GB 2GB 2GB 4GB

 

ベンチマーク結果は下表の通りです。iPad Pro のスコアが非常に高くなっています。特にグラフィックスのスコアが高いです。ただし、PassMark PerformanceTest MobileのCPUのテストだけは、iPad Air 2のほうが高いスコアでした。原因は不明です。

iPadシリーズのスペック比較
  iPad mini 4 iPad Air 2 iPad Pro
総合ベンチマーク PassMark PerformanceTest Mobile 4253 4806 5583
ATuTu Benchmark 46748 59147 63761
CPUベンチマーク Beekbench 3 Processor Benchmark Multi-Core 3076 4534 5492
PassMark PerformanceTest Mobile【CPU】 48469 73936 59559
GPUベンチマーク 3D Mark ICE STORM UNLIMITED 18938 21785 33978
3D Mark Sling Shot using ES 3.0 1603 2394 4074

 

これだけのスペックがあれば、どんなクリエイティブ系のアプリや、3Dゲームアプリも快適に動作するでしょう。

特徴4 - 4スピーカー搭載で臨場感のあるサウンド

iPad Pro は4つのスピーカーを搭載しています。

さらに、ボディを加工しスピーカーのハウジングを作り、カーボンファイバーの蓋で密閉することで、タブレットとは思えない臨場感のあるサウンドです。


4スピーカー搭載

特徴5 - 低反射コーティングやTouch IDなどももちろん搭載

iPad Pro は、iPad mini 4やiPad Air 2 と同じく、「反射防止コーティング」が施された「フルラミネーションディスプレイ」を採用しています。「フルラミネーションディスプレイ」とは、液晶パネルとガラスの間にあった隙間をなくす技術で、画面が前面に近づくため見やすくなり、タッチ操作もしやすくなります。


反射が抑えられた液晶


タッチパネル表面から液晶パネルまでの距離が短い

 

Touch ID(指紋認証センサー)も、もちろん搭載されています。ロック解除やApple Store、iTuneでの商品購入時に、パスワードの代わりに利用することが可能です。


指紋センサー Touch ID搭載

Webページ、電子書籍を閲覧する

Webページや電子書籍閲覧時の快適性のチェックです。

縦位置で表示(タブレットを縦長にして表示)させると文字が大きく見やすいですし、横位置にして2画面分割して表示させても、文字は小さくなるものの、潰れることはなく読みやすいです。なお、2画面分割しても、iPad Mini 4 よりも表示が大きいです(下図)。


2画面分割をしてもiPad mini 4より表示が大きい


2画面分割しても文字は潰れていない

 

以下は、ブラウザのベンチマークスコアです。非常に高いスコアです。快適にブラウジングできます。

ブラウザベンチマークのスコア
  JetStream 1.1 Octane 2.0
Safari 144.34 19799

 

また、A4サイズ程度の雑誌のPDFファイルを表示させると、本物の雑誌とほぼ同じ大きさで表示できます。文字が大きく読みやすいです。また、見開きで表示させても、文字が潰れることなく見やすいです。


雑誌とほぼ同じ大きさで読める


見開きでも十分読める


見開き状態でも文字は潰れていない

テレビや動画配信を観る

テレビのライブ視聴や動画配信サービスを視聴できるかのチェックです。

nasneを使ってテレビ視聴

torne mobileでソニー製「nasne」のライブ視聴を試しましたが、問題ありませんでした。

動画配信サービスを確認

HuludTVバンダイチャンネルを試してみましたが、いずれも問題ありませんでした。HuluとバンダイチャンネルはPiPで表示することもできました。

カメラのチェック

リアカメラとフロントカメラのチェックです。

Exifで表示された各カメラのスペックは次の通りでした。ちなみに動画の場合は1080pのHDビデオで撮影できます。

カメラのスペック
スペック フロントカメラ リアカメラ
ファイル形式 jpeg jpeg
画像サイズ 1280×960px 3264×2448px
最小絞り f2.2 f2.4
35mm換算焦点距離 31mm 31mm
※撮影ファイルをmacのプレビューでExif表示したデータに基づく

 

標準で搭載されているカメラアプリの撮影機能には、バーストモード、タイマー、HDR、タイムラプス、パノラマなどがあります。App Storeにはカメラアプリも豊富にラインナップされていますが、標準カメラだけでも十分に使える機能が揃っています。


iPad Pro のカメラ撮影画面

液晶ディスプレイのチェック

液晶ディスプレイのチェックです。

視野角は広いです。


視野角(斜めから見たときの見やすさ)

 

ガンマ補正曲線は下図の通りです。自然な発色だと思います。なお、今回は、Air Display 3 でMacの画面を、iPad Proへミラーして計測しているため、誤差があると思います。

gamen2
ガンマ補正曲線
※i1 Display Proで計測。目標値は輝度:120cd/m2、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2
※Air Display 3 を使用

 

色域は十分な広さです。なお、今回は、Air Display 3 でMacの画面を、iPad Proへミラーして計測しているため、誤差があると思います。


ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成
※Air Display 3 を使用

 

画素の拡大図です。ギラつきは感じません。


画面表面の拡大図

パフォーマンスのチェック

各種ベンチマークスコアは次の通りです。非常に高いスコアです。


PassMark PerformanceTest Mobile

AnTuTu Benchmark

Geekbench 3 - Processor Benchmark

3DMark

3DMark - Sling Shot using ES 3.0

重量のチェック

重量の実測値は下図の通りでした。

タブレットとしては重いですが、片手で持つことは可能です。


重量のチェック

薄さのチェック

大きい画面にしては非常に薄いです。

仕様では6.9mmとなっており、当サイトによる計測でもほぼ同じでした。

なお、iPad Air 2よりはやや厚くなります。


厚さの実測値


iPad Air 2よりはやや厚い

 

バッテリー駆動時間のチェック

iPad Pro のバッテリ―駆動時間は、メーカー公表値で約10時間となっています。

当サイトにて、T.T.Videoという動画再生アプリを使用し、720x480の動画をリピート再生させたときのバッテリー駆動時間は下表の通りです。メーカー公表値とほぼ同じ時間でした。

バッテリー駆動時間
負荷内容 バッテリー駆動時間
動画再生時 ※1 10時間04分
※1 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
※ T.T.Videoの動画再生アプリを使用

スリープ時のバッテリー残量の変化

スリープ状態で24時間経過後のバッテリー残量を、「バッテリー HD」のアプリで確認したのが下図です。スリープ状態ではほとんどバッテリー消費がなく、省電力性能はかなり高いです。ただし、バックグラウンドで動作しているアプリなどによっても結果は変わってきます。

また、「バッテリー HD」のアプリでは、各種作業をしたときのバッテリー駆動時間の目安(下図)も表示されています。参考にして下さい。


24時間スリープした後の「バッテリー HD」アプリの表示

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、タブレットを持つ手が熱くなり不快になります。

特に問題ありません。


外観のチェック

外観です。

シンプルで洗練されたデザインです。正面にはフロントカメラと、ホームボタン(兼Touch ID)があります。

 

裏面です。今回は、「シルバー」のボディカラーで購入しています。

 

側面はダイヤモンドカットで滑らかなエッジがつけられています。引っかかりもなく、手になじみます。

 

下側面です。Lightningコネクターとスピーカーがあります。

 

上側面です。電源、ヘッドホン、スピーカーがあります。

 

左側面です。別売りのSmart Keyboardなどを接続、給電するためのSmart Connectorがあります。

 

右側面です。音量ボタン、デュアルマイクロフォンがあります。そして背面にリアカメラがあります。

Logicool CREATE Backlit Keyboard Case for iPad Pro

ロジクールのキーボードケースの画像です。Apple公式サイトから購入することができます。

 

iPad Pro をはめ込んで、ノートパソコンのような形状にしたときの画像です。

 

キーボードにはマグネットがあり、iPad Proを立て掛けることができます。またここからキーボードへ給電も行います。

背面です。

横から見た画像です。もう少し傾けられても良かったかなと思います。

カメラや通気口には穴が空いています。ご覧の通りケースは結構厚さがあります。

 

カバーを閉じたときの画像です。

 

iPad Pro とカバーを合わせた重量は1.437kgでした。モバイルノートパソコンと比べるとやや重く、さっと手軽に使えるiPadの利点がなくなっているような気がします。

キーボードの全体図です。英語配列になっています。パームレスト部分が狭いので、手のひらがはみ出ます。また、iPadにマウスポインターは存在しないので、タッチパッドもありません。

キーボードの拡大図です。キートップは湾曲しており、割と打ちやすいです。

キーボードバックライトも搭載しています。

 

大きな画面に、フルサイズキーボードが搭載し、文字入力はかなり楽です。

ただし、iPadは元々、タッチ操作することを前提に設計された製品であるため、マウスポインターはないですし、2画面表示できるとは言え、MACやWindowsパソコンのようにウィンドウをたくさん開いて、重ねて使うようなことはできません。ノートパソコンのような形状で使う場合、Windowsパソコンよりも操作性は劣ると思います(逆にタッチ操作を主にするならiOSのほうが使いやすいです)。

まとめ

以上がApple iPad Proのレビューでした。

iPad初のスタイラスペンに対応した機種です。筆圧はもちろん傾きも検知し使いやすいです。

12.9インチと画面が非常に大きいです。初めて見たときは想像以上の大きさで驚きました。2画面表示しても見やすいですし、雑誌はほぼ原寸大で表示できます。

処理性能も高く、クリエイティブなアプリや、ゲームアプリもサクサク動作するでしょう。

ただし、言うまでもないですが、他のiPad に比べると重量が重く、場所もとります。iPad Air 2やmini 4は調べたいことがあるときに、ささっと取り出して使えるのですが、iPad Pro は調べたいことがあっても取り出すのがやや面倒に感じます。

Apple Pencilを使いたい方や、2画面表示させたい方などは、iPad Pro は良い製品だと思いますが、それ以外はiPad Air 2やmini 4でも十分だと思います。

詳細はこちら
公式サイト:Apple Store