Apple iPad mini Retina(iPad mini 2)の実機レビュー

更新日:2014年3月18日
iPad mini Retinaは、iPad mini 2という名称に変更されました。

7インチタブレットの本命

高スペックな機能性と携帯性を兼ね備えたiPad miniに、ついに搭載されたRetinaディスプレイ。2048×1536ピクセルの高解像度であらゆるコンテンツを楽しむ事ができます。

さらにCPUもA7へとグレードアップされ、ますますその完成度は高まっています。

カラーはシルバーとスペースグレイの2種類。最大128GBの内蔵ディスク容量が選べます。

アプリケーションやUIはiphoneなどのApple製品と共通しているので、Appleユーザーにはなじみやすいです。またiCroudによってApple製品同士であれば簡単に端末間でのデータ共有が可能です。

アップルストア:iPad mini Retina

※レビュー機は当サイトでの購入製品です

目次

主な仕様

最初に主な仕様をまとめます。

iPad mini Retinaの主な仕様
  iPad mini Retina
OS iOS 7
液晶 7.9インチ (2048x1536ピクセル, 326ppi)
プロセッサー 64ビットアーキテクチャ搭載A7チップ
メモリ 1GB
内部ストレージ 16, 32, 64, 128GB
バッテリー 約10時間
カメラ 静止画:500万画素の写真
ビデオ:1080p HDビデオ撮影
防水 / 防塵 なし
主なスロット Lightningコネクタ
デュアルマイクロフォン
3.5mmヘッドフォンミニジャック
重量 約331g

特徴1 - 高解像度Retinaディスプレイ搭載

本体サイズはほぼそのままに、iPad mini (1024×768ピクセル, 163ppi)からiPad mini Retina(2048×1536ピクセル, 326ppi)へと解像度が一気に2倍にアップしています。

従来のiPad miniでももちろん十分な性能はあったのですが、比べてみるとその差は明らかにあります。特に小さな文字が多い電子書籍を読む時にはその視認性の高さが際立ちます。

また元データに十分な解像度があれば、これまででは表示しきれなかった細部までしっかりと表示する事ができるので、写真などをより美しく見せることができます。


並べただけでは、外観上の構成の違いは分からない


画面を比べると、その差は明らか

特徴2 - 高性能と携帯性の両立

本体の重量はメーカー公表値では従来のiPad miniが312gに対して、Retinaモデルでは331gと約19g重くなっています。実測では従来モデルが307g、Retinaモデルは333gでした。ただ、他の7インチクラスタブレットと比較すれば、Nexus7が約340g, Kindle Fire HDが約395gですので、十分に軽量な部類に入ると思います。

サイズは変わらず200mm×134mmのままで重量だけ重くなっています。ただ、実際はカバーやケースなどをつけた状態で使用する事が多いと思うので、重量差はそれほど感じないと思います。

ちなみにカラーはシルバーとスペースグレイ(裏面)の2色がラインナップ。

電源ケーブル(Lightning - USBケーブル)は従来と変わりませんが、電源アダプターが一回り大きくなり、電源差し込み部分の取り替えができるようになっています。アダプターの重量は約67gでした。(従来モデルは23g)


iPad miniとiPad mini Retinaの重量比較


iPad mini Retina(左)と従来のiPad mini付属の電源アダプター(右)


iPad mini Retina付属の電源アダプターとLightning-USBケーブル

特徴3 - 長いバッテリー駆動時間

軽量コンパクトにも関わらず、バッテリー性能は高いです。

メーカーの仕様表では、Wi-Fiでのインターネット利用、ビデオ再生、オーディオ再生で最大10時間と記載されています。"Battery"アプリで計測した結果は、次の通りでした。また720×480の動画を連続再生したところ、駆動時間は11時間46分でした。測定条件によって多少のばらつきはありますが、非常に長い駆動時間です。

さらに特徴としては、スリープモードの待機電力が低い点が挙げられます。フル充電後に電源ケーブルを外し、約24時間スリープモードにした後に起動しましたが、バッテリーは100%のままでした。普段使いであれば電源を切っておく必要はほとんどないと言えます。


Appの「Battery」でのバッテリー性能計測結果


スリープ時、バッテリーはほとんど減らない

特徴4 - 最大128GBまで選べる内蔵ディスク容量

iPad mini Retinaでは、16GBから最大で128GBまでの内蔵ディスク容量を選ぶ事ができます。音楽や動画、画像を本体に保存しても十分な容量を確保する事ができます。

特徴5 - 充実のAppleアプリ

iPhoneユーザーやMacユーザーにとっては、使い慣れたUIやアプリケーションがそのまま使えるので、抵抗なく利用できます。また初めてのタブレットの場合でも、Appleの豊富なアプリケーションは魅力的です。

またApple製品間ではiCloudやiTunesを使って、メールや連絡先はもちろん、様々なデータを共有する事ができる点も便利です。


豊富なアプリが利用できる

Webページを見る

iPad mini RetinaでWebページを閲覧してみた感想です。

iPad mini Retinaと従来のiPad miniでは画面表示領域が同じままで解像度が上がっているため、単位画素のサイズは小さくなっています。両機種を見比べてみるとその差は歴然です。特に文字サイズが小さくなればなるほど、視認性の差は大きいです。

iPad mini Retina はアスペクト比が4:3となっており、AndroidタブレットやWindowsタブレットよりも正方形に近いです。そのため、画面を縦長にしたとき、画面がサイズが同じでも、iPad mini Retinaのほうが横幅が広くなり、文字も大きくなって読みやすいです。Web閲覧を主にするなら、iPad系は見やすいと思います。ただし、FLASHが使えないのが残念です。


タブレットを縦長の向きにして当サイト「the比較」を表示させた画像

 

次に、Safariでのベンチマーク結果を掲載します。

PEACEKEEPER

PEACEKEEPERはかなり良いスコアと言えます。ちなみに従来のiPad miniの計測結果は512でした。実際に操作した印象としても、ブラウザの表示速度には、はっきりと体感できる速さの違いがありました。


PEACEKEEPER(Futuremark社)・・・Webブラウザベンチマークテスト

chromeでも計測しましたが、結果は1076点とsafariに比べて低い得点となりました。標準のブラウザはOSに対して最適化されているのかもしれません。

Octane

次は、JavaScriptのベンチマークの実行結果です。こちらも良いスコアです。

iPad mini RetinaはiPad Airやiphone5Sと同様に、最新のA7チップを搭載。1世代前のA5チップを搭載している従来のiPad miniと比べて、基本性能も向上しています。


Octane(Google社)・・・ JavaScriptベンチマークツール

テレビを観る

テレビをライブ視聴する方法は幾つかありますが、今回はピクセラ製のSB-TV04-WRIPとnasneを使う方法を試しました。

SB-TV04-WRIPを使ってテレビ視聴

iPad mini Retina に「エリアフリーTV」のアプリをインストールし、TVのライブ視聴を試しましたが、問題ありませんでした。地上波、BS, CSともに設定もスムーズに行えました。


SB-TV04-WRIPを使ってテレビ視聴可能

nasneを使ってテレビ視聴

sony製nasneでのテレビ視聴も試しました。iPadでTVをライブ視聴するためには「Twonky Beam」というアプリをインストールする必要があります。こちらも問題なく動作しました。


sony製のnasneでもテレビ視聴可能

電子書籍を読む

電子書籍を読んだ時の感想です。

小説、マンガなどどのような書籍の閲覧に際しても、現行のタブレットの中では非常に快適です。画面サイズは7.9インチですが、解像度が高いため、小さめの文字でもはっきりと表示されます。また、画面アスペクト比が、書籍の縦横比に近いため、他のタブレットよりも、余白(余黒)があまりできず、その分、文字が大きく表示されます。見開きで表示をしても、文字は小さくなるものの、つぶれにくいです。もちろん従来のiPad miniでも読めない事はありませんが、Retinaの後に見ると一瞬文字がボヤッとした印象を受けます。

RetinaモデルのiPad miniは、携帯性も含め、電車の中で電子書籍を読む時などに最適なタブレットと言えます。


アプリ「Sidebooks」で雑誌の電子書籍(PDF)を表示

液晶ディスプレイのチェック

液晶ディスプレイのチェックです。

IPSを搭載しているため視野角も広く、ギラつきもありません。画面横から覗いた場合は若干コントラストの変化はありますが、画像の鮮明さはほとんど変わりません。また、表面には耐指紋性撥油コーティングがなされています。


視野角(斜めから見たときの見やすさ)

 

画素の拡大図です。一画素のサイズが従来よりも小さくなっています。


画面表面の拡大図

 

カラーマネジメントツールで色域を調べました。タブレットとしては、標準的です。


i1 Display PROIIでプロファイルを作成後、MacのColorSyncでグラフを作成

 

パフォーマンスのチェック

CPU、メモリ、GPUのいずれも、7インチタブレットの中では良いスペックだと思います。

下記にベンチマーク結果を掲載します。

PassMark PerformanceTest Mobile

3DMark

薄さのチェック

薄さは実測で約7.5mmです。メーカー公表値では従来のiPad miniと比較すると0.3mm厚くなっていることになっていますが、体感できる差はほとんどないと言えます。


iPad mini RetinaとiPad miniの薄さの実測


日常用途では十分すぎる薄さ

ホールド感のチェック

持った時のホールド感のチェックです。全体的に引っかかりがなく洗練された形なので、高級感はあります。重量バランスが良いのか、手のひらにすっぽりと収まる感じがします。ただ他のタブレットに比べて表面はやや滑りやすいように思います。


やや手が大きい人なら片手で十分に掴める

表面温度のチェック

本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、タブレットを持つ手が熱くなり不快になります。

今回は本体の裏面のみ計測しました。本体中央より下側がやや暖かくなりますが、それほど不快ではありません。


表面温度の測定結果

外観のチェック

外観です。

このサイズとしては薄型の本体です。

 

縦位置でも横位置でも手にしっくりなじみます。


裏面です。さすがアップルと言える上品な仕上がりは所有欲を満たしてくれますが、やや滑ります。

 

側面と上部の端子です。microSDカードスロットやUSBポートはありません。基本的なインターフェースは従来のiPad miniと同じです。


ヘッドフォン端子です。

 

Lightning端子は裏表どちらでも差し込めます。両脇のスピーカーは内蔵スピーカーにしては良質の音で聴けます。


外観上、iPad miniとの唯一の違いはマイクロフォンが上部だけでなく背面にもついていること。性能テストはしていませんが、録音性能が向上していると期待されます。


本体左側面にはボタンなどは配置されていません。シンプルで洗練されたデザインです。

まとめ

以上がiPad mini Retinaのレビューでした。

同サイズのタブレットの中ではやや高価な部類に入りますが、Apple製品ならではの仕上がりの良さを求めるなら、十分に価格に見合った満足感が得られると思います。

Retinaディスプレイは写真や電子書籍の表示でははっきりとした画質の向上が見て取れます。プレゼンテーション用途や電子書籍リーダーとしての用途が多いユーザーにはその恩恵は大きいです。

処理性能も向上し、多くの動作が快適になっています。

ただし、高解像度液晶の宿命ですが、Webページで使われている画像のほとんどは高DPI(高解像度)対応していないため、画像がぼやけて見えます。これはWebページの対応を待つしかないです。

また、重量は従来モデルと比べて軽くなっていません。用途によっては従来のiPad miniからの買い替えメリットが少ないかもしれません。

なお、microSDなどの外部メモリが使えないので、動画や音楽などをたくさん持ち歩く場合は、大容量モデルを選ぶ事をおススメします。

詳細はこちら
アップルストア:iPad mini Retina