ナナオ EIZO FORIS FS2332の展示機レビュー
まともに使える超解像技術
FS2332は、新・超解像技術「Smart Resolution」を搭載したIPSパネル搭載の23型液晶ディスプレイです。
多くの液晶ディスプレイに超解像技術は搭載されていますが、正直、「これ本当に見やすくなってるの?」と思うものが多くありました。
しかし、FS2332に搭載された「Smart Resolution」は、これらの欠点をかなり改善し、かなりまともに使える超解像技術になっています。
また、IPSパネルを搭載し、EIZOブランドながら価格が3万円台というのも大きな魅力です。
2011年7月16日、EIZOガレリア銀座で開催されたFORIS FS2332の商品説明会に参加しました。ここでの内容と感想を記載します。
特徴1 - 新・超解像技術「Smart Resolution」
新・超解像技術「Smart Resolution」の説明は下図をご覧ください。また、メーカーHP(EIZO)に動画による解説もあります。
Smart Resolutionを、私の理解で簡単に言うと、「超解像処理しないほうが良い部分は、何も処理しない」という技術なんだと思います。
例えば、人の肌を超解像処理すると、ザラザラになり肌の滑らかさが失われてしまいます。こういった部分には超解像処理しません。テキスト文字も超解像すると見にくくなるので処理しません。動画を”ながら視聴”している場合も、動画以外の部分は処理しません。また、従来の超解像はノイズも強調してしまいましたが、今回のSmart Resolutionはノイズ部分は切り分けて強調しないようにしています。
このように、超解像不要な部分を抽出し、そこ以外を超解像処理することで、自然な画像・映像に仕上げています。
Smart Resolutionは、5段階で強調度を調整可能です。また肌補正、文字補正、動画領域補正の有効・無効を設定することも可能です。例えば肌補正を「有効」にすると、肌の部分は強調"しない"ようになります。
静止画に超解像ON
では、従来の超解像技術と、新・超解像技術の違いを、実際に見ていきます。
まずは、従来の超解像の静止画です(下図)。左側が超解像ONの画像で、右側が超解像OFFの画像です。超解像ONの画像は目の周りや、鼻の下、口の下あたりの肌がザラザラしていると思います。
次が、FS2332によるSmart Resolutionで処理した新・超解像の画像です。肌の部分が滑らかなままです。
下図は、近くで撮影したときの画像です(モアレ防止のために斜めに撮影したのですが、ちょっとモアレが出てしまいました)。ちょっとわかりづらいですが、肌の部分は強調されず、眉毛やまつ毛は強調されています。
次に、テキスト文字を確認します。
下図は従来の超解像です。テキスト文字はぼやけた感じがなくなっていますが、周りの黒い部分にあるノイズ部分も強調され、白いゴミがポツポツとあるように見えると思います。
次が、新・超解像です。文字のみくっきり強調されています。
動画(Youtube)に超解像ON
次はYoutubeの動画を観たときの違いです。超解像をONにすると、ぼやけた映像が、クッキリした映像になっているのがわかります。YouTubeは画質の悪い動画が多いので、超解像技術は便利です。
また、動画領域補正機能により、Youtubeの動画部分のみを超解像処理し、他のテキスト部分などは何も処理しないため、他の作業は今まで通りの見やすさで作業することができます。
動画(ブルーレイ)に超解像ON
次は、ブルーレイの映像に超解像をかけたときの違いです。元々ブルーレイは高画質であるため、超解像はONにしなくても綺麗です。
ただ、ブルーレイは変換前の情報量が多いため、超解像処理の精度が良く、場合によってはさらに綺麗に見えるときもあります。
また下図のように、奥にある映像は超解像処理せずボヤけたままにするため、遠近感が損なわれず自然な映像です。
ゲームに超解像ON
下図はゲームに超解像をかけたときの図です。
個人的にはゲームに超解像処理を行っても、見やすくなるとかプレイしやすくなるとかということはありません。それよりも、FS2332は旧モデルからの継承機能として、Power Gammaという機能があり、こちらの項目をPower2にすると、暗部を補正し、暗いシーンが見やすくなります。こちらは実用的です。
特徴2 - IPSパネル搭載
本機のSmart Resolution以外の特徴は、IPS液晶パネルを搭載している点です。
視野角が圧倒的に広くなり、かなり斜めから見ても映像を観ることができます。
また、色がずいぶん鮮やかになったと思ったので聞いてみたところ、色域がsRGB カバー率 100%以上あるそうです。
ギラツキもほとんどなく見やすいです。
その他の特徴
その他の特徴について、商品説明会で投影されたスライドを掲載します。
この中で目を引く機能は、「遅延1フレーム以下」という部分です。格闘ゲームなどをする方に適しています。
またHDMI入力端子を2系統持つのも良いです。HDMI接続の機器が増えているので何かと便利です。
次のスライドです。
この中で目を引くのはカラーマッチングツールに対応している点です。3万円台のエントリー機としては珍しいです。
こちらのEIZO Direct ならカラーマッチングツール「EIZO EasyPIX」とセットで、10,800円引きで販売しています。
まとめ
今まで、超解像処理を行うと、かえって見づらくなる時が多く、あまり使用することはありませんでした。
しかし、FS2332の超解像技術は、今までの欠点を改善し、かなり実用的な機能になったと思います。これなら常時、超解像をONにしていても十分使用できるかなと思います。
また、IPSパネルを搭載しているのも魅力です。IPSパネルを搭載したEIZOブランドの液晶ディスプレイが3万円台で購入可能なのは、かなりお得だと思います。
不満点を挙げるとすれば、高さ調節ができない点と、LED液晶になったわりには本体がやや厚くて重い点です。これは前機種のFS2331の筺体をそのまま流用してコストダウンしているためです。3万円台で購入できるので、そこは妥協しましょう。
購入はEIZOダイレクトから可能です。カラーマッチングツールや、JBLスピーカー等とセットで購入するとお得です。また今ならキャンペーンもやっているので一度ご確認ください。
購入はこちら:Amazon |