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レノボ ThinkPad W540の実機レビュー
Quadro搭載モバイルワークステーション
ThinkPad W540は、Quadroのグラフィックカードを搭載した15型クラスのモバイルワークステーションです。基本的にはCADなどの3Dコンテンツ制作者向けの製品となります。
液晶ディスプレイには、非光沢の3K(2880x1620)の液晶を搭載し、高精細で画像・映像が綺麗です。また、液晶ディスプレイをキャリブレーションすることもでき、(目標値に)正確な色を再現することが可能です。
また、エクストリームエディションのCPU、最大32GBのメモリ、SSD RAID対応のストレージなど処理性能も非常に高いです。
キーボードも打ちやすいですし、クリエイター系の仕事をしている方には、とてもおすすめのノートパソコンです。
メーカーサイト:レノボ 公式サイト
※レビュー機はメーカーからの借用製品です
目次
ThinkPad W540の基本スペック
ThinkPad W540の基本スペックをチェックします。特徴的な部分は赤字にしています。※2014年2月14日時点の情報です。時期が経つと選択できるパーツは異なる可能性があります。詳細はメーカーサイトでお確かめ下さい。
CPU Mシリーズの第4世代インテルCPUです。エクストリームエディションのCPUも選択可能です。本機はCore i7-4800MQです。 |
グラフィックカード 3D制作者向けのNVIDIA Quadro K1100MまたはK2100Mを選択できます。本機はQuadro K2100Mです。 |
液晶ディスプレイ 15.6型フルHD or 15.5型3K(2880x1620)液晶です。いずれも非光沢です。カラーセンサーも搭載可能です。本機は3Kのカラーセンサー搭載液晶です。 |
メモリ Core i7 クアッドコアCPU以上なら最大32GBまで、それ以外は最大16GBまで選択可能です。スロットは4つあります。本機の容量は16GBです。 |
ハードディスク/SSD 単体HDD、HDD(+キャッシュSSD)、HDD RAID、単体SSDを選択できます。本機はSSD RAIDです。 |
光学ドライブ |
バッテリ駆動時間 メーカー公表値で最大 約7.7時間です。 |
テレビチューナー 内蔵のテレビチューナーは搭載していません。 |
特徴1 - NVIDIA Quadro K2100Mを搭載可能
ThinkPad W540は、OpenGLに最適化されたCADなどの3D製作者向けグラフィックス、NVIDIA Quadro K1100M(2GB)またはK2100M(2GB)を搭載することが可能です。
本機は、NVIDIA Quadro K2100M(2GB)を搭載しています。NVIDIA Quadro K2100Mは、モバイルワークステーションの中では、中規模(ミドルレンジ)に位置付けられているグラフィックスです(下記参照)。
超ハイエンド | ハイエンド | 中規模 | エントリー |
---|---|---|---|
Quadro K5100M | Quadro K4100M Quadro K3100M |
Quadro K2100M Quadro K1100M |
Quadro K610M Quadro K510M |
OpenGL定番ベンチマークソフト「SPECviewperf 12」を実行した結果を、下記に掲載します。
SPECviewperf 12ベンチマーク(Quadro K2100M)
参考までに、コンシューマー向け(主にゲーム向け)の人気グラフィックスであるGeForce GTX765Mでのベンチマーク結果も掲載します。Quadro K2100Mのほうがスコアの高いテストが4つ、GeForce GTX765Mのほうがスコアの高いテストが4つでした。
SPECviewperf 12のベンチマーク(GeForce GTX765M)
次に、旧モデルのThinkPad W530に搭載されていたQuadro K2000Mと、ベンチマークを比較します。Quadro K2100Mのほうが、約1.2倍はスコアが高くなっています。
SPECviewperf 11のベンチマーク
特徴2 - キャリブレーション可能
ThinkPad W540は、本体にカラーセンサーを内蔵することができ、別途測定器を用意しなくても、液晶画面のキャリブレーションをすることが可能です。※カラーセンサーを内蔵するには「カラーセンサーあり」と書かれた液晶ディスプレイを選択する必要があります。
(設定した目標値に近い)正確な色を表示する必要があるプロの方に適しています。プロではなくても、一眼レフで撮影した画像を正確な色で表示したい方や、青白い画面が苦手で、目の疲れにくい画面で作業をしたい方などにも適しています。
キャリブレーションは次のように行います。
まず、「PANTONE Color Calibrator」のソフトを起動します。
白色点およびガンマを指定します。通常であれば初期設定のままで大丈夫です。
輝度は「?? cd/m2」といった目標値を設定することができません。「見やすいと思う輝度」に自分で設定する必要があります。
ちなみに、別の機器で輝度計測したところ、下図のような輝度設定で、約120cd/m2でした。
以上の設定を終えたら、トップカバーを閉じます。パームレスト部分にカラーセンサーがあり、これで測定します。
測定が完了すると、ビープ音が鳴り、トップカバーの下図のランプが点灯します。
使用していくうち色のズレが発生するため、次回は何週間後にキャリブレーションを実行するか設定します
最後に、適用前と適用後の画面を確認できます。
特徴3 - 「3K液晶(2880x1620)」を選択可能
ThinkPad W540は、3K液晶(2880x1620ドット)を選択することが可能です。
非常に高精細であるため、デジカメで撮影した画像を綺麗に表示したり、資料の小さい文字をくっきり表示したりすることが可能です。
ただし、既定のスケーリングでは文字が小さくなりすぎるため、通常は拡大して表示します。しかし、アプリによっては文字が拡大されなかったり、画像部分がぼやけたりすることがあります。
特徴4 - 最大 Core i7-4930MXを選択可能
本機は、ノート向けCPUの中で最上級クラスの「Core i7-4930MX」を選択することが可能です。
Core i7-4930MXは、Core i5-4200MとPassmarkのCPUスコアを比べると、2倍以上の差があります(下表参照)。ただし、価格はかなり高くなります。コストパフォーマンスの面では、Core i7-4700MQが良いと思います。
Core i7-4930MX | Core i7-4800MQ | Core i7-4700MQ | Core i5-4200M | |
---|---|---|---|---|
コア数 | 4 | 4 | 4 | 2 |
スレッド数 | 8 | 8 | 8 | 4 |
動作周波数 | 3.00GHz | 2.70GHz | 2.40GHz | 2.50GHz |
Turbo Boost | 3.90GHz | 3.70GHz | 3.40GHz | 3.10GHz |
L3キャッシュ | 8MB | 6MB | 6MB | 3MB |
PassMark CPU スコア |
9434 | 8484 | 7958 | 4145 |
特徴5 - ウルトラベイ対応でSSD RAIDも可能
ThinkPad W540は、ウルトラベイ・エンハンスド(着脱式)に対応しており、光学ドライブ部分に、ハードディスクやSSDを搭載することが可能です。内蔵のストレージと合わせてRAIDを構成することも可能です。
ウルトラベイ・エンハンスド(着脱式)に対応。ストレージも搭載可能
本機は、ウルトラベイにSSDを搭載し、内蔵のSSDと合わせてRAID 0 を構成しています。
SSDでRAID 0を構成可能
このときのベンチマークスコアは下図の通りです。かなり高いスコアになっています。
SSD RAID 0 のCrystalDiskMarkの結果
また、m.2スロットにSSDを搭載することも可能です。この場合は、内蔵したハードディスクのキャッシュとして使用されます。
このように、内蔵ディスク、m.2スロットと、ウルトラベイに、HDDやSSDを搭載できますが、構成可能なストレージの組み合わせが限られています。例えば、内蔵ディスクにSSD、ウルトラベイ部分にHDDを搭載し、SSD+HDDの構成にすることができません。ややこしいので、下の表に、可能な組み合わせを掲載します。
内蔵ディスク | m.2スロット | ウルトラベイ |
---|---|---|
HDD | なし | 光学ドライブ |
HDD | キャッシュ用SSD | 光学ドライブ |
HDD (RAID 0 or RAID 1) | なし | HDD (RAID 0 or RAID 1) |
SSD | なし | 光学ドライブ |
SSD | なし | SSD ※非RAID |
SSD (RAID 0 or RAID 1) | なし | SSD (RAID 0 or RAID 1) |
ただし、初期購入時にSSD+HDDの構成はできませんが、ウルトラベイへ自分でHDDを増設すれば、SSD+HDDの構成も可能です。
特徴6 - 4つのメモリスロットで最大32GB
ThinkPad W540はメモリスロットを4つ搭載しており、最大32GBのメモリを搭載することが可能です。ただし、クアッドコアCPUを選択した場合のみ4スロット利用可能となります。それ以外のCPUでは2スロットまでしか利用できませんので、ご注意ください。
4つのメモリスロットを搭載
液晶ディスプレイのチェック
液晶ディスプレイのチェックです。
ここでは、3K(2880x1620)液晶についてチェックします。他の液晶を選択された場合は、やや特性が変わってきます。
まず、視野角は非常に良いです。IPSパネルであるため、VA系のIGZOのパネルよりも視野角が良いです。
視野角(斜めから見たときの見やすさ)
工場出荷時の液晶について、ガンマ補正曲線を確認すると、どの色もほぼ直線的でした。工場出荷時点でも、比較的正確な(目標値に近い)色が再現されています。キャリブレーションをすれば、さらに色再現性が高くなります。
色域は、ノートパソコンとしては広めです。
ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成
画素形状です。ノングレアの処理面を見ても凹凸が少なく、ギラつきはほぼ感じません。
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードとタッチパッドのチェックです。
実測で、キーピッチは縦:19mm、横:19mm、キーストロークは2mmです。テンキーについては横のキーピッチのみ18mmとなっていますが、他のテンキー付きキーボードに比べると、十分なキーピッチが確保されています。
キートップは湾曲しており、指にフィットします。適度な反発があり、非常に打ちやすいキーボードです。
キーボード全体図
キーの拡大図1
キーの拡大図2
タッチパッドの使いやすさは、他のノートパソコンと比べると普通だと思います。
しかし、タッチパッド上部の"トラックポイント用クリックボタン"が押しづらいです。詳細は、同じ構造の「ThinkPad X240sのレビュー」をご覧ください。マウスを使用する場合は、トラックポイントを使用しないと思うので、この影響はありません。
タッチパッド
パフォーマンスのチェック
ノートパソコンの中では高い処理性能を持つPCです。
グラフィックスも高い性能ですが、ゲーム用ではなくCADなどのCG制作用に特化したグラフィックスです。
Core i7-4800MQ、Quadro K2100M、16GBメモリ、SSD RAIDの構成でのベンチマーク結果は次の通りです。
Windows エクスペリエンス インデックス
PassMark Performance Test 8.0
3DMark
原因は分かりませんが、FIRE STRIKEは実行できませんでした。海外サイトを確認すると、本来であれば1600程度のスコアが出るようです。
※ ICE STORM:Direct 9相当ベンチ、CLOUD GATE:Direct 10相当ベンチ、FIRE STRIKE:Direct 11ベンチ
PCMark 8
動画のエンコード時間
Core i7-4800MQ | |
---|---|
x264でエンコード | 13分19秒 |
クイック・シンク・ビデオでエンコード | 6分23秒 |
CUDAでエンコード | 7分18秒 |
iPhone 4で視聴可能なMPEG-4 AVC(解像度:1280x720)へ変換
ゲームベンチマークのチェック
Quadro K2100Mのゲームベンチマークのチェックです。
ゲーム用グラフィックスのGeForce GTX765Mのスコアも一緒に掲載します。Quadro K2100MはCG制作用であり、ゲーム用ではないため、GeForce GTX765Mと比較すると、スコアがかなり落ちます。
製品名 | レノボ ThinkPad W540 | 他社PC | ||
基本スペック | Core i7-4800MQ Quadro K2100M |
Core i7-4700MQ GeForce GTX765M |
||
重めの ゲーム |
ロストプラネット 2(テストB) | 1920x1080 | RANK C(26.2fps) | RANK B(41.5fps) |
1280x720 | RANK B(38.4fps) | RANK B(59.5fps) | ||
ファイナルファンタジー XIV(旧) | 1920x1080 | 2052(やや重い) | 2645(普通) | |
1280x720 | 3779(やや快適) | 4404(やや快適) | ||
中程度の 重さの ゲーム |
ファイナルファンタジー XIV 新生エオルゼア キャラクター編 (標準品質 ノートPC) |
1920x1080 | 6259(とても快適) | 9392(非常に快適) |
1280x720 | 10923(非常に快適) | 14500(非常に快適) | ||
ファンタシースターオンライン2 ver.2 | 1920x1080 | 5387(快適) | 10202(快適) | |
1280x720 | 12264(快適) | 22444(快適) | ||
バイオハザード6 | 1920x1080 | RANK C(2995) | RANK A(4549) | |
1280x720 | RANK A(5138) | RANK S(7578) | ||
モンスターハンターフロンテ
ィア 第三弾(大討伐) <スコア:6000で約60fps> |
1920x1080 | 4252 | 6154 | |
1280x720 | 8165 | 11941 | ||
軽めの ゲーム |
ドラゴンクエスト X(標準品質) | 1920x1080 | 6856(快適) | 8052(とても快適) |
1280x720 | 8587(とても快適) | 8979(とても快適) | ||
デビルメイクライ4 | 1920x1080 | RANK S | RANK S | |
1280x720 | RANK S | RANK S |
人気のPCゲーム「ファイナルファンタジー 新生エオルゼア」のベンチマークについては、6つのグラフィック品質で計測しました。
製品名 | レノボ ThinkPad W540 | |
基本スペック | Core i7-4800MQ Quadro K2100M |
|
1920x1080 | 最高品質 | 2995(やや快適) |
高品質 (ノートPC) | 4097(快適) | |
標準品質 ノートPC) | 6259(とても快適) | |
1280x720 | 最高品質 | 5518(とても快適) |
高品質 (ノートPC) | 7394(非常に快適) | |
標準品質 (ノートPC) | 10923(非常に快適) |
重量のチェック
ThinkPad W540の重量のチェックです。
ノートパソコンとしては重いですが、デスクトップPCと比べると持ち運びしやすいです。
重量のチェック
カードリーダー/ライターのチェック
内蔵カードリーダー/ライターの速度は速いです。