レノボ ideapad 330S(14) の実機レビュー

更新日:2018年7月16日
CPU Core i7-8550U
Core i5-8250U
Core i3-7020U
Pentium 4415U
メモリ 4GB / 8GB
ストレージ 128GB / 256GB
PCIe SSD
液晶サイズ 14.0型
液晶種類 FHD IPS 非光沢
質量 約1.67kg
バッテリー 約12.4時間
価格 4万円台~(税込)
Core i5-8250Uのモデルでも6万円台

ideapad 330Sは、宅内モバイルPC向けの低価格ノートPCです。

質量が1.67kgとなっており、据え置きPCとしては非常に軽く、室内で持ち運ぶのに適した製品です。

モバイル専用PCとしては多少重いですが、質量はそれほど気にしない方や、車での移動が主な方であれば、モバイルPCとしても十分利用できると思います。

価格は4万円台からと非常に安いです。4万円台で購入するには、Pentium 4415UのCPUにする必要がありますが、ベンチマークスコアを見ると、そこまで悪いスコアではないです。また、Core i5-8250Uのモデルでも6万円台と驚異的な価格です。

ただし、今回試した限りでは、十分なパフォーマンスが出ませんでした。詳細は後述します。

公式サイトはこちら

 

レビュー機は、当サイトの購入品です。今回は次の構成でレビューをしています。また、これ以降は、製品名の(14)の部分は省略します。

レビュー機の構成

Core i5-8250U、8GBメモリ、256GB PICe SSD

ideapad 330Sの特徴

低価格な宅内モバイルPC

本製品の魅力は、質量が1.67kgと据え置きPCとしては軽量なことと、価格が4万円台からと非常に低価格なことです。

軽量であるため、自分の部屋からリビングへPCを持って作業をするときや、自席から会議室へPCを持っていくときなどに便利です。ThinkPad X1 Carbonなどのモバイルに特化した製品と比較すると、やや重くなってしまいますが、多少重くても気にしない方はモバイル機(外出先へ持ちだす用のPC)としても活用できるでしょう。その場合、モバイル兼メインPCとして利用できます。

価格は、Pentium 4415Uなら4万円台で、第8世代のCore i5-8250Uでも6万円台という異例の価格です。コストパフォーマンスはかなり良いです。Core i5-8250Uのモデルは、発売当初は8万円台だったのに、驚異的に価格が下がっています。いつ値上がりするか分からないので、購入はお早めに。

 

CPUの選択幅が広い

ideapad 330Sは、CPUの選択肢が広いことも特徴です。

第8世代Core i7-8550U、第8世代Core i5-8250U、第7世代Core i3-7020U、Pentium 4415Uを搭載したモデルがあります。下記の表に各CPUのPassMarkの代表的なベンチマークスコアを掲載しました(当サイトでの計測値ではないです)。

CPUのベンチマーク値の比較
Core i7-8550U Core i5-8250U Core i3-7020U Pentium 4415U
9372 8587 3727 3189

 

一番低いスペックのPentium 4415Uでも、そこそこの性能となっており、Core i3-6006Uくらいのスコアがあります。軽作業であれば、それほどストレスなく使用できるでしょう。

Web閲覧や動画鑑賞しかしないので価格を抑えたい方はPentium 4415U、編集系の作業をしようと思っている方はCore i5-8250Uを選択するなど、用途によってCPUを選べます。

 

IPSパネルの狭額ベゼルディスプレイ搭載

ideapad 330Sは、4万円台から購入できるPCですが、フルHDのIPS液晶を搭載しています。通常、安めのPCだと、解像度がHDだったり、視野角がそれほど良くないディスプレイを搭載することで価格を抑えていることが多いですが、ideapad 330Sはそうではありません。

また、ディスプレイのベゼルは5.7mmと狭く、見た目もすっきりしています。


狭額ベゼルのディスプレイ

 

そこそこのバッテリー駆動時間

ideapad 330Sは、約12.4時間のバッテリー駆動が可能です。実際の使用では、もう少し短くなるとは思いますが、外出先でもバッテリーを気にせず使用できそうです。また、バッテリーは急速充電にも対応しています。1時間で約80%の充電が可能なので、いざという時にも安心です。

 

カスタマイズはできないが、Office付きモデルが登場

ideapad 330Sは、CPUやメモリが固定されたモデルがいくつかあるのみで、構成を細かくカスタマイズすることはできません。ただ、発売当初はMicrosoft Officeをバンドルして購入することがでませんでしたが、2018年7月6日ごろからOfficeをバンドルしたモデルが追加されました。

 

レノボの低価格14型ノートPCの価格比較

レノボには、低価格な14型ノートPCが他にもあります。これらの機種と比較してみます(下表)。なお、今回はCore i5-8250Uを搭載したモデルについて、他のパーツはできるだけスペックを合わせて比較しています。

ideapad 330Sは、ideapad 330の軽量版という位置づけですが、質量が軽いという点以外にもメリットがあります。ディスプレイがIPSパネルで見やすく、SSDがPCIe接続と高速です。さらに、発売当初はideapad 330より高額でしたが、価格が恐ろしく下がり、現在はideapad 330Sのほうが安いです。

ThinkPad E480はカスタマイズが可能で、キーボードも打ちやすく、堅牢性も高いですが、ideapad 330Sに比べるとやや高めで、メモリカードスロットもmicro SDとなっています。

レノボの14型ノートPCの比較
  ideapad 330S(14) ideapad 330(14) ThinkPad E480
CPU Core i5-8250U
メモリ 8GB
SSD PCIe 256GB SATA 128GB PCIe 256GB
HDD 1TB
液晶 14型 FHD IPS 14型 FHD TN 14型 FHD IPS
質量 1.67kg 2.1kg 1.75kg~
価格(税込) 68,215円 83,570円 101,088円

 

【重要】思ったほどのパフォーマンスが出ない

ideapad 330Sでベンチマークを実行したところ、思ったほどのスコアが出ません。

同じCPUを搭載したideapad 720Sと比較すると、7~8割ほどのスコアしか出ませんでした。

Lenovo Vantageによるドライバーの適用およびWindows Updateも実行済みです。

CINEBENCH R15
ideapad 330S(Core i5-8250U)
ideapad 720S(Core i5-8250U)
TMPGEnc Video Mastering Works 6によるエンコード時間
  ideapad 330S ideapad 720S
Core i5-8250U Core i5-8250U
x265でエンコード (※1) 43分17秒 29分58秒
NVENCでエンコード (※2)
QSVでエンコード (※3) 3分50秒
XAVC Sの動画(約2分、4K)をH.265/HEVCへ変換
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※3 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー

 

エンコード中のCPUクロックを確認してみたところ、ideapad 720Sはも2.2GHz前後で動いているのに対し、ideapad 330Sは1.5GHz前後でしか動いていませんでした。

エンコード中のCPUクロック

ideapad 330S


ideapad 720S

 

以前も、ideapad 520で同様のことがありましたが、新しいBIOSを適用することで改善されました。そのため、ideapad 330Sも、今後提供されるBIOSを適用することで、改善される可能性があります。

ただし、第7世代のCore i7-7500Uよりも高いベンチマークスコアが出ているので、一般的な用途であれば困ることはないと思います。

2019.2.23:ベンチマークのその後

毎月、BIOSをアップデートし、ベンチマークを計測していますが、スコアは改善されません。

Core i7-7500Uや、Core i3-8145Uのスコアは出ているので、Core i5-8250Uは最初からそのくらの性能だと思って購入するといいと思います。多少、性能は落ちるとは言え、コストパフォーマンスは十分高いです。

 

 

これ以降は、いつものチェックを行いますが、CPUがこのような状態であるため、パフォーマンスや、バッテリー駆動時間、静音性、内部温度などのチェックは省略します。CPUが通常のクロックで動作するようになったら、計測し追記します。

液晶ディスプレイのチェック

液晶ディスプレイのチェックです。

搭載されていた液晶の型番は「BOE CQ NV140FHM N48」でした。最大輝度は、実測で272cd/m2でした。

視野角は広いです。


視野角(斜めから見たときの見やすさ)

 

カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、赤と青がわずかに強く発色していますが、ほんの少しですし肉眼ではほとんど気になりません。


 

色域はやや狭いです。


ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成

 

画素形状は下図の通りです。ギラつきはほぼ無く見やすいです。


画素の拡大図

 

非光沢液晶であるため、画面への映り込みは低減されています。


画面への映り込み

 

キーボードおよびタッチパッドのチェック

キーボードとタッチパッドのチェックです。
実測で、キーピッチは約19x19mm、キーストロークは約1.5mmです。キートップはフラットで指のフィット感はあまりよくありません。底付きの衝撃は少ないです。タイプ音は普通です。総合的に見て、普通の打ちやすさのキーボードだと思います。

キー配列は大きくおかしいところはありませんが、Enterキーとその左隣りのキーがくっ付いています。英語キーボードと部品をある程度共通化するためにこういった仕様になっているのだと思いますが、やや見た目がかっこ悪いです。


キーボード全体図


キーの拡大図

 

質量のチェック

ideapad 330Sの質量のチェックです。

当サイトによる計測値は下図の通りです。ThinkPad X1 Carbonのようなモバイルに特化したノートPCと比べると重いですが、一般的な据え置きノートPCと比べると軽量です。

質量(当サイトによる計測値)
  質量
PC本体 1.593kg
ACアダプター 199g

 

バッテリー駆動時間のチェック

バッテリー駆動時間をチェックします。

バッテリーの容量は、52.5Whとなっており、やや大きめの容量です。

実際の駆動時間については、CPUが十分なパフォーマンスが出るようになってから計測します。

外観のチェック

外観のチェックです。

最近のideapadシリーズとほぼ同じ形状、質感です。

狭額ベゼルを採用していますが、下辺の幅は結構あります。同じ14型液晶のThinkPad X1 Carbonとボディサイズを比べると、ideapad 330Sのほうが奥行きがやや長くなっています。

 

天板はシンプルで、右下に小さく「Lenovo」とプリントされているだけです。変に大きくロゴが無いのはいいと思います。

 

 

スピーカー音はややこもっており、それほど良いとは思いません。勝手に点数をつけると、10点満点で4点です(普通が5点で、筆者の独断の評価です)。

 

液晶は180度近く開きます。

 

インターフェースは、下図の通りです。必要最低限のポートは揃っています。USB Type-CはThunderbolt 3およびPower Delivery、Alt Modeには対応していません。

 

底面です。

 

85WのACアダプターでした。モバイルPCとしては大きな容量です。

まとめ

以上が、ideapad 330Sのレビューです。

Pentium 4415Uモデルなら4万円台、Core i5-8250Uモデルでも6万円台という驚異的な安さです。

特にCore i5-8250Uのモデルがかなり安く価格を間違えたのではないかとおもうほどです。そのうち値上がりする可能性もあるので、購入はお早めに。

ただし、Core i5-8250Uの割にはCPUクロックが低く推移し、ベンチマークスコアなどが低かったです。ideapad 520でも同様の現象がありこちらはBIOSで改善しました。ideapad 330Sも今後公開されるBIOSで改善されることを期待します。とは言っても、旧世代のCore i7-7500Uよりも高いスコアが出ているので、一般的な作業なら困ることはないと思います。

動作音や温度のチェックは、CPUが十分なパフォーマンスが出るようになってから計測し、追記します。

詳細・購入はこちら

【公式サイト】

レノボ(ideapad 330S ページ)

 

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