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HP Pavilion 27-r000jpの実機レビュー
27型の大画面でも、省スペースのオールインワンPC
Pavilion 27-r000jpは、27型の大型ディスプレイを備えつつも、約19cmの奥行きの省スペースのオールインワンPCです。
前面のスピーカー周りには、ファブリック素材を使用しており、様々な環境に馴染みやすい、暖かみのあるデザインとなっています。
CPUは、デスクトップ用CPUのCore i7-7700Tを搭載しており、ノート用CPUより高性能です。
ディスプレイは、27型のIPS方式のフルHD液晶です。また、10点タッチに対応しており、指での直感的な操作も可能です。また、上位モデルのパフォーマンスプラスモデルは、解像度がQHDとなっており、より精細な描写が可能となっています。
HDMIの出力端子に加え、入力端子を備えているのも特徴です。
また、一体型PCとしては、おそらく初めてOptaneメモリーを搭載したモデルも用意されています。
CPU | Core i7-7700T |
メモリ | 8GB (最大16GB) |
ストレージ | HDD(Optaneメモリー) / PCIe SSD + HDD |
液晶サイズ | 27.0型ワイド |
液晶種類 | FHD/QHD IPS タッチ 光沢 |
光学ドライブ | DVDライター |
価格 | 約130,000円~ |
レビュー機は、メーカーからの貸出機です。今回は次の構成でレビューをしています。
- Core i7-7700T、8GBメモリ、Radeon 530、256GB M.2 PCIe SSD + 2TB HDD
目次
お忙しい方は、「1」の特徴のみお読みください。
1 Pavilion 27-r000jpの特徴 | |
2 液晶ディスプレイのチェック | 3 パフォーマンスのチェック |
4 静音性のチェック | 5 パーツの温度のチェック |
6 消費電力のチェック | 7 外観のチェック |
8 まとめ |
Pavilion 27-r000jpの特徴
27型大画面&タッチパネル
Pavilion 27-r000jpは、27型のタッチパネルディスプレイを備えています。タッチパネル付きの大型ディスプレイは種類が少なく、価格も高くなるため、大画面とタッチパネルを希望される方にとっては、とても魅力的な機種と言えます。
マウス操作に慣れていない高齢の方や、子供たちも指で感覚的に操作できそうです。
フルHDの液晶も十分綺麗な画面ですが、上位モデルを選択すると、QHD(2560x1440)のより高い解像度での表示が可能となります。27インチもあれば、スケーリングを100%にしても、文字は小さく感じないでしょう。本製品の場合は、是非、QHD(2560x1440)の液晶をおすすめします。
ただし、タッチパネルを搭載している影響で、光沢液晶になっています。また、ガラスが割と厚く、IPSパネルではありますが、斜めからみるとやや見づらさもあります。

QHD(2560x1440)液晶なので、一度に多くの情報を表示できる

タッチパネル液晶を搭載(液晶のガラスは厚め)
極細なスタンド
Pavilion 27-r000jpのスタンドは、図のように非常に細くなっておりエレガントです。まるで、ディスプレイが宙に浮いているようです。

細いスタンド
HDDのキャッシュとして使うOptane(オプテイン)メモリーを搭載
Pavilion 27-r000jpの一部のモデルは、Optaneメモリーを搭載しています。Optaneメモリーとは、HDDを高速化するキャッシュメモリーです。
インテル スマート・レスポンス・テクノロジー(SRT)という言葉を聞いたことがある方もいると思います。SRTはSATA SSDをキャッシュとして使っていましたが、Optaneメモリーでは、ランダムアクセスに優れた「3D XPoint」SSDというのをキャッシュとして使用しています。
SSDを搭載するよりも価格を抑えながら、HDDのみの場合よりも読み込み速度をかなり向上させることができます。

HDD、HDD+Optane、SSDの速度比較
OSの起動やアプリの起動など、頻繁に行うような処理はOptaneメモリーによって高速になり、体感速度はかなり向上すると思われます。また、SSD+HDDのモデルの場合、HDD側から読み込み・書き込みする場合は遅くなってしまいますが、Optaneメモリー搭載であれば、全ての読み込みを高速化することができます。
ファブリック素材を使用した温かみのあるデザイン
Pavilion 27-r000jpは、フロント部分にファブリック素材を使用しており、無機質なコンピュータに暖かみを加えたデザインとなっています。また、ファブリック素材を採用することで、オーディオスピーカー同様の音響伝達効果も得ることができます。
このサイズとデザイン、機能を考えると、リビングに置いて、家族みんなで使うといった使用方法に適しているように思います。

ファブリック素材
光学ドライブ搭載
兄弟機種の「HP Pavilion 24-x000jp」に光学ドライブは搭載されていませんが、本製品には搭載されています。
ただし、搭載しているのはDVDライター(ほぼDVDスーパーマルチドライブと同じ)のみです。せっかくの大画面なので、ブルーレイドライブを選択できたら良かったと思います。

光学ドライブを搭載
HDMI入力端子と出力端子を備える
Pavilion 27-r000jpは、HDMI出力端子はもちろん、HDMI入力端子も備えている珍しい一体型デスクトップPCです。
HDMI出力端子を備えることで、別の液晶ディスプレイに接続し2画面で使用することができます。もともと大画面のPCではありますが、複数のアプリケーションを同時に表示できるようになり、特に仕事で使用される場合は、作業効率の向上が見込まれます。
また、HDMI入力端子を備えることで、27型の画面をノートパソコンのサブディスプレイとして一時的に使用することや、ゲーム機器を接続することも可能となります。一体型パソコンなのに、普通の液晶ディスプレイのようにも使用できる点が特徴です。

背面のポート類
周辺機器は接続しにくい
ポート類が、背面と下側面にしかないため、周辺機器を接続しにくいです。見た目を優先したのだと思いますが、側面か正面にUSBポートとヘッドホンポートだけでも欲しかったです。

下側面のポート類
テレビチューナーはなし
国内メーカーの液晶一体型PCは、一人暮らし用/個室用にテレビチューナーを搭載できるケースが多いですが、本製品はそれができません。テレビチューナーも選択できれば良かったです。
本製品はHDMI入力端子があるため、テレビを見たい人は、テレビチューナーを購入し、本製品にHDMIで映像出力するのも面白いと思います。
音質は良い
Pavilion 27-r000jpのスピーカーの音質は良いです。
若干低音に迫力不足を感じる方もいるかもしれませんが、臨場感がある音だと思います。個人的には下図のB&O Play Audio Controlの「DIALOG CLARITY」を下げたほうが好みでした。
ちなみに、ノートパソコンの「HP Spectre 13」の音質を6点だとすると、本製品は7~8点くらいです。

B&O Play Audio Control
カメラは物理的に隠せる
パソコンがハッキングされ、カメラからの映像がネットに流れていたというニュースをたまに聞きますが、Pavilion 27-r000jpはそれを防止するために、物理的にカメラを隠す機能を持っています。
下図のように、天面にあるレバーをスライドさせると、カメラを隠すことが可能です。

カメラを隠すことが可能
液晶ディスプレイのチェック
液晶ディスプレイのチェックです。
今回は、QHD(2560x1440)でテストをしています。
液晶型番は不明です。
IPSパネルなので、視野角は良いです。ただ、前面のガラスがやや厚いので、明るいところで斜めから見ると、やや見づらくなります。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)
カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線です。やや明部がより明るめに設定されているようにも見えますが、ガラスが厚いため、計測が正確にできていない可能性もあります。見た目ではそれほど不自然さはありません。


色域は比較的広く、sRGBはほぼカバーしています。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成
画素形状は下図の通りです。光沢液晶であることもあり、ギラつきはありません。

画素の拡大図
光沢液晶であるため、画面への映り込みがあります。

画面への映り込み
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
CPU
CPUはCore i7-7700Tを搭載しています。液晶一体型PCには、ノート用のCPUが使われることもありますが、本製品は、デスクトップ用のCPUを搭載し、比較的高性能です。
ただし、末尾に「T」がつく低電圧版のCPUであるため、Core i7-7700よりはやや性能が落ちます。また、最新の第8世代インテルCoreプロセッサーのCore i7-8700と比べると約半分のベンチマークスコアになります。

CPUの選び方(筆者の独自判断)
※灰色のバーのパーツは、本製品では選択できません
グラフィックスの選び方
グラフィックスにはRadeon 530を搭載していますが、CPU内蔵のインテル UHD グラフィックスとそれほど性能は変わりません。ただし、グラフィックメモリが別に搭載されているため、メインメモリの消費が抑えられるというメリットはあります。

グラフィックスの選び方(筆者の独自判断)
※灰色のバーのパーツは、本製品では選択できません
ストレージの選び方
ストレージは、上で掲載したようにインテル Optane メモリー搭載のHDDまたは、PCIe SSD + HDDのモデルがあります。
本機で計測したベンチマーク
以下、本機で計測したベンチマーク結果を掲載します。
(CPU性能の評価)

Core i7-7700T
(CPU性能の評価)

Core i7-7700T
(主にグラフィックス、CPU性能の評価)


Core i7-7700T、Radeon 530
(x265がCPU性能の評価、NVENC、QSVが主にグラフィックス性能評価)
Core i7-7700T | |
---|---|
x265でエンコード (※1) | 20分41秒 |
NVENCでエンコード (※2) | ― |
QSVでエンコード (※3) | 4分00秒 |
※1 "4K"や"8K"にも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが画質が綺麗
※2 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載されるハードウェアエンコーダー
※3 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー
(ストレージの評価)

256GB PCIe SSD(INTEL SSDPEKKF256G7H)

2TB HDD
以下、静音性、パーツの温度、表面温度、消費電力を計測していますが、搭載するパーツの種類によって結果は変わります。
静音性のチェック
本機の動作音(静音性)のチェック結果です。
普通の騒音値です。ただし、アイドル時でもやや動作音は聞こえます。

部屋を極力無音にしたときの騒音値:40.4dB、 測定機器:GS-04
※無響室で測定したわけではないので、数値は不正確です
※選択したCPUやGPUが異なると騒音値は変わってきます
左から1番目の図:アイドル時(何も操作していない状態)
左から2番目の図:PowerDirector の編集画面でエフェクトを追加しプレビュー再生
左から3番目の図:TMPGEnc Video Mastering Works でエンコード時(x265)
パーツの温度のチェック
各パーツの温度のチェック結果です。もし、あまりにも温度が高いと、パーツの寿命や動作の安定性に影響します。
CPU温度は普通です。


消費電力のチェック
消費電力のチェック結果です。数値は変動しますが、確認できた最も高い数値を掲載しています。
低電圧の(消費電力の少ない)Core i7-7700Tを搭載しているものの、QHDの大画面液晶を搭載しているため、消費電力はほどほどあります。


外観のチェック
外観のチェックです。
スタンドが細くスタイリッシュです。大画面であるため仕方がありませんが、液晶ベゼルがもう少し細ければ、もっとかっこよかったかなと思います。
この細いスタンドで重い液晶をよく支えているなと思います。
右側面とチルトの最大角度です。光学ドライブが搭載されています。
左側面にはポート類が何もありません。
天面に排気口があります。
背面です。
背面のポート類です。前述した通り、HDMI入力ポートがあるところが特徴的です。
下側面の左側に電源ボタンがあります。下から覗き込まないと見えないので、押しにくいです。
下側面の中央には、USB Type-C、ヘッドホン、SDカードスロットがあります。フルサイズのUSBポートもあればよかったなと思います。ここも、覗き込まないと接続できないので、挿しにくいです。
下側面の右側には、HDMI INの切り替えボタンがあります。
ACアダプターは割と大きいです。
まとめ
以上が、HP Pavilion 27-r000jpのレビューです。
27型と大きな画面に、QHD(2560x1440)の高解像度パネルを搭載し、たくさんの情報を表示して作業をすることが可能です。本製品はフルHD(1920x1080)を搭載したモデルもありますが、本機は27型と画面が大きいこともあり、是非、QHD(2560x1440)をおすすめします。
ストレージは、インテル Optane メモリー搭載HDDのモデル、またはPCIe SSD + HDDのモデルがありますが、フルHD液晶モデルは前者、QHD液晶モデルは後者のストレージに決まってしまいます。ストレージよりも液晶解像度でモデルを選んだほうがいいと思います。
USBポートなどが左右の側面や正面になく、周辺機器を接続しにくいのはデメリットです。また、せっかくの大画面ですがブルーレイドライブを選択できないのもやや残念です。テレビチューナーも非搭載です。
詳細・購入はこちら
【公式サイト】

1975年生まれ。電子・情報系の大学院を修了。
2000年にシステムインテグレーターの企業へ就職し、主にサーバーの設計・構築を担当。2006年に「the比較」のサイトを立ち上げて運営を開始し、2010年に独立。
毎年、50台前後のパソコンを購入して検証。メーカーさんからお借りしているパソコンを合わせると、毎年合計約150台のパソコンの実機をテストしレビュー記事を執筆。
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