AMD Ryzen搭載PC

更新日:2017年4月6日

2017.3.03 初稿
2017.4.06 Ryzen 7とインテルCPUの性能比較の内容を追記

Ryzen 7とは?

ZENマイクロアーキテクチャを採用したAMDの最新プロセッサーで、高い性能の割に価格が安く、非常にコストパフォーマンスに優れたCPUとなっています。

日本では、2017年3月3日に、8コア/16スレッドの最上位モデル「Ryzen 7」が発売され、仕様は下表のようになっています。

Ryzen 7シリーズ
  Ryzen 7 1800X Ryzen 7 1700X Ryzen 7 1700
マイクロアーキテクチャ ZEN
コア数 8 8 8
スレッド数 16 16 16
ベースクロック 3.6GHz 3.4GHz 3.0GHz
ブーストクロック 4.0GHz 3.8GHz 3.7GHz
L3キャッシュ 16MB 16MB 16MB

 

ZENマイクロアーキテクチャの詳細:西川善司の3DGE:「Ryzen」は何が新しくなったのか。そのマイクロ・・・

 

また、2017年4月11日には、Ryzen 5の販売も開始されます。仕様は次の通りです。

Ryzen 5シリーズ
  Ryzen 5 1600X Ryzen 5 1600 Ryzen 5 1500X Ryzen 5 1400
マイクロアーキテクチャ ZEN
コア数 6 6 4 4
スレッド数 12 12 8 8
ベースクロック 3.6GHz 3.2GHz 3.5GHz 3.2GHz
ブーストクロック 4.0GHz 3.6GHz 3.7GHz 3.4GHz
L3キャッシュ 16MB 16MB 16MB 8MB

Ryzen 7とインテルCPUの性能比較

Ryzen 7シリーズの中で最も性能の低いRyzen 7 1700のベンチマークスコアが下表の通りです。比較のためにインテルのCore i7-7700も掲載します。

シングルコアのベンチマークスコアは、Core i7-7700のほうが高いです。マルチコアのベンチマークスコアに関しては、Ryzen 7 1700のほうがかなり高い結果となりました。

ただし、TMPGEnc Video Mastering Works 6のソフトでエンコード時間を計測した結果については、Core i7-7700もRyzen 7 1700もほとんど時間は変わりませんでした。CPU使用率を確認すると、Core i7-7700はほぼ100%で推移するのに対し、Ryzen 7 1700は85%程度で推移しており性能をフルに発揮できていないように感じました(その分、CPU温度は低めでした)。

Ryzen 7 1700とCore i7-7700の各種ベンチマークスコア
  テスト内容 Ryzen 7 1700 Core i7-7700
CPU性能を
評価するテスト
Passmark - CPU Mark 12955 11533
CHINEBENCH R15 - CPU (Multi-Core) 1416 cd 885 cb
CHINEBENCH R15 - CPU (Single-Core) 145 cd 182 cb
Geekbench 4 - CPU (Multi-Core) 18592 16362
Geekbench 4 - CPU (Single-Core) 3986 5139
x265でH.265/HEVCエンコード ※1 16分18秒 16分28秒
※1 TMPGEnc Video Mastering Works 6のソフトでエンコード

Ryzen 7とインテルCPUのゲームベンチ比較

GeForceグラフィックボードを搭載したRyzen 7搭載PCと、インテルCPU搭載PCとで、FF XIVなどのゲームベンチマークスコアを比較しました。こちらの結果は別ページにしていますので、下のリンク先をご覧ください。

結果だけ言うと、インテルCPU搭載PCと比べて、Ryzen 7搭載PCは、ゲームベンチマークスコアは良くありませんでした。

AMD Ryzen 7搭載PCのゲームベンチマーク - the比較

Ryzen 7の高い性能を発揮できるかはソフトによる?

Ryzen 7 1700は、Core i7-7700に比べて、CHINEBENCHのマルチコアのベンチマークスコアは非常に高かったですが、エンコード時間はそれほど変わらず、GeForceグラフィックボード搭載時のゲームベンチマークスコアについてはCore i7-7700搭載時よりも低めでした。

Ryzen 7 1700はコア数は非常に多いですが、それを制御する負荷が増える?(何かがボトルネックになる?)のと、シングルコアのスコアはそれほど高くないという特徴からか、高い性能を発揮できるかどうかは"ソフトによる"と言えると思います。

Ryzen 7とインテルCPUの価格比較

Ryzen 7 を搭載したPCが、インテルCPU搭載PCと比べてどのくらい安いかを比較します。

まず、下表が、Cinebench R15のスコアの高い順にCPUを並べたものです。なお、詳細なスコアに関しては、wccftech.comASCIIの記事を参照して下さい。

Cinebench R15のスコアの高い順(Multi-Coreのスコア)
メーカー CPU名  
インテル Core i7-6950X
AMD Ryzen 7 1800X
インテル Core i7-6900K この2つは
ほぼ同じスコア
AMD Ryzen 7 1700X
AMD Ryzen 7 1700  
インテル Core i7-6800K
インテル Core i7-7700K
wccftech.comのサイトを参照

 

Cinebench R15のスコアを確認すると、Ryzen 7 1700XとCore i7-6900Kがほぼ同じスコアとなっていますので、この2つのCPUを搭載したPCについて価格を比較しました。

この記事を執筆している3月3日時点では、Ryzen 7 を搭載したPCを発売しているメーカーはまだ少なく、筆者が確認した限りでは、ドスパラとパソコン工房のみでした。ここでは、ドスパラのGALLERIAシリーズで、なるべく構成を合わせ価格を比較しました。ただ、グラフィックスは同じ構成にできず、Ryzen 7 1700Xは1つグレードが高いGTX1080となっています。

結果は下表の通りで、グラフィックスのグレードが1つ高いにも関わらず、Ryzen 7 1700Xのほうがかなり価格が安かったです。衝撃の安さです。

8コアを搭載したハイエンド性能のCPUを購入するなら、かなりコストパフォーマンスは高いでしょう。

Ryzen 7 1700XとCore i7-6900K搭載PCの価格
  GALLERIA AG GALLERIA XF-E
CPU Ryzen 7 1700X Core i7-6900K
メモリ 16GB 16GB
グラフィックス GTX1080 GTX1070
ストレージ 500GB SSD
2TB HDD
500GB SSD
2TB HDD
価格(税抜き) 229,980円 314,560円

まとめ

当サイトでのテスト結果や、各メディアから公開されているRyzen 7 のベンチマーク結果を見ると、マルチスレッドのベンチマークスコアは前評判通り非常に高いです。

また、ほぼ同じスコアのRyzen 7 と Core i7を搭載したPCの価格を比較すると、Ryzen 7 を搭載したPCのほうがはるかに安かったです。CPU負荷のかかる作業をする方に大変おすすめです。

ただし、GeForceグラフィックボードを搭載したときのゲームのベンチマークスコアは、インテルCPU搭載PCよりも低く出てしまいます。また、TMPGEncによるエンコード時間エンコード時間もそれほど速くありませんでした。Ryzen 7の高いポテンシャルを発揮できるかどうかは"ソフトによる"と言えると思います。

Ryzen 搭載PC

Ryzen を搭載したBTOパソコンは、次のようなメーカーから発売されています。