レノボ 新しいThinkPad X1 Carbon(2014)の実機レビュー

14型では最軽量
新しいThinkPad X1 Carbonは、14型クラスのパソコンでは最軽量のモバイルノートPC(ウルトラブック)です。
大画面であるため、モバイル用としてだけではなく、メインPC兼用で使えると思います。
今回から、動的に変わるファンクションキー「Adaptive Keyboard」を搭載しています。詳細については下記をご覧ください。
また電源供給も可能なインターフェース拡張機器の「ThinkPad OneLinkドック」にも対応しています。
液晶はWQHDとHD+の2種類あり、用途に応じて選べるのも嬉しいです。
メーカーサイト:新しいThinkPad X1 Carbon
※レビュー機は当サイトでの購入製品です
目次
新しいThinkPad X1 Carbonの基本スペック
新しいThinkPad X1 Carbonの基本スペックをチェックします。※2014年3月4日時点の情報です。BTOという特性上、時期が経つと選択できるパーツは異なる可能性があります。詳細はメーカーサイトでお確かめ下さい。なお、特徴的な部分は赤字にしています。
CPU Uシリーズの第4世代インテルCPUを選択可能です。本機はCore i7-4550Uです。 |
グラフィックカード CPU内蔵のGPU(インテル HD グラフィックス)です。 |
液晶ディスプレイ 14.0型ワイドです。HD+液晶、タッチなしWQHD液晶、タッチありWQHD液晶を選択可能です。本機はタッチなしWQHD液晶です。 |
メモリ 4GBまたは8GBです。1枚挿しです。本機の容量は8GBです。 |
ハードディスク/SSD SSDのみ選択できます。本機は256GB SSDです。 |
光学ドライブ 内蔵光学ドライブは搭載していません。 |
バッテリー駆動時間 メーカー公表値で最大14.3時間です。実測値は後述します。 |
テレビチューナー 内蔵のテレビチューナーは搭載していません。 |
特徴1 - 場面によって変わるファンクションキー
新しいThinkPad X1 Carbonは、場面によってアイコンが変わるファンクションキー「Adaptive Keyboard」を搭載しています。
Adaptive Keyboard
4つのモード
この「Adaptive Keyboard」は、以下の4つのモードを備えています。
↑スタート画面や、実行中のアプリ一覧などを表示するボタンがある
↑「戻る」や「更新」、「新しいタブ」などのボタンがある
↑マイクの音量ボタンや、カメラボタンがある
↑通常のファンクションキーが並ぶ
特定のアプリケーションを起動するとモードが変わる
特定のアプリケーションや、コンピューターの状態によって、上のモードが動的に変わります。
アプリケーションやコンピューターの状態と、そのときのモード
例えば、Internet Explorerを開くと「Webブラウザー・モード」になり(下図)、Skypeを起動すると「Web会議モード」になり、Wordを起動すると「ファンクション・モード」になります。また、ログイン直後やロックされた状態では「ホーム・モード」になります。
Webブラウザー(IE)を開いたとき
Fnキーを押して手動で変えることも可能
左端のFnキーを押すことで、手動でモードを変更することも可能です。
Fnキーで手動切り替え
液晶を180度開くと、画面を回転させるアイコンが表示
また、液晶を180度開いたときのみ「回転」アイコンが表示されます。このアイコンをタッチすると、画面が90度ずつ回転します。向かい側に座っている人に画面を見せたいときに便利です。
液晶を180度開いたときに表示される「回転」アイコン
どこにもないボタンやキーの実行
「Adaptive Keyboard」の採用により、無くなったキーがいくつかります。これらのキーは、下図のキーの組み合わせにより使用できます。使うことの少ないキーですが、MS-DOSモードやLinuxを使う方はたまに使うキーです。そういった方にはFnキーを押しながらもう1つキーを押さなくてはならなくなったため、不便になったと思います。
非表示のキーの使い方
また、特定のウィンドウのスクリーンショット「Altを押しながらPrtScを押す」が使えません。Alt+Fn+Tを押してみましたが、キャプチャされませんでした。
しかし、ファンクションキーの「切り取り(?)」アイコンをクリックすると、Snipping Toolが起動するので、こちらで代用可能です。このソフトを起動し、「ウィンドウの領域切り取り」を選択すればOKです。
画面キャプチャソフト「Snipping Tool」の起動
使ってみた感想
「Adaptive Keyboard」になって筆者は特別不便はなかったです。Alt+PrtScが使えなかったため最初は不便に感じましたが、Snipping Toolを簡単に呼び出せることが分かったので問題ないです。ただし、カナ変換や半角/半角変換にF7~F10をよく使う人は、ボタンを見つけにくいと思いました。
特徴2 - 14型ノートとしては最軽量
ThinkPad X1 Carbonは、
(1)14.0型HD+液晶(1600x900 250nit 光沢なし)
(2)14.0型WQHD液晶(2560x1440 300nit IPS 光沢なし)
(3)14.0型WQHD液晶(2560x1440 270nit IPS 光沢なし) マルチタッチ対応(10点)
の3つの液晶を選択することが可能です。
選択する液晶によって、下記のように重量(メーカー公表値)が大きく変わってきます。特にマルチタッチ液晶を選択すると、最大約150gも重くなります。タッチできる便利さを取るか、少しでも重量を軽くしたいかで、選択する液晶が変わってきます。
(1)約1.34kg(HD+液晶搭載時)
(2)約1.28kg(WQHD液晶搭載時)
(3)約1.43kg(WQHD マルチタッチ液晶搭載時)
本機は、(2)のWQHD液晶を搭載しています。このときの重量の実測値は、メーカー公表値とほぼ同じ1.277kgでした。14型クラスのノートパソコンの中では非常に軽く、2014年1月時点では最軽量だそうです。
ACアダプターは250gでした。
重量の実測結果
特徴3 - ThinkPad OneLinkドック装着可能
ThinkPad X1 Carbonは、USB、HDMI、LAN、電源などを拡張するThinkPad OneLinkドック(別売り)に対応しています。今までは、ThinkPad Eシリーズしか対応していませんでしたが、ThinkPad Xシリーズでもようやく対応しました。
ThinkPad OneLinkドックの優れている点は、電源供給もできる点です。パソコンにThinkPad OneLinkドックを接続すれば、ACアダプターを別途接続しなくても、電源が供給されます。
例えば、外出先へパソコンを持っていくときは、ThinkPad OneLinkのケーブルのみを抜けばよくなります。パソコンに接続している電源、LANケーブル、USB機器、外部ディスプレイなどを個別に抜く必要はありません。外出先から帰ってきたときも、ThinkPad OneLinkのケーブルを接続するだけで、すべての外部機器などへ接続できます。
また、付属のACアダプターは使用しなくなります。この余ったACアダプターは、外出用にカバンの中へ常時入れておいたり、自宅や会社など別拠点に置きっぱなしにすることができます。
電源供給も可能なThinkPad OneLinkドック(別売り)に対応
ThinkPad OneLinkドックのポート
特徴4 - 頑丈ボディ
ボディにカーボンを採用し、頑丈なボディです。ThinkPadブランドを名乗っていることから、厳しい品質テストをクリアしていると考えられます。
頑丈ボディ
特徴5 - WQHDの高解像度液晶を選択可能
新しいThinkPad X1 Carbonは、WQHD(2560x1440)の高解像度液晶を選択することができます。一眼レフなどで撮影した写真を綺麗に表示することができます。小さい文字も輪郭がクッキリとしています。
WQHD(2560x1440)とHD(1366x768)の液晶の比較
ただし、解像度が高すぎるため、通常はスケーリング設定を拡大して表示します。すると、アプリによっては文字がぼやけたり、拡大されなかったり、文字が表示領域からはみ出したりするケースがあります。このようにレイアウトが崩れるのを嫌う方や、老眼ぎみの方は、HD+(1600x900)液晶を選択したほうが良いと思います。
液晶ディスプレイのチェック
液晶ディスプレイのチェックです。
上で、次の(1)~(3)の液晶を選択できると記述しましたが、今回は(2)の液晶を搭載しています。この液晶の特性について詳細を確認します。
(1)14.0型HD+液晶(1600x900 250nit 光沢なし)
(2)14.0型WQHD液晶(2560x1440 300nit IPS 光沢なし)
(3)14.0型WQHD液晶(2560x1440 270nit IPS 光沢なし) マルチタッチ対応(10点)
まず、視野角は、IPSパネルを搭載しているため非常に良いです。

視野角(斜めから見たときの見やすさ)
カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、各色とも比較的直線的です。このことから、色の再現性が比較的高いことが分かります。
色域は、ノートパソコンとしては普通です。

ガモット図
※ i1 BASIC PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成
画素の形状は次の通りです。ノングレア処理の表面を見ても凹凸が少なく、ギラつきはほぼ感じません。


非光沢液晶であるため、周囲の物が映り込みにくいです。

液晶の映り込み
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードとタッチパッドのチェックです。
キーストローク、キーピッチとも十分で、非常に押しやすいキーです。
ただし、いくつかのキーの配置が特殊です。まず、「半角/全角」キーが左上ではなく、左側の中央にあります。大きいキーなのでブラインドタッチで打ち間違えることは少ないですが、つい癖で「Esc」の位置を押してしまいます。アプリやブラウザーのフォームによっては、「Esc」を押した瞬間に、テキストボックスへ入力した文字が全て消えることがあり、これをやってしまうと落胆が大きいです。
このPC1台しか使わないのであれば、そのうち慣れるかもしれませんが、サブ機としてこのPCを使う場合や、職場では別のPCを使っている場合は、このPCだけ「半角/全角」キーが別の位置あると、なかなか慣れないと思います。
また、「\」キーが一番下の位置へ移動しました。ファイルパスを手打ちする方や、NUCを使う方は戸惑うでしょう。
「PrtSc」キーもなくなっていますが、これは上で説明したように、Snipping Toolを簡単に呼び出せるので特に不便ではないでしょう。
「CapsLk」キーもなくなっていますが、これは「Shift」キーを2回連続で押すことにより、CapsLkにできます。こちらも不便さは感じません。
キーボード全体図
キーの拡大図1
キーの拡大図2
タッチパッドは普通に使えると思います。ただし、トラックポイント用の真ん中のボタンが相変わらず押しにくいです。詳細は以前レビューした「ThinkPad X240s - キーボードのチェック」をご覧ください
タッチパッド
パフォーマンスのチェック
CPUは、Uシリーズの第4世代インテルCPU「Haswell」、メモリは最大8GBでオンボードです。ストレージはSSDのみとなっています。モバイルノートパソコンとしては標準的な構成です。
Core i7-4550U、メモリ8GB、256GB SSDの構成でのベンチマーク結果は次の通りです。
Windows エクスペリエンスインデックス
PassMark Performance Test 8.0
3DMark
※ ICE STORM:Direct 9相当ベンチ、CLOUD GATE:Direct 10相当ベンチ、FIRE STRIKE:Direct 11ベンチ
今回搭載しているCore i7-4550UのCPUは、インテル HD グラフィックス 5000を搭載しています。Core i7-4600Uなどに搭載されているインテル HD グラフィックス 4400よりもスペックは良いです。今回、3Dmarkを実行して、両方のグラフィックスを比較してみましたが、ややインテル HD グラフィックス 5000のほうがスコアが良かったです。ただし、両者とも、ローエンドの外部GPU「GeForce GT 730M」よりもスコアは下です。
Core i7-4550Uの インテル HD グラフィックス 5000 |
Core i7-4600Uの インテル HD グラフィックス 4400 |
|
---|---|---|
FIRE STRIKE 1.1 | 643 | 531 |
CLOUD GATE 1.1 | 4417 | 4022 |
ICE STORM 1.2 | 44024 | 39722 |
PCMark 8
動画のエンコード時間
Core i7-4550U | |
---|---|
x264でエンコード | 34分17秒 |
クイック・シンク・ビデオでエンコード | 12分51秒 |
iPhone 4で視聴可能なMPEG-4 AVC(解像度:1280x720)へ変換
ストレージのベンチマーク
バッテリー駆動時間のチェック
新しいThinkPad X1 Carbonは、45Whのバッテリーを搭載しています。モバイルノートとしては標準的な容量だと思います。
搭載バッテリー
バッテリー駆動時間の実測値は次の通りです。Haswell世代のモバイルノートパソコンの中では普通の駆動時間だと思います。
負荷内容 | 駆動時間 |
---|---|
動画再生時 ※1 | 6時間2分 |
PCMark 8 のバッテリーライフテスト ※2 | 4時間13分 |
※1 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
※2 ブラウザーでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、画像編集、ビデオチャット、軽いゲームなどを実行
薄さのチェック
ゴム足を含めた高さの実測は約19mm
PC本体はとても薄いです。
ゴム足を含めた実測値でも、約19mmしかありませんでした。
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