Nexus 9の実機レビュー

高処理性能Androidタブレット
Nexus 9は、Googleブランド(製造元:HTC)の8.9インチAndroidタブレットです。
他のタブレットに先駆けてAndroid OS 5.0 Lollipopを採用しています。また、64ビットNVIDIA Tegra K1プロセッサーを備えており高性能です。
液晶解像度が2048x1536ドットと高く、また画面比4:3のディスプレイなので、縦位置でも横位置でもWeb用途やドキュメント作成に使いやすいです。
Wi-Fiモデルに加えて、LTE対応(SIMフリー)モデルもラインナップしています。
※レビュー機は当サイトでの購入品です
目次
1 主な仕様 | 2 特徴1 - Android 5.0 Lollipop搭載 |
3 特徴2 - 高い処理性能(64ビット NVIDIA Tegra K1) | 4 特徴3- 画面比4:3の2048×1536高精細ディスプレイ |
5 特徴4- 選べるSIMフリーモデル | 6 特徴5 - 高音質サウンド |
7 特徴6 - NFCも利用可能 | 8 Webを観る |
9 テレビや動画配信を観る | 10 電子書籍を読む |
11 液晶ディスプレイのチェック | 12 カメラのチェック |
13 バッテリー駆動時間のチェック | 14 表面温度のチェック |
15 重量のチェック | 16 外観のチェック |
17 まとめ |
主な仕様
Nexus 9の主な仕様をまとめました。太字は他のAndroidタブレットと比較して優れている点です。
スペックに関してはAndroidタブレットとしては最高クラスです。
ただし、内部ストレージは最大32GBまでで、しかもmicroSDカードスロットは搭載していません。グラフィックの綺麗なゲームは容量が大きいアプリが多いため、たくさんインストールするとすぐに容量不足になります。ゲームを多くする方は、少しでも容量の多い32GBのストレージを選択したほうが良いと思います。また、動画や画像をたくさん保存する方は、クラウドサービスを利用するようにしましょう。
Nexus 9 | |
---|---|
OS | Android 5.0 Lollipop |
液晶 | 8.9型 IPS 2048x1536ドット(アスペクト比4:3) |
プロセッサー | 64ビット NVIDIA Tegra K1(2.3GHz) |
メモリ | 2GB |
内部ストレージ | 16 / 32GB |
バッテリー | 最大 約9.5時間 |
カメラ | 800万画素 (背面) 160万画素 (前面) |
主なスロット | microUSB マイクロホン/イヤホン端子 |
重量 | Wi-Fiモデル:425g LTEモデル:436g |
Googleの公式サイトでは3色のカラーバリエーションが掲載されていますが、2015年5月時点では、ルナーホワイトとインディゴブラックの2色のみ販売されています。SIMフリーモデルはインディゴブラックの32GBモデルのみ選択できます。

販売中のカラーは2色
特徴1 - Android 5.0 Lollipop搭載
Nexus 9は、Android 5.0 Lollipopを搭載した初のタブレットです。
Android 5.0では、同じユーザーのAndroid端末間で音楽や動画の視聴状態を同期する事ができ、複数の端末を利用している場合でもスムーズに端末を切り替える事ができます。またインターフェスのデザインも変更されており、通知機能も強化されています。
Android 5.0 lollipopは今後、他のAndroidタブレットにも順次採用されていくでしょうが、Nexus9には最新のアップデートが優先的に先に提供されます。不具合への対応や、新機能の追加等にもいち早く対応する点は、Nexusシリーズならではのメリットです。

Android 5.0 Lollipop

最新のOSアップデートを優先的に配信してくれる
Android 5.0 lollipopでは入力キーボードのデザインも変更されています。各キーの間の枠線がなくなり、よりフラットなデザインになりました。筆者は使いはじめの数分はミスタッチに悩まされましたが、慣れればレスポンスも速く使いやすいキーボードです。

Google日本語入力

Googleキーボード
複数起動しているアプリの切り替えは、ホームボタンの右にあるタブ切り替えボタンを使います。これまでもタブ切り替えボタンはありましたが、表示がスライダー形式になり、切り替えがよりスムーズになっています。

複数アプリの同時起動、切り替えもスムーズ
特徴2 - 高い処理性能(64ビット NVIDIA Tegra K1)
本製品は、64ビット NVIDIA Tegra K1を搭載しており、処理性能が非常に高いです。
下に各種ベンチマーク結果を掲載します。CPU、メモリ、GPUのいずれもタブレットの中ではかなり高いスコアをたたき出しています。
3Dmark
PCmark for Android
PassMark PerformanceTest Mobile
実際にゲームなどをしても快適
負荷の高いグラフィックスの綺麗なゲームも、快適にプレイ可能です。

3Dアクションゲーム「Implosion」も快適にプレイ

FPSゲーム「モダンコンバット5」も快適にプレイ
また、比較的表示に時間がかかりやすいGoogle Earthを起動してみましたが、画面の拡大縮小やストリートビュー表示も、もたつくことなくサクサクと表示されました。

Google Earthも快適に利用できる
特徴3 - 画面比4:3の2048×1536高精細ディスプレイ
Nexus 9はAndroidタブレットとしては珍しく、iPadと同じ4:3の画面比です。さらに、2048×1536ドットと高解像度です。ディスプレイサイズはiPad mini(7.9インチ)とiPad Air(9.7インチ)の中間となる8.9インチなので、携帯性も確保しつつ自宅でくつろぎながら使うにも満足できる、いいところ取りをしたサイズだと言えます。

iPad miniと比べて一回り大きなサイズ
フルHDを超える解像度なので、高画質の動画や写真もそのクオリティを最大限に楽しむ事が出来ます。ただし、横位置(画面を横長にした状態)で動画を表示した場合、上下にやや広めの余黒スペースができます。

高画質の動画コンテンツを存分に楽しめる
特徴4 - 選べるSIMフリーモデル
Nexus 9ではSIMフリーモデル(LTEモデル)も選択可能です。
MVNOの格安SIMカードを挿入すれば、安価に、外でもデータ通信を行うことが可能です。
採用している通信規格、帯域については、HTCの公式サイトで公開しています。利用予定のSIMカードが対応しているかどうか、事前に確認しておきましょう。

SIMフリーモデルも選べる
特徴5 - 高音質サウンド
Nexus 9 は、タブレットの割には音質も良いです。
他のタブレットに比べて臨場感あるサウンドで、音楽を聴くことができます。また、通常のタブレットは、動画を観ていると会話が聴き取りづらいときがありますが、本製品は音声も聴き取りやすいです。

音質も良好
横位置(画面を横長にした状態)で、スピーカーは左右に配置され、ステレオ感が十分に得られます。

左手側のスピーカー

右手側のスピーカー
特徴6 - NFCも利用可能
Nexus 9にはWi-FiやBluetoothに加えて、NFCも搭載されています。今回は手元に対応機器がなかったため、実際に試してはいませんが、対応ヘッドホンやアクセサリのペアリングやデータ通信が機器同士を近づけるだけで可能です。
外観にNFCの表記はありませんが、取扱説明書によると、本体上部に内蔵されているようです。

NFCは本体上部に内蔵されている
Webページを見る
Webページを閲覧した感想です。
Nexus 9は8.9インチで2048×1536(288ppi)の解像度です。Web閲覧には十分な解像度で、細かな文字も潰れる事なく表示されます。
画面比が4:3なのでWebサイトのレイアウトによっては横位置でも、上下左右バランスよく表示されます。

当サイト「the比較」を縦位置で表示

当サイト「the比較」を横位置で表示
次に、ブラウザでのベンチマーク結果を掲載します。測定には"chrome"を使用しました。
PEACEKEEPER
タブレットの中では最上位クラスのスコアです。

PEACEKEEPER(Futuremark社)・・・Webブラウザベンチマークテスト
テレビや動画配信を観る
テレビをライブで視聴する方法は幾つかありますが、今回はnasneとPIX-BR310Lを試しました。
nasneを使ってテレビ視聴
nasneのTV視聴には、アプリ"nasne ACCESS"と"Twonkey Beam"を使用しました。いずれでもTVのライブ視聴、録画ともに問題なく利用できました。

nasneでTVライブ視聴可能
PIX-BR310Lを使ってテレビ視聴
ピクセラ製「PIX-BR310L」でのテレビ視聴も試しました。アプリ”ワイヤレスTV”をダウンロードしましたが、こちらも問題なくTV視聴、録画ともに可能でした。またWebや番組表を同時表示・操作が出来る”ながら見機能”も利用できました。

PIX-BR310Lはアプリ"ワイヤレスTV"でライブ視聴可能
動画配信サービスを確認
動画配信サービスは、月額500円や1,000円程度で過去の多くのテレビ番組や映画、アニメを視聴できるオンラインサービスです。今回はHulu、dTV、バンダイチャンネルを試してみましたが、いずれも問題なく視聴できました。

HuluとdTVとバンダイチャンネルは視聴できた
電子書籍を読む
電子書籍を読んだ時の快適さのチェックです。
4:3の画面比は、コミックや雑誌を縦位置で表示した時に収まりのよい比率です。また8.9インチと適度な大きさの画面サイズと高解像度ディスプレイのおかげで、細かな文字や画像もハッキリと表示されます。特に細かな文字が多い雑誌などでも快適に閲覧する事ができます。

電子書籍PDFを縦位置で表示

細かな文字もはっきりと表示される
GoogleのPlayブックスのコミックを横位置表示にして読んでみました。コミックを見開き表示にすると、ほぼ画面一杯になり、無駄がありません。単行本と比較すると一回り小さいサイズですが、他の10インチクラスのタブレットと同等の大きさで表示され見やすいです。

コミックを横位置で見開き表示して、単行本と比較
液晶ディスプレイのチェック
液晶ディスプレイをチェックしました。
IPS液晶で、視野角が広いです

視野角(斜めから見たときの見やすさ)
画素の拡大図です。液晶表面に凹凸はなく、ギラつきも特にありません。

画面表面の拡大図
カメラのチェック
google Nexus 9はリアカメラとフロントカメラを搭載しています。
リアカメラは出っ張ったようなデザインになっていますが、本体裏面とカメラ先端の面がピッタリと揃っています。そのため平らな場所に置いたとしても、本体が斜めになることはありません。またリアカメラにはLEDフラッシュもついています。

フロントカメラ

リアカメラ

リアカメラを横からみたところ
Exifで表示された各カメラのスペックは次の通りでした。
スペック(※) | フロントカメラ | リアカメラ |
---|---|---|
ファイル形式 | jpeg | jpeg |
画像サイズ | 1472×1104px | 3280×2460px |
最小絞り | f2.18 | f2.4 |
標準カメラアプリには、動画と静止画の通常撮影の他に、レンズぼかし、パノラマ、Photo Sphereの5つの撮影モードが用意されています。
Photo Sphereでは、上下左右360°のアングルを画面表示に従って順番に撮影していき、撮影した画像を自動合成して360°全方位パノラマを作成してくれます。またレンズぼかしでは、中央の被写体以外を撮影後に画像処理でぼかすことができます。いずれも高スペックなCPUを搭載した本機ならではの面白い機能ですが、筆者が試した範囲では不自然な画像合成の跡が目立ちました。
通常の静止画撮影と動画撮影のサポート機能は、フラッシュと撮影タイマー、格子線表示のみです。

5つの撮影モードから選択

標準カメラには最低限の機能のみ
バッテリー駆動時間のチェック
Nexus 9のバッテリ―駆動時間をBattery mixでチェックしました。100%充電後にスリープ状態で放置し、約24時間経過後のバッテリー残量は91%でした。スリープ時の消費電力は他のタブレットと比較して、標準的です。

スリープ時のバッテリー消費をBattery Mixで計測
動画再生時のバッテリー駆動時間もテストしました。なお、メーカー公表値のバッテリー駆動時間は約9.5時間です。テスト結果は11時間39分とやや長い駆動時間でした。今回は、動画再生時のテストを行いましたが、ゲームなどのもっと負荷のかかる作業の場合、バッテリー消費はもっと激しいためご注意ください。
負荷内容 | バッテリー駆動時間 |
---|---|
動画再生時 ※1 | 11時間39分 |
表面温度のチェック
本体の表面温度のチェック結果です。もし、表面温度が高すぎると、タブレットを持つ手が熱くなり不快になります。
本体の裏面を計測した結果、アイドル時と比べて動画再生時にはわずかに表面温度が上がった程度でした。本体内の動画再生ではCPUにほとんど負荷がかかっていないようです。
ただし、(下図には掲載していませんが)高めの負荷がかかるゲームをすると35℃以上になる箇所があり、持っている手が熱く感じました。


重量のチェック
Nexus 9(Wi-Fiモデル)の重量を実測したところ419gでした。メーカー公表値はWi-Fiモデルが約425g、LTEモデルが約436gです。8~9インチクラスのタブレットとしては特に軽量ではありません。
付属品のUSBケーブルとAC電源アダプターも計測しましたが、こちらは標準的な重量でした。

重量の実測結果
外観のチェック
外観です。
表面はメタリックな極細の輪郭で縁取りされたシンプルなデザインです。液晶のガラスにはゴリラガラス3が採用されているので、埃や汚れが拭き取りやすいです。

表側の全体像
カメラは縦位置の上部中央に配置されています。

本体表側の上部
裏面です。きめ細かなマット調の樹脂素材ですが、安っぽさはありません。レビューで使用したルナーホワイトでは直接触っても指紋が目立ちにくくなっており、ごくわずかにざらつきを感じる手触りです。

裏面
中央の"nexus"ロゴには少し凹凸がつけられています。

nexusのロゴ
リアカメラとLEDフラッシュは本体左上にあります。

リアカメラとLEDフラッシュ
側面はヘアライン仕上げの金属素材で高級感のあるソリッドなデザインです。表面に向けてわずかに傾斜がつけられています。

側面はシルバーで光沢感ある金属素材
四隅には丸みがもたせてあります。本体下面にはマイクがあります。右側面上部にもマイクがあり、デュアルマイクになっています。

本体下面
電源ボタンと音量ボタンは右側面上部にまとめてあります。マイクは電源ボタンの上側にあります。

ボタン類は右側面にまとめてある
上面にイヤホン端子があります。そのそばにNFCと思われるセンサーランプらしきものがあります。

本体上面
各側面の一覧です。

各側面の配置
付属品はUSB2.0ケーブルとAC電源アダプターのみです。AC電源は出力5V-1.5Aです。

付属品のUSBケーブルとAC電源アダプター

AC電源アダプターの裏面記載
まとめ
以上がNexus 9のレビューでした。
64ビット NVIDIA Tegra K1プロセッサーのおかげで、負荷のかかるアプリもサクサク動作してくれます。また、最新のAndroid OS 5.0 Lollipopを搭載し、OSの最新機能をいち早く使え、常にOSアップデートが優先的に提供される点も魅力的です。
画面比4:3の8.9インチ高精細ディスプレイは、縦位置でも横位置でも、Webページや電子書籍などが見やすいです。
SIMフリーモデルもあり、話題の格安SIMを挿入すれば、外出先でインターネットに接続することも可能です。
タブレットとしては音質が良く、音楽はもちろん、動画も音声が聴きやすいです。
ただしmicroSDカードスロットが未搭載で、16GBか32GBの内部ストレージしか選択できないため、本体に大量のコンテンツを保存して持ち歩くような用途には向いていません。特にゲームアプリをたくさんインストールすると、すぐに容量不足になる可能性があります。
また、使いたいアプリやサービスが、最新のAndroid 5.0または64ビットのTegra K1に未対応の場合も多いので注意しましょう。順次対応していくとは思いますが、このOSおよびプロセッサーを搭載したタブレットがなかなか増えないため、対応には時間がかかる可能性があります。
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