Acer Aspire S3(S3-951-F34C)の実機レビュー

Acer Aspire S3(S3-951-F34C)は、7万円台で購入可能な薄型・軽量の13.3型ウルトラブックです。現在発表されているウルトラブックの中では最安です。
非常に薄い本体の割に、表面温度やパーツの温度が低く、安心して使用することが可能です。
スリープからの復帰が約1.5秒、無線LANへの接続が約2.5秒と非常に高速で、天板を開けば、すぐにPCを使用することができます。普段、シャットダウンせずにスリープで運用している方は非常に快適だと思います。
目次
1 Aspire S3 の基本スペック | 2 特長1 - 極薄ボディ |
3 特長2 - 1.3kg台と軽量 | 4 特長3 - スリープ復帰が1.5秒、無線LAN接続は2.5秒 |
5 液晶ディスプレイのチェック | 6 キーボードとタッチパッドのチェック |
7 総合ベンチマーク | 8 動画のエンコード時間のチェック |
9 カードリーダー/ライターのチェック | 10 バッテリ駆動時間のチェック |
11 静音性のチェック | 12 パーツの温度のチェック |
13 表面温度のチェック | 14 消費電力のチェック |
15 外観のチェック | 16 まとめ |
付録 | |
Aspire S3の箱出しレビュー |
Aspire S3 の基本スペック
本機の基本スペックを紹介します。※2011年11月12日現在の情報です。
CPU Core i3-2367M(超低電圧版CPU)です。 |
グラフィックカード CPU内蔵(インテルHDグラフィックス)です。 |
液晶ディスプレイ 13.3型ワイド(1366x768)の光沢液晶ディスプレイです。 |
メモリ 4GBのメモリを搭載しています。 |
ハードディスク 320GBのHDDを搭載しています。 |
SSD HDDを搭載しているためSSDは非搭載です。ただしスリープ復帰を速くするための専用SSDを搭載しています。 |
光学ドライブ 内蔵光学ドライブは非搭載です。 |
バッテリ駆動時間 |
特長1 - 極薄ボディ
ゴム足を含めた高さの実測は約21mm
本機は、ボディが非常に薄いです。
メーカーの仕様では、13.1~17.5mmの薄さです。
ゴム足を含めて実測してみても、最厚部で約21mmという薄さでした。
特長2 - 1.3kg台と軽量
重量も軽いです。実測してみたところ、本体は1359gで、ACアダプタは302gでした。
ただし、ACケーブルが、デスクトップPCで使われるような太いケーブルであるため、持ち運ぶ時にややかさばります。
重量の実測結果
特長3 - スリープ復帰が1.5秒、無線LAN接続は2.5秒
Aspire S3は、スリープ/休止状態からの復帰、および無線LANの接続が、非常に高速です。
スリープ/休止状態から高速に復帰する機能は、「Acer Instant On」と呼ばれています。スリープからは約1.5秒、休止状態からは約6秒で復帰可能とメーカーサイトには書かれています。無線LANに高速に接続する機能は、「Acer Instant Connect」と呼ばれ、約2.5秒で接続可能だそうです。
ここでは、これらを含めた起動・停止まわりの時間を実測してみました。下の表が結果の一覧です。
テスト内容 | 時間 | |
---|---|---|
通常停止/起動 | PC停止時間 | 約14秒 |
PC起動時間 | 約36秒 | |
スリープ移行/復帰 | スリープへの移行時間 | 約9秒 |
スリープからの復帰時間 | 約1.5秒 | |
スリープから自動で休止状態へ 移行した後の復帰時間 |
約7秒 |
※ 2011/11/14 スリープから自動で休止状態へ移行した後の復帰時間を追記
スリープからの復帰は、確かに約1.5秒でした。非常に速いです。スリープ復帰後、直ぐに無線LANも接続されます。私のように通常シャットダウンせず、スリープを使う人にはかなり快適です。
本機は、Intel Rapid Start Technologyに対応しており、スリープを実行すると8時間後に休止状態へ自動で移行します。この状態から復帰させた時の時間は、実測で約7秒でした。非常に速いと思います。ただし、スタートメニューから直接「休止状態」を選択した場合、復帰時間は約27秒でした。Intel Rapid Start Technologyによって「スリープ実行 → 自動で休止状態へ移行」が実行されないと高速復帰はしないようです。なお、スタートメニューから「休止状態」を選択するには、BIOSでIntel Rapid Start Technologyを無効にする必要があります。スリープから休止状態へ自動で移行するまでの時間は、8時間から2時間へ変更することが可能です。
電源が完全に切れている状態からのPC起動時間についてはそれほど速くありませんでした。普通のHDDを搭載したPCと変わりないです。
ファイルアクセスは普通
下図は、CrystalDiskMarkのベンチマーク結果です。スリープや(Intel Rapid Start Technologyによって移行した)休止状態から復帰は、別途搭載しているSSDによって高速でしたが、ファイルアクセス自体はSSDの恩恵を受けていません。通常のHDDと変わらないスコア値です。
Aspire S3 のSSDと、一般的なノートPCのHDDのベンチマーク比較
液晶ディスプレイのチェック
液晶ディスプレイのチェックです。
搭載されていたパネルは、AUO社のB133XTF01.0という型番でした。
青みの強い液晶ですが、問題なく使用できると思います。ただし、光沢液晶なので、周りの物が映り込みます。

正面からの画像
詳細を見ていきます。
視野角は良くないです(普通のノートPC並み)

視野角(斜めから見たときの見やすさ)
カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、青色が大きく低めに調整されています。実際の画面は、ノートPCにありがちな寒色系の設定になっています。
※同じパネルでも調整具合はやや異なります。また異なるパネルが搭載される可能性もあります

ガンマ補正曲線
※ i1 BASIC PROで計測。目標値は輝度:120、白色点:CIEイルミナントD65、ガンマ値:2.2
※見方の詳細については、miyahan.com様、DOS/V Power Report様のページをご確認ください
色域のチェックです。やや狭い色域ですが、多くのモバイルPCは、こんなものです。
画素の拡大図です。シンプルな形状をしています。実際の画面にギラツキはありません。

画素の拡大図
※マイクロスコープ(FS-SST240 )で撮影
キーボードとタッチパッドのチェック
キーボードのチェックです。
打ってみた感想としては、決して打ちやすいとは言いませんが、慣れれば気にならなくなる範囲だと思われます。
キーピッチは、実測で、横が19mm、縦が18mmと十分な広さです。キーストロークは、実測で約1.2mmと浅めです。
キートップはほぼフラットですが、滑りにくい素材です。
Enterキーがそれほど大きくなく、「}」のキーと隣接しているため、間違ってこのキーを打ってしまいそうになります。Backspaceキーも同様です。また、「半角/全角」キーが小さくブラインドタッチで打ちにくいです。
キーボード全体図
キーの拡大図
タッチパッドは大きく、指の滑りもまずまずです。
クリックボタンは、タッチパッドと一体化しています。軽く押してもクリックすることができて、思ったより操作性は悪くな
いです。
タッチパッド
総合ベンチマーク
各種ベンチマークの結果です。
超低電圧版のCore i3-2367M、およびHDDを搭載したモデルであるため、全体的にスコアはそれほど良くありません。
Windows エクスペリエンス インデックス
PassMark Performance Test 7.0
3DMark06(1.2.0 1901)
1280x720で実行
PCMARK7 v1.0.4
動画のエンコード時間のチェック
ペガシス TMPGEnc Video Mastering Works 5
TMPGEnc Video Mastering Works 5 による動画のエンコード時間のチェックです。
x264でエンコードしたときは1時間7分14秒、クイック・シンク・ビデオでエンコードしたときは24分58秒でした。
超低電圧版Core i3-2367Mであるため、エンコード処理は遅いです。
※クイック・シンク・ビデオとは、CPU内蔵のグラフィックスのエンコードエンジンで、動画変換を高速に行う機能
エンコード方法 | エンコード時間 |
---|---|
x264でエンコード | 1時間7分14秒 |
クイック・シンク・ビデオでエンコード | 24分58秒 |
iPhone 4で視聴可能なMPEG-4 AVC(解像度:1280x720)へ変換
カードリーダー/ライターのチェック
SDカード挿入後の外観
カードリーダー/ライターのチェックです。
カードスロットは本体の右側面にあります。差し込んでも、カードの半分は露出したままです(右図)。カードの抜き差しはスムーズです。
対応しているカードは次の通りです。
対応カード | SD(SDHC含む)、 MMC |
カードリーダー/ライターのCrystalDiskMarkのベンチマーク結果です(下図)。結果を見ると、転送速度が遅いため、UHS-Iには対応していないと思われます。
使用カード:SanDisk Extreme Pro SDHC UHS-I
カードリーダーのベンチマークテスト結果
バッテリ駆動時間のチェック
バッテリ駆動時間の実測値は3時間50分
バッテリ駆動時間のチェックです。
ハードディスクへ保存したDVD画質相当の動画を再生させ、バッテリ駆動状態にしてから、休止状態に入るまでの時間を計測しました。
その結果、3時間50分で休止状態へ移行しました。
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