東芝 dynaPad NZ72の実機レビュー
更新日:2016年2月2日

もう紙のノートは不要!?
dynaPad NZ72は、紙のノートのように使える12型タブレット(キーボードドック付き)です。
付属のペンは、ペン先が細く視差も少なく、摩擦抵抗感もややあり、紙に近い書き心地です。
さらに、重量は約579gと12型の画面サイズにしては軽量で、薄さも6.9mmしかありません。ラバー加工が施されたボディは掴みやすく、片手でタブレットを持ちながら、ペンでメモを取ることもそれほど苦ではありません。
CPUはAtom x5、メモリは4GB、ストレージは128GBフラッシュメモリとなっています。
メーカー直販サイト:東芝ダイレクト(dynaPad NZ72)
※レビュー機は当サイトでの購入品です。
目次
追記:ペンでやや強めに押すと液晶に色むらができた
記事公開当初は、製品の初期不良かと思い記載していなかったのですが、ペンで液晶をやや強めに押すと、下の動画のように、液晶の一部分に波打つような色むらができます。この箇所の近くで、文字やイラストを描くと、液晶の色が変わるので筆者はやや気になります。
修理に出して一度液晶を交換してもらったのですが、現象は解決されず、「仕様の範囲」として、これ以上の修理は出来ないとのことでした。
この現象が気にならない人も多いと思います。また同様の現象が起きる確率は少ないと思います。ただし、万が一、この製品を購入して同様の現象が発生し、さらにこの現象が気になる人もいるかもしれません。そのときは、ドット抜けと同様に、修理には応じてくれないためご注意ください。
ペンでやや強く押すと液晶に色むらができた
(黄緑色の部分はペンで描いた点なので違います)
dynaPad NZ72の基本スペック
主な仕様は次の通りです。特徴的な部分は赤字にしています。※2015年秋冬Webオリジナルモデル、dynaPad NZ72/TGの情報です。このモデル以外はスペックが異なりますのでご注意ください。
dynaPad NZ72 | |
---|---|
液晶 | 12型ワイド(3:2) 1920x1280ドット |
プロセッサー | Atom x5-Z8300 |
メモリ | 4GB |
内部ストレージ | 128GB フラッシュメモリ |
バッテリー駆動時間 | 約7.0時間(JEITA2.0) |
主なスロット | microUSB2.0 x2 micro HDMI micro SDカードスロット |
重量 | タブレットのみ:約579g タブレット + キーボードドック:約999g |
薄さ | タブレットのみ:6.9mm タブレット + キーボードドック:14.9mm |
特徴1 - 紙のノートのように扱えるタブレット
dynaPad NZ72は、ワコムが開発した「アクティブ静電結合方式」に加えて、筆跡表示の高速化や、摩擦抵抗の最適化技術を取り入れ、スムーズな手書き入力ができるペンタブレットです。2,048段階もの筆圧検知に対応しています。
ワコムは従来より、「ヘビーユース」向けにEMR方式のデジタイザーペンを提供していましたが、アクティブ静電結合方式はメモやコメントなどを主に使用する「ミドルユース」向けという位置付けです。とは言っても、アクティブ静電結合方式はシンプルな部品構成ながらEMR方式に迫る自然な書き心地を実現しています。
書きやすいペン
下がペンの画像です。中には電池を入れる必要がありますが、金属製のボールペン程度の重さで、使いやすいです。

ペンの画像

ペンには電池が必要
下図はペン先を、Surface Pro 4とiPad Pro とで比較した画像です。dynaPad NZ72は、ペン先がより鋭角になっており、ペンに近い形状をしています。

ペン先の比較
下は実際に直線と曲線を描いたときの動画です。速い動きをしても、描いた線がそれほど遅れることなく追従しているが分かります。
ペンの追従性の確認(使用アプリ:OneNote)
定規で直線と円を描き、正確に描けるかを試しました。直線は、定規に沿って正確に描けています。円については、円定規を使用して描きました。少しカクカクしている部分もありますが、他のタブレットで試したときよりも比較的正確に描けています。なお、筆者の手も多少ぶれるときがあるため、参考程度に見て下さい。

定規で直線と円を描き、正確に描けるかを確認(使用アプリ:OneNote)
次に、ペンで画面に触れたとき、ペン先と実際に画面上で反応した場所のズレをチェックしました。dynaPad NZ72とSurface Pro 4 とでテストしました。両製品ともペンを垂直にして画面に触れると、視差はほとんどありません。しかし、下図のようにペンを斜めにすると、dynaPad NZ72のほうが視差が少ないことが分かると思います(なお、画面の場所によって結果はやや異なります)。

視差の比較
ただ、Surface Pro 4 のほうが摩擦抵抗感があります。dynaPad NZ72も摩擦抵抗感はややありますが、Surface Pro 4のほうが強く、好みもあると思いますが、筆者はSurface Pro 4のほうが紙に近い摩擦抵抗感であると感じます。
12型Windowsタブレットとして世界最軽量
dynaPad NZ72は、12型クラスのWindowsタブレットとしては最軽量です。当サイトで計測した結果は下図の通りです。
実際に持ってみましたが、片手で持てる重量です。片手で持ちながらペンでメモを取ることも、それほど苦にならない重さでした。

重量
12型Windowsタブレットとして最薄
dynaPad NZ72は、12型クラスのWindowsタブレットとして最薄です。当サイトでの計測値は下図の通りで、iPad Air 2やXperia Z4 Tabletよりはやや厚いですが、十分薄い部類の製品です。
タブレットは、薄いほど持ちやすく、より紙のノートを持っている感覚に近くなります。その点、本製品は非常に持ちやすかったです。

高さ
アスペクト比3:2の液晶
一般的にパソコンの画面は、16:9のアスペクト比が多いです。しかし、16:9だとノート用紙の縦横比と差が大きいため、かなり縦長(もしくは横長)に感じてしまいます。一方、本製品のアスペクト比は3:2となっており、一般的なパソコンよりはノート用紙の縦横比に近く見やすいです。

アスペクト比がノート用紙に近い
ラバー加工で持ちやすい
本製品のボディは、カーボンと樹脂の一体成形構造になっており、頑丈さと軽量さを両立させています。また、表面はラバーペイント仕上げになっており、手触りが良く持ちやすいです。

ラバーペイント仕上げ
以上のことから、紙のノートのように扱える
以上のように、文字が書きやすく、液晶アスペクト比もノート用紙に近く、軽量で、持ちやすいため、紙のノートの代わりに使うのも面白そうだなと思わせる製品です。手書きした文章や図が、すぐにデータ化できるのが嬉しいですし、過去に書いた手書きのメモをすべて保存しておけるのも便利です。
ただし、CPUがAtomという点がやや気になります。ソフトの起動にやや時間がかかったり、普段使っているPCに比べ「あれ、遅いな」と感じる部分がたまにあります。
また、普段からノートの代わりとして使うなら、キーボード側に電源ケーブルを接続できるようにするか、充電スタンドがあるといいなと思いました。dynaPad NZ72は充電するときに、タブレット側のmicroUSBポートに電源ケーブルを挿す必要がありますが、さっと取り出してメモを取りたいときにケーブルを抜くのが面倒です。充電スタンドがあれば、さっと取り出して、使い終わってから充電するときも楽ではないかと思いました。
特徴2 - TransferJetを搭載
dynaPad NZ72はTransferJetを搭載しています。TransferJetを搭載した機器を近付けるだけで、データを高速に転送させることが可能です。
例えば、TransferJetに対応したSDカードをデジカメに入れて撮影後、デジカメをdynaPad NZ72へ近付けると、撮影した画像がdynaPad NZ72へ転送されます。
実際に東芝 TransferJet対応 SDHCメモリカードを、デジカメに入れてやってみましたが、筆者が試した環境では、近づけても反応がないときや、転送がエラーになるときがありました。動作確認済みの機器を自分でもよく確認したほうが良いと思います。

TransferJetを使えば、機器を近付けるだけでデータの転送が可能
液晶ディスプレイのチェック
液晶ディスプレイのチェックです。
まず、最大輝度は、実測で305cd/m2です。比較的高い輝度です。
視野角は良いです。
視野角(斜めから見たときの見やすさ)
カラーマネージメントツールによるガンマ補正曲線を確認すると、どの色もほぼ1:1の直線に近く、自然な発色の液晶であることが分かります。
色域は、それほど広くないです。

ガモット図
※ i1 Display PROでICCプロファイルを作成後、MacのColorSyncユーティリティでグラフを作成
画素形状は下図(左)の通りです。下図(右)は、タッチパネル面にピントを合わせたときの画像ですが、タッチパネルセンサーなのか、パネルを強化するワイヤーなのかわかりませんが、格子状の線があります。これの影響で、画面に近づいて見るとやや斜めの線が見えます。ただし、気にならない方、または気付かない方がほとんどでしょう。


光沢液晶ですので、画面への映り込みがあります。

画面への映り込み
キーボードおよびタッチパッドのチェック
キーボードドックのチェックです。
キーピッチの実測値は、横19mm、縦17mmと、縦のキーピッチがやや狭いです。キーストロークは1.5mmと、最近のノートパソコンとしては普通です。キートップは、やや湾曲しています。
縦のキーピッチが狭い点がやや気になりますが、慣れれば普通に打てると思います。

キーボード全体図

キーの拡大図1

キーの拡大図2
タッチパッドの使いやすさも普通です。

タッチパッド
パフォーマンスのチェック
パフォーマンスのチェックです。
Atom x5-Z8300のCPUに、4GBのメモリを搭載し、タブレットとしては高性能です。
しかし、普通のモバイルノートパソコンと比べると、スペックは見劣りします。Core i プロセッサー、8GB メモリ、高速SSDを搭載したdynabook VB73と比べると、作業をしていて度々遅いなと感じる時があります。
ベンチマーク結果は次の通りです。
PassMark Performance Test 8.0
3DMark
※ FIRE STRIKE:高性能GPU向け、SKY DIVER:ミドルレンジGPU向け、
CLOUD GATE:一般ノート向け、ICE STORM:タブレットやスマホ等のモバイル向け
PCMark 8 - Home accelerated
動画のエンコード時間
2015年10月24日より、エンコードのテスト内容を変更しましたので、ご注意ください。
Atom x5-Z8300 | |
---|---|
x265でエンコード (※1) | 3時間59分057秒 |
x264でエンコード (※2) | 1時間30分03秒 |
NVENCでエンコード (※3) | ― |
QSVでエンコード (※4) | 47分53秒 |
※1 4Kや8Kにも対応したx264の後継のエンコーダー。エンコードは遅いが、出力ファイル容量は従来の約半分
※2 H.264エンコーダーの中で、現在人気の高いエンコーダー。ほどほどの速度で高画質
※3 NVIDIAのKeplerコア以降のGPUに搭載される最新ハードウェアエンコーダー。従来のCUDAより速度、画質とも向上
※4 CPU内蔵のハードウェアエンコーダー。エンコードが高速
ストレージのベンチマーク
128GB フラッシュメモリ(CrystalDiskMark 5 で計測)
SDカードのベンチマーク
UHS-Ⅰのカード(CrystalDiskMark 5 で計測)
バッテリー駆動時間のチェック
バッテリー駆動時間のチェックです。
まずBatteryInfoViewのソフトでバッテリー容量を計測したところ、25,384mWhでした。12インチという画面サイズを考慮するともう少し積んでも良かったかなとおもいますが、その代わり重量は軽いです。
メーカーの仕様表を確認すると、JEITAバッテリー動作時間測定法(Ver2.0)で約7時間となっています。当サイトで実測した結果は、下表の通りです。PCMark 8 実行時のバッテリー駆動時間は普通だと思いますが、動画再生時は短めだと思います。
バッテリー駆動時間 | |
---|---|
動画再生時 ※1 | 5時間41分 |
PCMark 8 Home のバッテリーライフテスト ※2 | 4時間24分 |
PCMark 8 Work のバッテリーライフテスト ※3 | 5時間05分 |
※1 ローカルディスクに保存した動画(解像度:720x480)を連続再生
※2 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、画像編集、ビデオチャット、軽いゲームなどを実行
※3 ブラウザでのショッピング/大量の画像閲覧、文書作成、表計算、ビデオチャットなどを実行
重量のチェック
重量のチェックです。
タブレットとキーボードドック搭載時の重量は、「12型Windowsタブレットとして世界最軽量」で掲載した通りです。ここでは、デジタイザーペンとACアダプターの重量の計測結果を掲載します。
デジタイザーペンは、電池が入っているため、電池なしのペンよりは重いですが、金属製のボールペンと重さはほとんど変わりません。ACアダプターは軽量です。

デジタイザーペンとACアダプターの重量
![]() ![]() |
![]() |
|
![]() |