ナナオ EIZO FORIS FX2301TVのレビュー

更新日:2010年11月26日
EIZO FX2301TV

EIZO FORIS FX2301TV

遅延、映像、音すべてに驚き

FORIS FX2301TVは、遅延、映像、音のすべてに優れたゲーマーも納得の23型ノングレア液晶ディスプレイです。

倍速モードも搭載し、残像の少ない滑らかな映像を楽しむこともできます。

地デジチューナーも搭載しています。

TNパネルにしては価格が10万円近くもしますが、その価値は十分にある製品です。詳細を次に見ていきます。

EIZOダイレクト

ゲームの快適度をチェック

FORIS FX2301TVは、遅延、映像、音のすべてに優れたゲーマーも納得の液晶ディスプレイです。これら3つの全てに優れた液晶ディスプレイはライバルが少なく、ゲーマーなら購入を検討すべき1台だと思います。

最近は、3万円前後のTNパネルの液晶ディスプレイが多いですが、やたらと眼が疲れる製品や、音が貧弱な製品が多いです。また、視野角や画面の綺麗さに重点を置いたIPSパネルの製品は、遅延が大きかったりします。

一方、FORIS FS2331は、TNパネルやスルーモード等の搭載で遅延が少ない上に、製品出荷前にガンマ、色温度、ホワイトバランス、輝度の調整を行い比較的正しい色になっており見やすく眼がわりと疲れにくいです。また、ヘッドホン装着時の音は素晴らしいです。

次に詳しく見ていきます。

わずか0.5フレームの遅延で格闘ゲームが快適


付属のリモコンの「スルー」を押すとスルーモードになります。
ゲームをしても(私の腕前では)全く遅延を感じませんでした。

FORIS FX2301TVは、遅延がわずか0.5フレームしかありません。他社のPC用液晶ディスプレイやAV用液晶テレビでは、スルーモードにしても1フレーム遅延、製品によっては5フレームもの遅延があります。FORIS FX2301TVの0.5フレーム遅延というのは、他社にはない恐ろしい数字です。

ここまでくると、人間が体感で遅延を感じることはないでしょう。試しに、ストIVをやってみましたが、私の腕前では遅延は皆無です。

ゲーム機自体にも数フレームの遅延があるため、ゲーム機+液晶ディスプレイの遅延を合算すれば、体感で遅延を感じる達人も中にはいるかもしれませんが、少なくとも液晶ディスプレイの遅延のみで体感できる人は、ほぼいないでしょう。

倍速モードでRPGが綺麗


残像が少なく滑らかに映像を観ることができます

倍速モードとは、フレームとフレームの間に、もう1枚中間画像を生成し、残像が少ない映像を実現する技術です。中間画像を生成するには次のフレームが必要になり遅延が発生するため、通常、格闘ゲームでは使われません。

しかし、RPGのような遅延をあまり気にしなくて良いゲームでは、倍速モードを有効にしたほうが、動きが滑らかで綺麗です。

倍速モードは本当に滑らかです。ご覧になる液晶によって見え方が変わるので動画で紹介できないのは残念ですが、是非一度、実機をご覧になっていただければ良いと思います。

ただ、FORIS FX2301TVは、家電量販店ではあまり見かけないので、ビエラやレグザなどの液晶テレビコーナーへ行って、倍速を体験してみると良いと思います。違いがわかるはずです。

ヘッドホンを挿すだけで5.1chサラウンドを体感できる


2ch信号も5.1chへ疑似的に変換する機能を持っています

FORIS FX2301TVは、前面に口径5センチ、2Wのステレオスピーカーを搭載し、液晶ディスプレイにしては音が良いです。

ただ、FORIS FX2301TVの優れた点は、スピーカーよりも、ヘッドホン装着時の音にあります。

多分、世の男性は一度は5.1chの環境を作りたいと思ったことがあると思います。しかし、部屋も小さい、スピーカーを買うお金もない、ご近所迷惑も心配、設置も面倒、ということでなかなか踏み切れる人は少ないと思います。

しかし、FORIS FX2301TVなら、ヘッドホンを差すだけで、5.1chが楽しめます。さらに、2chステレオ信号も5.1chに拡張するバーチャル5.1chサラウンド機能も搭載しています。

実際に音を聞いてみましたが、すごいです。ステレオだとどうしても音に立体感に欠けるのですが、5.1chサラウンドだと、ゲーム中の拳銃の音がいろんな方向から聞こえてきて、非常に立体感があります。音の発生位置の特定や、敵のいる場所の確認もしやすいです。

ごろ寝プレイもOK


下から見上げると、画面が見づらいです。
しかし、リラックスモードをONにすると見やすくなります。

長時間ゲームをすると疲れるので、ロールプレイングなどをする人は、ごろ寝しながらプレイする人も多いと思います。FORIS FX2301TVは、遅延を少なくするためTNパネルを採用しているため、ごろ寝プレイする人にとっては視野角が気になるでしょう。

確かにVAパネルと比較すると視野角は狭いですが、FORIS FX2301TVは、リラックスモードといって下から見上げても比較的綺麗に見える機能があります。

リラックスモードは、下から見上げたときの視野角を改善する「ルックアップ」と、上から見下げたときの視野角を改善する「ルックダウン」が用意されており、「ルックアップ」は3段階、「ルックダウン」は1段階で調整が可能です。

リラックスモードへの切り替えは、リモコンのボタンを押すだけなので簡単です。

右の図は、画面に正対したとき、下から見上げたとき、下から見上げてリラックスモードをON(ルックアップ+3)にしたときの画像です。

図では極端な角度で見上げているため、リラックスモードがOFFのときは、かなり見づらくなっているのがわかると思います。ここでリラックスモードをONにすると、正対したときと同じ様な見やすさに改善されていると思います。

PSPを拡大表示

PSP
PSPをコンポーネント端子につないで外部出力できる

FORIS FX2301TVは、コンポーネント端子があるため、PSPをつなげて、大画面でプレイすることができます。

ただ、実際にやってみると元の解像度(480x272)が低すぎて、やや迫力に欠けます。

尚、接続するケーブルは、PSP-2000/3000用接続ケーブル『PSP D端子ケーブル 3M』が良いと思います。

動画の見やすさをチェック - 残像感はかなり少ない

AV用の液晶テレビが、PC用の液晶ディスプレイより映像が綺麗に見えるのは、パネル、エンジンなど色々理由はありますが、その中でも最大の相違点は、倍速モードがあるかないかです。AV用の液晶テレビでは2倍速や4倍速の機能をもった製品が普通ですが、PC用の液晶ディスプレイにはほとんどありません。

一方、FORIS FX2301TVは2倍速モードを搭載した数少ない液晶ディスプレイです。倍速モード機能を搭載している上に、中間階調域(G to G)の応答速度が3msと非常に小さいため、残像感は非常に少ないです。

倍速モードの無いVAパネルの液晶ディスプレイを横に並べて映像を見比べてみましたが、その差は一目瞭然です。目視ではっきりわかります。また動きの速い映像をずっと見ていたところ、倍速モードのない液晶は残像のせいで眼が疲れ、頭が痛くなりますが、倍速モードを有効にしたFORIS FX2301TVは疲れにくいです。

倍速モードありなしの違いを動画に撮ってお見せしたいところではありますが、ご覧になる方の液晶ディスプレイによっては正しく見えません。そのため、今回は、1/60秒の露出でデジカメで撮影した静止画を掲載します。

倍速モードを有効にした場合、1/60秒の間に2枚のフレームが確認できます。一方、倍速モードを無効にした場合は1枚のフレームしか確認できません。動画を観た時、この差で残像感の見え方が変わってきます。

倍速モードの比較
倍速モードを有効にした場合と、無効にした場合の静止画撮影。1/60秒の露出で撮影。
上の画像:テロップの縦スクロール、下の画像:テロップの横スクロール
倍速モードを有効にしたほうがフレーム数が多いので、2重に見えるのがわかります。
実際の動画では、倍速モードを有効にしたほうが滑らかな映像になります。

欲を言えば、倍速を1プッシュで切り替えられるボタンがリモコンにあればよかったなと思います。現在はリモコンで設定ボタンを押してから、奥深い場所にある項目を変更しなければなりません。ただし、あらかじめ用意されている表示モード(ゲーム、シネマ、Powerなど)で設定しておくことは可能です。

本機はゲーム機やパソコン、地デジなど様々なものを接続しますし、ゲームも格闘ゲームやRPGなど色々種類があります。倍速にしたい時としたくない時があるため、リモコンに「倍速」というボタンがあれば便利でした。

静止画の見やすさ、綺麗さのチェック

ギラツキはほとんどない

ノングレアという特性のため近くで見るとギラツキはありますが、30cmくらい離れた距離から正対して見るとほとんどギラツキは感じません。全く問題ないレベルです。

視野角は良くはないが、リラックスモードでカバー

先ほど上で記載したように、TNパネルであるためそれほど視野角は良くないですが、リラックスモード機能を使えば、かなり画面は見やすくなります。

今度は、VAパネルとの視野角の違いについても比較してみました。比較したのはFORIS FX2301TVのTNパネルと、FORIS FS2331のVAパネルです。また、リラックスモードをONにしたときの画像も比較しました。

リラックスモードを使用していないとき、FORIS FX2301TVのTNパネルは、VAパネルと比べて視野角は明らかに悪いですが、リラックスモードを使用すれば、かなり見やすくなるのが分かると思います。

FX2301TVの視野角
FX2301TVはTNパネルであるため、VAパネルの製品より視野角は悪いです。
ただし、下から見上げたときに、リラックスモード機能(3段階調整)をつかえばかなりかなり見やすくなります。

 

静止画は綺麗

FORIS FS2331は、安価なTNパネルの液晶ディスプレイとは違い、工場出荷前にガンマ、色温度、ホワイトバランス、輝度の調整を行っています。そのため、変に青みがかっていたり、黄色くなっていたりするようなことは無く、比較的正しい色を再現できています。

ただし、一般の方が使うには十分綺麗ですが、EIZO EasyPIX によるカラーマッチングには対応していないので、プロやハイアマの写真家やデザイナーが使うには物足りないでしょう。

静止画
FORIS FX2301TVの静止画
※デジカメで撮影している上に、ご覧の液晶ディスプレイによって見え方は変わってくるため参考程度にしてください。

地デジチューナーのチェック - 番組表は安っぽい

FORIS FX2301TVは、地デジチューナーを搭載しています。映像はもちろん綺麗です。

番組表は安っぽいです。AV用の液晶テレビや、PC用地デジチューナーは、全チャンネルを一覧表示できたり、ジャンルごとに色分けされていたりしますが、それに比べるとやや簡素です。

地デジ番組表
地デジチューナーの番組表

リモコンからの応答速度は良いです。

「地デジ」ボタンを押して画面が表示されるまでの時間と、チャンネルの切り替えに要する時間を計測したところ、次のようになりました。他社のパソコンに搭載される地デジチューナーと比較すると速いです。

各地デジ視聴ソフトの起動時間
テスト内容 時間
「PC」から「地デジ」へ切り替えた時の時間 2.5秒
チャンネル切替時間 (1~8chまで全て切替えた時間) 15秒

外観のチェック

最後にFORIS FX2301TVの外観です。

外観(正面)

次は、背面です。

外観(背面)

入出力端子は次のようになっています。

 

外観(側面)

リモコンも付属しています。FX2301TVは入力端子が多いため、「PC」、「VIDEO」、「HDMI」、「地デジ」といった切換えボタンがあるのは嬉しいです。

リモコン

 

まとめ

FORIS FX2301TVは、遅延が少なく、映像も綺麗で、音が良いゲーマーも納得の液晶ディスプレイです。テレビやブルーレイ/DVDを鑑賞する際、倍速モードにより残像が少なく映像も滑らかです。

出荷前に色調整されているため他のTNパネルの液晶テレビよりは綺麗ですが、EIZO EasyPIX によるカラーマッチングには対応していないため、プロやハイアマの写真家やデザイナーには向きません。

どちらかと言うと、仕事向きというより、ゲームや映像向けの液晶ディスプレイです。仕事中心に使用し、たまにゲームや地デジなどを観る人は、EIZO FORIS FS2331や、ナナオ EV2334W-Tのほうが良いでしょう。

まとめると、EIZO FORIS FX2301TVは、次のようなメリットがります。

こんなあなたにおすすめです。

購入はEIZOダイレクトから可能です。

EIZOダイレクト
今なら4,000円相当の評判の高いヘッドホン